酸としての強さは, 結局 H^+ が外れた残りがどのくらい安定になるかで決まるんですが, 単純には「H^+ が外れるために残る負電荷がいかに分散できるか」というのが効いてきます.
・カルボン酸だと R-COO^- において負電荷が 2個の O に分散される
・(普通の) アルコールだと R-O^- のときに負電荷が O に集中しやすい (アルキル基は一般に電子が余り気味)
・フェノール類だと R-O^- は同じだけど芳香環が電子不足気味なので負電荷の一部を芳香環に分散できる
というのが酸の強さに影響してます.
で, 結局「カルボン酸 > フェノール類 > アルコール」という順に弱くなります....
が, まあ世の中いろいろあるわけで
・ピクリン酸 (2, 4, 6-トリニトロフェノール) は (負電荷がニトロ基に効果的に分散できるため) かなりの強酸 (pKa~1.2 くらい?)
・アセチルアセトン (CH3C(=O)CH2C(=O)CH3) は H^+ が外れると CH3C(-O^-)=CHC(=O)CH3 の形の (1, 3-ジエンに近い) 共鳴で 2個の O に負電荷が分散できるため酢酸並の強さ
・ペンタニトロシクロペンタジエンは H^+ が外れると芳香環ができて安定化する上に 5個のニトロ基に負電荷が分散できるためとっても強い酸 (pKa < -10 とか.... 硫酸にも楽勝)
・フラーレンの 2水素付加体はそこそこ強い (炭化水素としては現在最強のレベル)
なんて結果もあります.
逆に塩基としては H^+ をもらったときにどのくらい安定になるかで決まるので, グアニジン (NH2C(=NH)NH2) は水溶液中では ([C(NH2)3]^+ という形になって) とっても強塩基だったりします.