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国民と人民の違い

政治学について勉強しているんですけど、人民と国民の違いがいまいち分かりません。どなたか知っている人がいれば教えていただけないでしょうか? よろしくお願いします。

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回答No.3

一般には、人民はpeopleの訳語、国民はnationの訳語ですが、意味に応じて、peopleを国民と訳す場合もありますし、nationは民族や国家と訳す場合もあります。 日本でも、戦後の占領期には「人民」が読売新聞などのマスコミで普通に使われた時期もありましたが、やがて、左翼用語のイメージが強くなって「人民」は使われなくなります。 左翼用語としての「人民」は、被支配階級全体をさします。マルクスがよく用いた「プロレタリアート」「労働者階級」というと、生産手段を持たず、労働力を売ることによってのみ生計を維持できる階級、ということになり、農民、自営業者などの労働者階級ではないけれども、被支配階級であるような階級を含みません。そこで、被支配階級全体をさす「人民」が使われるようになります。それに対して、「国民」には支配階級も含まれます。 ただし、国民のほとんどは被支配階級なんだから、国民と人民はほぼ同義である、として日本共産党は現在ほとんど「人民」という言葉を使いません。2004年制定の新綱領でもほとんど使われてません。 19世紀欧州、特にフランスでは、「国民(nation)主権」と「人民(people)主権」のどちらを憲法原理や政治の基本原理として使うべきか、ということが争われたことがあります。 peopleは、一人ひとりの人間の集合体です。ですから、people主権は当然に民主主義の原理です。選挙で選ばれた議員は、民意を代表する代理人で、民意に従って行動しなければならない「命令委任」をpeopleに受けるとされ、直接民主主義に近づこうとする原理とセットです。 nationは一人ひとりの人間の集合体ではなく、その共同体的結合を代表する観念的な存在で、naition主権にたてば、必ずしも普通選挙制である必要はありません。つまり、nation主権は民主主義でなくてもいいのです。また、「代表委任」の原理とセットになっていて、これは、議員は選挙民の意思に拘束されず、公益を代表している、というもので、議員は選挙民の意思に反しても公益のために行動するべきだ、とされます。20世紀になって、民主主義が正当性基盤を確立し、nation主権も普通選挙制を基盤とするようになりますが、完全にpeople主権同じではないのは、「代表委任」の原理とセットになっているところです。つまり、衆愚政治を警戒したシュンペーター流のエリート民主主義の原理です。 しかし、日本国憲法のように、代表委任をとっている場合でも、現在では「公約は守らなければならない」といった命令委任の原理のある部分は認められるようになり、nation主権はpeople主権に近い内容を持つようになっていて、日本国憲法の「国民主権」は「人民主権」と同じ意味だとするのが憲法学界の通説です。

saihoku
質問者

お礼

ありがとうございました。 とても参考になります。

  • tennnou
  • ベストアンサー率73% (494/674)
回答No.2

こんにちわ(/は)。 >人民と国民の違いがいまいち分かりません。 政治学としての位置づけは、 人民:労働者階級・農民階級・小資産階級および民族資産階級をいいます。これに反する地主階級・官僚資産階級・その他人民の利益に反するもの・人民と敵対するものは除外する。平たく言うと無産階級(プロレタリアート)のことで有産階級(ブルジョアジー)の対義語。 国民:国家の統治権の下にあるもので国家を構成・形成するすべての民のこと。そして国籍を保有するもの。市民の代替語。(人民はこの部類に入ります)。 公民:国家の制定する法律の下に平等である民。公民権を所持しているもの。国民のこと。(人民はこの部類に入ります)。 以上のように、人民は国民・公民の構成要因の一つと理解すると簡単です。 現代日本の社会では、戦前の労働者運動が盛んだった頃のネガティヴな印象があるので人民よりも国民が好まれてよく使用されます。日本人民自身も国民のほうを好んでいるようですから。 以下、独り言です。 個人的には、この国民という言語を耳にすると寒気がしますが・・・。日本の単なる政治を司る人間が知ってか知らずか好んで使用しているからです。なんかこう人民に阿(おもね)って、ゴマを摺っているようで、結局は馬鹿にされている感じがして、いかんともしがたいです。素直にtax payerと言ってもらいたいです。天皇陛下に国民と言われるのは一向に構いませんが・・・(^^♪。

  • kobakoba3
  • ベストアンサー率39% (89/225)
回答No.1

 概念としては英語のpeopleの翻訳語として捉えるのが一番解りやすい様に思います。 #リンカーンの「人民の人民による人民のための政治(government of the people, by the people, for the people)」はあまりにも有名ですよね#  英語の辞書にはpeopleの訳語として、「国民、民族、種族」「人々、住民」と共に、「(支配者・統率者に対比して)人民・民衆」があげられています。  また、the king and his people等の用例では「臣民、従者、家来、お供、労働者、召使い、奴隷」等々「被支配者」的意味や、「(自治体・国家などの)選挙権を持つ市民、有権者、公民」という意味もあります。  本来は「被支配者」をさす用語として出発した「人民」が普通選挙権をつうじて「政治的主体=公民」の地位を得て、資本主義を乗り越えた社会ではあらゆる格差がなくなったという建前から「国民=人民」と呼ぶようになるということでしょう。 #左翼的な運動の中では、自由や開放を求める意思を感じさせる用語として、右翼的な運動の中では、被抑圧者に対する蔑称として、それぞれ用いられてきた経過がありますが、21世紀を迎えて死後になりつつあるように感じます。

参考URL:
http://homepage3.nifty.com/katote/jinmin.html#1

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