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無重量状態について
無重量状態を説明するのに円軌道においては遠心力と重力が平衡状態である、と一般的に言うけれども、この説明では円軌道から少しはずれると無重量状態ではなくなるはずであるが、実際は無重量状態である。どのようにせつめいできるものなのでしょうか? またロケットが弾道飛行中も無重量状態である。弾道飛行から円軌道に入る場合を考えると、延期同情では無重量状態である。弾道飛行中の無重量状態と円軌道上の無重量状態は異なっていて、弾道飛行から円運動になると突然無重量状態が切り替わって遠心力があらわれるのでしょうか? よくわかんないんですよね。。よろしくお願いします。
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遠心力は、見かけの力の一種です。 いま、宇宙船が運動していて、その加速度が慣性系で Ai(t)だとします。 ※Ai(t)はベクトルです。 ※Ai(t)と書くのは、加速度は刻々と変化するので時間の関数としてあらわすためです。 ※慣性系とは、慣性の法則が成立する座標系のことです。 この宇宙船に乗っている宇宙飛行士には、近くの星からの重力や、宇宙船の壁や宇宙船内の物体からの力が働いています。これらの力の総和をFc(t)とします。また、宇宙飛行士の加速度をAc(t)、宇宙飛行士の質量をMcとすると、運動の法則により、 Fc(t) = Mc Ac(t) が成立します。 ここで、宇宙飛行士が、《宇宙船に固定された座標系で》自分の運動を観察するとします。このときの加速度を As(t)とすると、 As(t) = Ac(t) - Ai(t) の関係があります。《宇宙船に固定された座標系》で宇宙飛行士が感じる力は、 Fs(t) = Mc As(t) つまり Fs(t) = Fc(t) - Mc Ai(t) ここで、Fs(t)と実在の力Fc(t)の差 -Mc Ai(t) を見かけの力といいます。 宇宙船が円運動をしているときは、Ai(t)が円の中心を向いているので、-Mc Ai(t)は中心と反対向きに感じられる見かけの力です。この場合を特に遠心力といいます。 「遠心力」という名前があるために混乱しているように思います。「遠心力」という名前がついていてもついていなくても、宇宙船に加速度Ai(t)があれば見かけの力が発生します。 ---------------------------- 無重量状態について考えます。 いま、宇宙船に働く力が重力だけとします。重力は複数の天体からの総和でもかまいません。重力加速度をG(t),宇宙船の質量をMvとすると、慣性系で Mv G(t) = Mv Ai(t) つまり、 G(t) = Ai(t) 《宇宙船に固定された座標系》で宇宙飛行士が感じる力は、 Fs(t) = Fc(t) - Mc Ai(t) = Fc(t) - Mc G(t) 宇宙飛行士に働く重力(Fc(t)に含まれる)は Mc G(t)ですから、見かけの力 - Mc G(t)は重力と打ち消し合い、無重量状態になります。 要するに、「宇宙船に働く力が重力だけ」のときは無重量状態になるのであって、宇宙船が円運動か楕円運動か放物線運動か双曲線運動か、あるいはそれ以外の曲線を描いているのかという点は無関係です。
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- joshua01
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こんにちは。 物理等の授業で聞いたことを、現実の感覚や直感との関係で理解しようとする姿勢は大変に良いことですね。その際、単純に説明されていることが意外に複雑な事象の組み合わせであることの発見もあります。今回のご疑問はその良い例でしょう。 数学的な説明はNo1の方がすでに行なわれており、私も自信があるわけではありませんが、ご質問の趣旨が数学的な説明を直感的に理解したいとのご要望と感じており、できるだけ感覚に沿うよう考えた次のご説明はお役に立つでしょうか。 〇 まず、「ふわりと浮く」感覚のある「無重量」の感覚は、物体にどのような力がかかっているかに関わらず、「複数の物体にそれぞれ働く力が同じなのか違うのか」に係っていることをご認識いただきましょう。テーブルの上においた手のひらに乗せた重りが重く感じるのは、重りには重力がかかる一方、手の皮膚は、これを支えようとするテーブルの力を受けおり、その差を圧縮力として「重く」感じます。一方、人間も落下しながら重りを持った場合、手と重りとの間に押し合う関係はなく、重くは感じられないでしょうね。これは、重りへの力と手への力がどちらも同じだからといえるでしょう。同じことは、「床に置いたバネに物を乗せるとバネが縮む」場合でも言えますね。 〇 更に同じことは耳の中の三半規管内の耳石と感覚壁との間についてもいえます。耳石が下がろうとするとき壁を押し、その相互関係で重力(上下)を感じます。水の中では、体は浮いているのに上下感覚もあり「無重力」「無重量」とはいえないことは理解できるでしょう。 