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市民による速度超過・路上駐車違反の取り締まりとは、哲学的にどういうことなのでしょうか?
- 警察機関から一般市民への速度超過・路上駐車違反の取り締まりの業務委託について、その内容や哲学的な意味について詳しく知りたい。
- 市民による取り締まりでは、基準や教育の問題があり、恣意的な裁定やバイアスが生じる可能性がある。
- 監視装置と権力に加えて、都市空間の制御と権力の視点からのアプローチや関連する文献を知りたい。
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ご質問の警察業務の民間委託については、「事実」が何かによって、その社会的意味が大きく変わってくると思います。例えば、何んの訓練もしていない巷の兄ちゃんが、自家用車にサイレンを付けて、スピード違反者を追っかけるのと、資格制度により認定された民間企業従業員が、駐車違反車の写真撮影だけをするのとでは、意味が全く違ってくると思います。 そこで、以下の[1]、[2]に事実確認、[3]、[4]には、一般に言われている評価をまとめました。 [1]単純な事実確認 現在、警視庁により進められているのは、「駐車違反取締りの民間委託」であり、速度違反は含まれません。また、一般市民への委託でもありません。民間委託に当たっては、駐車監視員資格制度の下で、資格取得者に限定して業務を委託する仕組みになっています。 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/project/itaku.htm [2]業務プロセスの確認 (1)放置車両の発見 (2)放置車両の撮影(1回目)、確認データの入力 (3)確認標章の作成・取り付け (4)放置車両の撮影(2回目) (5)携帯端末により警察署に確認データを報告 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/project/pdf/image.pdf (第6頁) [3]予想されるメリット (1)2004年度全国駐車違反件数150万件が、民間委託により倍増(予想)。 (2)違法駐車を原因とする様々な問題(交通渋滞、交通事故、救急車などの緊急車両の通行妨害等)の改善。 (3)警察が重要犯罪の捜査により多くの人員を割ける。 (4)利潤追求による合理化、その結果として総合コストの低減。 [4]予想されるディメリット (1)違反摘出のための違反横行。 (2)恣意的取締り。 (3)公務執行妨害罪。 (4)個人情報流出。 (注)(1)については、民間企業への支払いを歩合性ではなく、人員x時間ベースにしたので避けられる見通し。 (注)(2)については、写真撮影による証拠確保があるので、恣意性が発揮しにくい。 ========================================================================================================== ご質問の警察権力や空間の制御などに関してですが、私自身は門外漢で専門的なことはわかりませんが、「人力ビデオ監視システム」と「非犯罪化への可能性」の2つの側面から考えてみました。 <人力ビデオ監視システム> 今回の民間委託業務の中身は、[2]の”業務プロセスの確認”でもわかるように、ビデオ監視システムの人力による代行という性格があると思います。逆に言うと、それ以上の仕事ではないので、「恣意性」が発生する可能性は極めて低いと思います。例えば、もし、業務担当者が私怨によって、ウソの写真を作成したとしても、その車のアリバイがあれば、すぐにバレるし、一旦そのような不祥事があると、民間企業としては死活問題にも成りかねないので、そのようなことがないように警察官不祥事以上に厳格に管理されると思います。また、基本的には、違反者対監視者(人対人)の関係ではなく、違反車対監視者(物対人)の関係なので、公務執行妨害的事態が発生する可能性も比較的低いと思います。 一方、今回の問題は、むしろ、ビデオ監視システムでもできる仕事を何故人力でやるのかにあるのではないかと思います。これには、コストの問題、就業先確保問題、刑法上の問題などがからんでいると想像しています。コスト比較は、計算したわけではないので正確なところは、わかりませんが、都心の渋滞地区に絞れば、ビデオ監視システムの方がトータル経済効率が上がりそうに思います。