[動物と植物の違いから考えた場合]
”動物は生物を食料とします。そのため、動物は強靭で機敏でなければなりません。そこで、動物は素早い運動に適した組織を持ち、その細胞は力を生み出したり伝えたり、素早く形を変える必要があります。これに対して植物は定住生活を送るため、その組織は固いがバラバラにした細胞は弱くてもろいものです。”(Essential 細胞生物学 南江堂を改変)
動物細胞には柔軟・動的な細胞骨格というものがあります。これは、細胞内の構成成分を細胞内に秩序正しく配置したり、細胞の強度を高める機能を持っています(家の柱みたいなもの)。しかし、植物細胞には細胞骨格の中で、中間径フィラメントという外力から細胞を保護する成分がありません。そのため、植物は固い細胞壁を必要とします。
[植物の細胞壁は本当に固いのか?と疑った場合]
植物の細胞壁は強靭でなければなりませんが、必ずしも固い必要はありません。パンパンに膨れ上がったサッカーボールを例にします。革製の外側(細胞壁)が固く感じられるのは、ゴムの内袋(細胞膜)に空気(水)が充分量入っているからです。要するに、植物は細胞内外からの圧力(浸透圧)に耐えうる強靭な細胞壁を持ち、膨張した状態にあるため固いと感じられるのです。レタスの葉がパリッとした状態にあるのは、膨張している時です。水が不足して細胞が縮むと、レタスはしおれてしまうのです。
ちなみに、細胞壁は細菌も持っています。細胞壁を作る成分は植物とは異なりますが、浸透圧を保つという点では機能は同じです。ペニシリンなどの一部の抗生物質は、この細胞壁の合成を阻害して殺菌作用を示します。ヒトに細胞壁があったとしたら、恐ろしいことになっていたかも...
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