- ベストアンサー
野球の球威についての学術的理論付けは可能か?
私は、草野球をしています。 野球のピッチングにおいて、よく「球威」という言葉が使われます。「球速」や「伸び」という言葉とは別に使われるんですが、これは物理学的に説明が付くものなのでしょうか? 子供の頃、「力=速度×重量」と習いましたが、キャッチャーをしていると、球威の差というのを明らかに感じます。同一の日時に、同じ投手の 同じ伸び、ほぼ変わらない球速(3km/h以内)の投球でも、球威を出すためのフォームチェック(筋力・重力・体重移動により生じた慣性力などをボールに乗せられるように指導)の前後では、球威は大きく変わってきます。 学術的見地から、このことは説明が付くのでしょうか? 今、とあるフォーラムで議論されているのですが、専門的意見がなく、錯綜している状態です。説明できる方がおられれば、是非教えてください。また、詳細な説明をいただけないまでも、これについて参考になる書物などがあれば、教えてください。よろしく お願いします。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
こんにちは。 まずお断りしますが,野球は観るのは好きですが,野球理論はまったく知りません。 それから,「物理学的に説明がつくか」というご質問ですが,「伸び」「球威」という言葉を物理的に測定できるものとしてまず定義しないと,物理の問題としては議論できない,という事になります。もしもそれが決まっているのであれば補足いただければまた違ったお答えもできると思いますが,現状では「物理の問題としての理論的な話」ではなく,「物理用語を使ったあいまいな話」になってしまいます。 が,話としては非常に興味を持ちましたので,仮に,伸びを「初速と終速の差」,球威を「キャッチャーがボールを受けた時の体感(ここがまたあいまいになってしまいますが)」として,その辺の厳密さはあまり気にせずに考えてみました。 *バッターが打ったときの飛距離についてですが,個人的にはこれも球威のうちのような気もしますが,「キャッチャーをしていると」という記述がありましたので,これは一切考慮しないことをあらかじめ申し上げておきます。 ボールの運動を表す量としては, ・初速度(速さ&角度) ・加速度(どの程度減速するか,主に空気抵抗が関係します) ・回転数 ・回転軸の向き(回転方向) くらいでしょうか。質量はどのボール一定として無視します。重力も質量が同じなので同じと考えて無視します。 直感的には,球威に一番大きく関係するのはミットにおさまる瞬間の球速であるように思います。 そこで,「球速が変わらないのに」という前提についてですが,以下のような疑問があります。実際に測定の事を考えてみて,どうでしょうか? 1.本当にミットに収まる「瞬間」の球速が測れているかどうか? 2.3km/hの差は,体感上「ほぼ変わらない球速」と言ってよいのかどうか? 3.スピードガンの測定精度は,そもそもどのくらいなのか?(例えば,1km/hの違いでも球威に影響するのに,スピードガンの精度が±3km/hだったら,球速測定の意味がありません) 次に,仮に球速がまったく同じであったとして,その他の要素が球威に影響するか,ということです。 加速度については,一般的には「伸び」に関係する理解されているように思うのですが(減速が少ない=伸びがある),この影響も排除できないように思います。例えば,測定ポイントでは同じ球速だけれどもピッチャー~キャッチャー間での減速が大きいように見えるような場合,「受けたときの衝撃」としてでは同じでも,体感として威力がないように感じないかな,などと思ったりします。(この場合,「同じ伸び」という認識が間違っている,という事になります)。 ミットに対してどういう角度でボールが入ってくるか,というのもキャッチャーの体感上は差があるかもしれません。例えば,ちょっと上向き加減の角度に入ってくると,なんとなく球威が増したような気がするのでは,と勝手に思ったりしています。 回転についてですが,ボールが高速で回転していれば,それを静止させるには,ボールの回転がないときよりも仕事(エネルギー)が多く必要なはずです。これをキャッチャーが「球威」として体感するかどうかは定かではありませんが,少なくとも,「回転が違えば受けた感触は異なる」と思います。さらに,回転はボール周辺の空気の流れに影響をおよぼし,ボールに加わる空気抵抗や,力の向きが変わりますので,回転そのものによる体感の差以外にも,ボールの減速しやすさ,ボールの角度など,運動に様々な影響を及ぼしていると思います。 --- 結局のところ,結論は出せないのですが,ミットに到達した瞬間の球速がまったく同じだったとしても(この前提はきちんと検証すべきと思いますが),ボールの角度,回転,キャッチャーにいたるまでの加速度が違えば,キャッチャーが受けたときの体感が違うことはあり得ると思います。 が,これ以上は「球威とは何か」をきちんと分析して定義しないと話ができないと思います。 以上,やはり「物理用語を使ったあいまいな話」になってしまいましたね(^^; 理論的な話というのはなにかと前提条件・制約事項が多く,実際に起こっている現象をきちんと説明するのはなかなかに難しいものなのです。 以上,あまりお役には立てませんでしたが,ご参考にしていただければ幸いです。
その他の回答 (1)
- endlessriver
- ベストアンサー率31% (218/696)
素人でありまた球威とは異なりますが回転の立場から物理的に分析した下記の本をおもしろく読みました。参考になるでしょうか。 なお、力=「加」速度×質量で、速度×質量は運動量です。 速度と質量以外の関係する物理量は回転数、空気抵抗、重力加速度、ボールの表面状態と思います。 野球がおもしろくなる変化球の大研究 岩波書店、姫野龍太郎著、700円
お礼
回答ありがとうございます。 早速その本を探して、読んでみたいと思います。ネットで調べてみたところ、ピッチングについて色々と書かれているようで、読んでみるのが楽しみです。
お礼
回答ありがとうございます。 詳しく書かれていたので、とても参考になりました。 私は以前から、球速の差だけで球威が生じることはないと思っていました。もしそうなら、135km/hの球と、150km/hの球の差は10%程度しかないことになってしまい、捕手として体感にほとんど差が出ませんから。しかし、他の要素も影響してくるというのであれば、納得できる点もあります。 ただ、球威というあいまいなものには、やはり確たる結論は出しにくいんですね。球威、またはこれに類する事象について、専門的に解析をしている人がいると、野球界に大きな変革をもたらすことが出来るんでしょうが。今は、そういう人の出現を待つのみですね。 長く詳しい回答、本当に ありがとうございました。