就業先確保については、団塊世代の大量退職を控えた対策という見方もあるようです。刑法上の問題は、これも、法律の専門家ではないのでわからないのですが、違反を摘発するには、監視カメラによるデータだけでは不十分で、何らかの人的確認が必須という条件があるのかも知れません。 将来これらの障壁が取り払われ、ビデオ監視システムによる駐車違反摘発が実施されるようになれば、そこで初めて、サイバー・パノプティコン的性格が現れることになります(現行システムでは、かなり不十分)。極端な場合は、監視ビデオの3台に2台はダミーであっても、駐車違反者がそのことに気づかなければ、自己規制が働くわけですから、経済的監視システムが実現できます。一方、この監視ビデオ・システム経由で吸い上げられた個人データは、民間企業のデータベースに蓄積されますので、個人情報流出のリスクにさらされます。ただ、駐車違反データがどの程度、個人に悪影響を与えるか、今のところ、決定的なことは思いつきません。 <非犯罪化への可能性> 駐車違反を非犯罪化するという議論がありました。実際には採用されなかったのだと思うのですが、正確なところは、確認し切れませんでした。もし、駐車違反を非犯罪化することができれば、かなり、大胆な変革になると思います。駐車違反という行政活動対象が、有料駐車という経済活動対象に変わるのだと思います。駐車違反者は、有料駐車場に駐車したとみなされ、当然のごとく料金支払いを請求されます。現在でも、有料駐車場に無断で駐車するドライバーはめったにいませんから、経済活動化することにより、見事に駐車違反が解消されるのではないかと思います。これが、もっとも効率的な監視システムの自己内在化ではないでしょうか。非犯罪化に関連した話は、以下のURLに載っています。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/ko-tu-ihan/LIBRALY/LIBRALY_houti-ihankin.htm
その他の回答 (2)
いわゆる監視社会論や都市論ですね。 監視社会論は、デイヴィッド・ライアンや、イマニュエル・カステルが必読論者です。空間論は、ソジャやルフェーブルです。
お礼
回答ありがとうございます。^^ わぁ。聞いたこと無い名前ばかりだ。w ソジャですか。ソジェじゃなくて。 その人だけならチラっと知ってるかも…。 ぜひ調べてみますね~。
- kobarero
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>警察機関から一般市民への業務委託が行われると聞きました。 単純な事実確認ですが、「一般市民への業務委託」ではなく、「専門の民間業者への業務委託」ではないでしょうか? もし、「専門の民間業者への業務委託」であっても、問題意識に変わりはないということでしたら、その場合には、改めてご回答させていただきます。
お礼
回答ありがとうございます。^^ そうですね。正直に申しますと、その両者でどのくらいの違いがあるのかもわかりません。 一般市民とはいえ、暇人のボランティアによる自由参加ではなく組織化されるものでしょうし、 専門業者とはいえ、警察官でもオービスでもなく市民です。 つまりその事実確認に率直にお答えいたしますと、問題意識に変わりはないです。
お礼
お返事遅れました。回答ありがとうございます。^^ 下調べすらせずに質問をしたのはひとえにこちらの不徳と致すところです。 確認事項まで調べて頂き重ね重ねお礼を申し上げます。 わかりやすいパノプティコンという概念よりも、市民からの警察的システムへのコミットというあたりから 考えを進めたいな…と思ってたのですが、 監視員のほぼ全員は警察OBになりそうな感じなのですね。 う~ん。 様々なところにある警察的権力の内在性ですけど、今回それのあからさまたるものが、 警察主導で市民側に積極的に撒かれて、更に組織化されるということに、 「何か議論をしておかなければ、いけなくはないのかな」と一抹の不安を感じます。 空間の制御については私もまるでわかりません…。 ただ、権力と空間制御は不可分の問題ですので、それが今回”変化する”ということに、 「何か考察を積まなくてもいいのかな」と思ってしまいます。 コスト問題のことはよくわかります。 人件費削減や反則金収入増への欲求とは切り離して考えることの出来ない改革なのだろうと思います。 経済的な視点より書かれたリンク先のサイトは、とても参考になりました。^^