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核子間の結合エネルギーの存在場所

ウラン原子核の核分裂では、結合エネルギーが運動エネルギーと熱エネルギーと中性子線その他、または重力波と電磁波と中性子線その他に変換されるようです。 核子間を結びつけているとされる結合エネルギーですが、2つの核子の中間の何も無い空間に存在しているのですか。物質の何も無い空間に存在しているのであれば、ダークエネルギーと同様な概念で、科学的に全く疑いなく立証されているとは言い切れないですよね。 湯川博士の提唱された中間子は残念ながら現在では否定されているので、結合エネルギーの見直しも必要では?

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  • QCD2001
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回答No.3

核子と核子とを結びつけているのは、パイ中間子であって、中性子ではありません。中性子が近くにあると陽子同士が近くにとどまれるようになる、というようなことはありません。 湯川博士は、電子と核子との中間の質量を持った未知の素粒子が陽子と中性子とを結びつけると考えました。そして、その数年後に発見された新粒子「ミュー中間子」がこの核力の媒体であると考えました。しかし、博士自身の計算で、このミュー中間子では引力が生じないことを見出し、核力の媒体は別の粒子である、と主張を変えています。この別の粒子が後に発見されたパイ中間子で、ミュー中間子と呼ばれた粒子は、現在では中間子ではなくレプトンとよばれる電子の仲間であることがわかっています。 私は大学の物理学科卒ですが、いわゆる学卒(学部卒業)であって院卒(大学院卒業)ではないので、以下に述べるような高度な内容は私の知識の範囲を超えていますから、正確な表現ではないことをお断りしておきます。 不確定性原理により、パイ中間子はごく短時間であれば無から生み出され、ごく短時間経過後にはまた消滅して無に帰る、ということが起きます。 この無から生み出されるパイ中間子が陽子と陽子間、陽子と中性子間、中性子と中性子間を飛ぶことにより引力が生じます。しかし、無から不確定性原理によって生み出された中間子は、ごく短時間経過後には消滅してしまいます。その短時間に中間子が移動できる距離は、核子1個分程度です。それ以上離れると中間子が存在できないため、中間子による引力は急激に減少します。 この、パイ中間子が不確定性原理によって無から生じ、ごく短時間後に消滅して無になる。だからごく短距離しか引力が働かない。というのが湯川博士の中間子論の核心的な部分です。 陽子と中性子がそれぞれ2個ずつが結合したα粒子の状態が極めて安定な状態であることが知られています。原子核の内部でも、質量数が4以上の原子核では、アルファ粒子の状態になっているらしいことが知られています。 ですから、質量数が5の原子核はα粒子1個と中性子または陽子が1個で構成されることになります。質量数が6の原子核はα粒子1個と2個または3個の核子とから構成されます。 α粒子の状態が安定なので、大きな質量数の原子核では、陽子と中性子とが同数あると安定になるはずです。 さて、無から生じた中間子による核力引力は、核子1個分程度の距離しか作用しないのに対して、陽子のプラスの電荷同士の斥力は、遠方まで作用できます。ウランの原子核の直径は、核子の直径の6倍程度の大きさがあります。この程度の距離でもクーロン斥力は原子核の端から端まで十分に作用しますが、核子による引力は原子核の端から端まで届きません。その結果、重い核種では、陽子と中性子とが同数では不安定になります。 これが安定な状態になるためにはクーロン斥力を減らせばよいわけです。そこで、陽子の一部が陽電子を放出して中性子に変わる、という核変化を起こします。 実際には恒星の内部で重い核種が作られるときに、陽子が陽電子を放出して中性子に変わったり、陽子に電子が押し込まれて中性子に変わったり、という核反応が起きて、陽子よりも中性子が多い原子核が作られます。 ウラン235は陽子が92個で中性子が143個あります。α粒子の状態が安定なので、α粒子が58個(陽子が116個)の状態が安定なはずなのですが、陽子のクーロン斥力が強すぎて安定を保てないため、24個の陽子が中性子に変化して、陽子が92個、中性子が143個でようやく安定な状態を保っています。たぶんα粒子が46個の状態になっていると予想されます。この46個のα粒子と51個の中性子は、原子核内で一定の軌道を(というのは古典論的な表現になってしまうので、正しくないのですが)運動しているらしいです。この辺は私の物理学理解力を超える範囲なので、よくわかりませんが、原子核が安定になるようなある規則に従って運動していると考えてください。 ここに中性子が1個入ってくると、46個のα粒子と52個の中性子で構成される原子核に変わったわけです。この時の安定な状態になるための「軌道」は中性子が51個の時とは異なる状態になる必要があります。残念なことに、そのような安定な量子状態が存在しません。その結果核分裂が生じます。 ここで注意していただきたいのは、「飛び込んできた中性子の衝撃で核子間の距離が拡がって・・・」ではないということです。 中性子がぶつかった衝撃で核子間の距離が拡がるのであるなら、高速の中性子が原子核の端をかすめても、核子間の距離が拡がり、核分裂が生じなければなりません。 また、ほとんど静止している程度まで減速した中性子はほとんど衝撃なしで原子核にそっと入り込みますから、核分裂は生じないはずです。 しかし実際にはほとんど静止している中性子で核分裂が生じ、高速の中性子はかすっただけでは核分裂を生じません。 このことから、 「中性子の衝突で核子間のスキマが一瞬長くなり、陽子2つの中間近くの中性子が一瞬離れると、陽子同士もクーロン斥力で離れてしまい、3つの核子が一旦バラバラになる」 というのが間違いであることがわかります。

