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LC/MS/MSの現状と利用価値について
- LC/MS/MSはソフトなイオン化法を用いても、MS/MS部分でフラグメントを得ることが可能です。製薬業界ではコンビケムからLC/MSへの流れでスクリーニングが行われており、自社でライブラリを構築している場合でも検索が可能です。
- LC/MSのメーカーについては、どのブランドも高品質な機器を提供していますので、目的や予算に合わせて選ぶことが重要です。
- LC/MS/MSは適切な運用をすることにより、利用価値の高い機器となります。
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先の質問に回答した者です。 この質問も出された時から知ってはいたんですが,色々と雑用があって中々回答する事ができませんでした。未だ開けてられるようですので,簡単ですが回答させていただきます。 > ソフトなイオン化法を用いたとしても、MS/MS部分でフラグメントを得ることは可能? 可能です。ただし,ソフトイオン化を用いる場合,得られるイオンの強度(量)は FAB イオン化等に比べるとかなり弱い(少ない)です。そのため,高エネルギーでの CID を行うと,フラグメントイオンが弱くなり測定困難になる可能性が大きく,通常は低エネルギーでの CID を行います。 また,LC/MS で多用されている四重極装置では,低エネルギーでの CID しか行う事が出来ません。 これらの結果,先の回答に書いた様に,EI イオン化でのフラグメントの様な C-C 結合が解裂したフラグメントは得られ難いです。逆に言えば,ペプチド結合やグリコシド結合などの解裂しやすい結合のみが切れたフラグメントが通常得られ,スペクトルが簡単になりますので,アミノ酸シークエンス等の解析は容易になります。 > 製薬業界などでコンビケム→LC/MSのような流れでスクリーニングは行われている? > (また、この場合、市販のライブラリでは登録件数は少ないが、自社でライブラリを構築しているので検索可能?) 企業に所属した経験がありませんので実際の所は分かりませんが,お書きの様なスクリーニングは行われていると思います。 ただし,その場合は,ライブラリを構築する過程でタグと呼ばれる適当なパーツを付けて行く事で,生成物の質量から構造が分かるようになっています。 ですので,先の質問にある様なライブラリ検索によって構造解析をする必要はありません。 > LC/MSはどこのメーカーが良い? これは色んな条件が関係してくるでしょうから,一概に何処とは言えないと思います。 > 前の別の方の質問時ではなにかあまり使えないような印象を受ける回答しかなかったのですが・・・・。 > 運用を工夫すれば、利用価値の高い機器なのではないのしょうか? 使い方が問題です。ソフトイオン化による LC/MS では高極性・高分子量の化合物の分子量が得られます。また,アミノ酸シークエンス等の情報も得られます。その結果,従来 MS の対象でなかった生体高分子の測定が可能になり,生体化合物の解析などに威力を発揮しています。 その一方で,先の回答にも書いた様に,従来の低分子化合物に行われていた様な「フラグメント情報に基づくライブラリーサーチ」には適さない事になります。 要は各イオン化法,測定法,・・・の特徴を把握して,個々の目的に最も適した手法を用いる事が大事だと思います。
お礼
ありがとうございました。