〇 この結果、円軌道であろうと、楕円軌道であろうと、直線運動であろうと、宇宙船内のすべての物体に力係る力が同じで相互作用が起きない状況にあれば、「無重量」になるといえます。一方、「重さを床で支える」とか、「ロケットを噴射して椅子を押し出す」ことをすれば、物体ごとに係る力が異なる(物体同士の接触面に力が生じる)ため、「重量」や「加速感」を感じることになります。 〇 さて、このような前提では、「円軌道においては遠心力と重力が平衡状態であるから無重量」との説明自体が少々問題があるといえるでしょう。「なぜ重りが手のひらを押さないのか」という質問に、衛星の搭乗員が「遠心力で上に引っ張られていて平衡状態だから」との答えるのは、短い回答で納得が得られる良い回答ですが、「遠心力のほとんどない弾道飛行中の飛行機の中でも同じ状況になるのだけど・・・」との質問には口ごもってしまうでしょう。 〇 その点、複数の物体にかかる力を同じにするため、あえて重力に従ってしまう幾つか運動が例示されます。最たるものは放物線運動で、「地面が平らでどの位置でも真下に並行に重力が生じており、下に向かって加速している状況」のもとで水平に等速運動している状況(水平方向の運動が0ならば、「真下に落ちる」状況になります。)。なお、この状態は、「重力とバランスする他の力がなく、重力に従って落下運動している」と言える一方、「重力と慣性力がバランスしており、加速はその条件で安定している」と表現することもでき、いずれの場合も、「物体同士の力の相互作用を行なわせない」状況を満足できます。 〇 放物運動の場合、物理の授業では、垂直方向の重力と水平方向運動との組み合わせばかりが強調されますが、放物線の接線方向の「直線運動成分」に対してそれに垂直な「遠心力相当の力」のバランスの図を描くのも有用です。実は、上記の放物運動のモデルを、「地面が球形で、重力がその中心に向いている状況」に書き換えたものがよくある「重力と遠心力のバランス」の図になります。放物線の図の地面を、頂点(運動方向が地面と並行)部分で地面を球面に書き換えると円軌道になり、これ以外の部分で球面に書き換えると、運動の中心のずれた楕円運動に書き換えることができます。(実は楕円運動でも地面と並行になる瞬間がありますが、力のバランスは円運動とずれており、曲がり具合が合致しません。それでも、宇宙船内の物体すべてが同じズレならば、「無重量」状態になります。) 〇 さて、ここまでご説明すると、「弾道飛行から円運動になると無重量状態が生じる」という表現をとるべきではないことにお気づきでしょう。衛星の周回運動は、弾道飛行(放物運動)そのものの一部であり、「落ちているだけなのに地面が曲がっているので衝突しない」とも言えて、いずれも既に無重量状態と言えます。 〇 そして、No.2さんのお答えにも示唆がありますように、あえて極論をすれば、「いい加減な方向・推力でもロケットを噴射している間は加速感(重力感)があり、それを止めたとたんに、必ず無重量感が得られる」(放物線を描いて落っこちていく)。そして、「ロケットの噴射量と角度が、一定の条件の範囲内にあれば、落っこちた先に地面がなく、楕円ながらも地球を周回できる」。さらに「ロケット噴射停止時の運動方向が地面と並行(円の接線方向)で、高度と速度の関係がある条件を満足すれば円軌道になる」と言えるでしょう。 さて、結構奥の深い問題であり、長くなってしまいましたがご質問の趣旨に合っているでしょうか。 お役に立てば幸いです。
お礼
耳の三半規管までも交えての解説、非常にわかりやすかったです。いい加減な方向・推力でもロケットを噴射している間は加速感があり、それを止めたとたんに、必ず無重量感が得られるという説明で、無重力状態が一言で言えてしまう、ということはちょっと感動ですね。これから他人にこのように質問されたらそう答えます。長々とありがとうございました。
- First_Noel
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正確な解説は#1さまが的確に述べておられますので,補足程度に.. 重力(逆二乗の法則に従う力)に逆らわないとき, 物体の軌道は「二次曲線」になります. 円,楕円,放物線,双曲線が含まれます. 重力環境下で物体が二次曲線を描いているとき,無重量状態となります. 実際のロケット打上では,何度か噴射・停止を行う場合もありますが, 弾道飛行から円・楕円軌道へ加速ナシで投入することは出来ませんので, >弾道飛行中の無重量状態と円軌道上の無重量状態は異なっていて、 の2つは切れ目なく続いているのではなく, 両者の間では必ずエンジン噴射による加速度を感じることになります.
お礼
一人目様の補足ということでありがとうございました。加速度を感じるときに無重量状態ではなく、加速度を感じる、ということは感覚的にはそう思ってましたが、実際どうかわかりませんでした。ありがとうございます。
お礼
ありがとうございます。このような疑問は普段できるだけ避けてきたんですが、このサイトを見つけて質問してみたくなりました。本当に細かく式まで使っていただきありがとうございます。何とか理解することができました。