公務員批判について
こんばんは。 よろしくお願いします。
現在、国家公務員の給与カットが話題になっていますが、
公務員に対する批判がここ数年かなり多くなっているように思います。
この批判が、客観的根拠に基づく内容ならば問題はないのですが、
中には根拠の無い言いがかりのような批判さえあります。
本日、皆様にお伺いしたいのは、公務員の給与についてです。
公務員の給与は人事院勧告により、
民間企業の給与水準と等しくなるように調整されています。
人事院勧告は「企業規模50 人以上かつ事業所規模50 人以上」の民間企業を対象に、
人事院勧告の対象となる公務員と“仕事の種類”、“役職段階”、“勤務地域”、
“学歴”、“年齢”が同じ者同士を比較調査して決定されています。
よって、公務員の給料は大企業の給与水準により決定されている等の批判は事実誤認であり、
人事院勧告は中小企業の給与水準をも反映したものとなっています。
また、公務員と民間の年収を比較する際に、“公務員の平均年収700万円”、
“民間の平均年収400万円”等の数字が出てきたりしますが、
これは民間の平均年収にはアルバイトやパートタイマー等の労働者が含まれているほか
“仕事の種類”、“役職段階”、“勤務地域”、“学歴”、“年齢”等の要素が
まったく考慮されていないため、両者を比較することはまったく無意味です。
【例】
ある役所には55歳で年収800万円の職員が4名と25歳で年収300万円の職員1名がいます。
一方、ある企業には55歳で年収800万円の職員が1名と25歳で年収300万円の職員4名がいます。
ある役所における職員一人当たりの平均年収は(800万円×4名+300万円)÷5=700万円/人、
ある企業における職員一人当たりの平均年収は(800万円+300万円×4名)÷5=400万円/人
となります。
この場合、ある役所とある企業の間に給与の格差があるといえるでしょうか。
特定の事柄を比較する場合は、比較対象以外の条件をそろえる必要があります。
この点において、人事院は真面目に調査を行っていると思います。
(ただし、「企業規模50 人以上かつ事業所規模50 人以上」の民間企業を調査対象としているが、
役所の職員数から考えたら調査対象が広すぎるのではないかとの指摘はあると思います。)
さらに、公務員の給与について批判をされる際に、
民間企業では赤字であれば給与やボーナスがカットされるのは当たり前であり、
国が赤字である以上公務員の給与やボーナスをカットするのは当然である
との主張をなさる方がいますが、
営利を目的とした民間企業と行政を同一視すること事態が間違いであると思います。
国や地方自治体で借金が増えている理由は、税収以上の公共サービスを提供しているからです。
つまり、国民は納税額以上の公共サービスを享受しておきながら、
それによって生じた国や地方公共団体の借金を公務員だけに押し付けようとしています。
そもそも、国や地方公共団体の予算は議会により決定されています。
よって、国や地方公共団体の借金は国民の意思によるものであり、
決して公務員が作った借金ではありません。
【ここで質問です】
公務員の給与が高すぎると批判をされる方々の立場に立って、
仮に公務員と民間企業において
“仕事の種類”、“役職段階”、“勤務地域”、“学歴”、“年齢”等が同一であるにも関わらず
年収に格差が生じているとしたら、
公務員の年収の水準より低い民間企業の年収を増やすべきと考えるのが
通常の思考ではないかと思いますが、
どうして公務員の給与をカットして、
給与水準の低い一部の民間企業に合わせようと考えるのでしょうか。
公務員であれ民間企業の職員であれ、
給与水準が下がることは同じ労働者として好ましくないことではないのでしょうか。
公務員は労働基本権の一部が制約されていますが、
民間企業に勤めている方は労働基本権が保障されていますので、
“仕事の種類”、“役職段階”、“勤務地域”、“学歴”、“年齢”等が同一であるにも関わらず
公務員の年収の水準以下の給与しかもらえていない方々は
団結して経営者との交渉に臨むべきだと思いますが、
なぜ自分たち労働者の権利を行使して自らの処遇改善を求めることなく
公務員批判を行うのでしょうか。
その他、関連する内容でご意見をお持ちの方もご回答いただけたらありがたいです。