DK000
質問者

お礼

私は高専の電子工学科を留年ギリギリで卒業した劣等生なので、QCD様の方が10倍以上原子核に詳しいと思います。 安定な原子核に中性子が近づけると不安定になって分裂するわけですね。 高専レベルだと、ガンマ線も電磁波の一種なので、荷電粒子である陽子と電子の組み合わせからしか発生しないはずなのですが…。大学レベルでは、中性子も磁気モーメントを持つ磁性体だからガンマ線を放出するのかな?ますます自己不信です。ありがとうございます。

その他の回答 (2)

  • QCD2001
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回答No.2

>ウラン原子核の核分裂では、結合エネルギーが運動エネルギーと熱エネルギーと中性子線その他、または重力波と電磁波と中性子線その他に変換されるようです。 全く違います。 どうも話がおかしいので、質問者さんの過去の質問を読み直してみました。 どうやら「結合エネルギー」というモノについて根本的な誤解があるようです。 結合エネルギーとは、結合を壊すことによって「取り出すことができるエネルギー」ではありません。 結合を壊すために「外部から加える必要のあるエネルギー」です。 ですから、結合エネルギーというのは どこかに「存在している」エネルギーではありません。 核子がばらばらになるために「不足している」エネルギーです。 従って「物質の何も無い空間に存在している」のではありません。不足しているのです。取り出して何かに使うことはできません。 では、ウラン235の核分裂の際に、どこからエネルギーが出てくるのか? 実はクーロン力なのです。 陽子はプラスの電荷を持っています。この陽子同士をぎゅっと近づけてくっつけるためには大きな力が必要なので、陽子を結合させる際にエネルギーが消費されます。この時に消費されたエネルギーが結合エネルギーです。エネルギーが消費されたので、このエネルギー分だけ質量欠損が生じます。 結合した陽子を引き離すためには、この質量欠損分のエネルギーを外部から与える必要があります。結合している核子を引き離そうとすると、外部からエネルギーを加えることになるので、そのエネルギー分だけ質量が増加します。クーロン斥力に逆らってプラスの電荷同士をぎゅっと押し縮めていたので、核力による結合が無くなれば陽子はクーロン斥力により飛び散ります。これが核分裂によって発生するエネルギーです。 ちなみに、核分裂で重力波は出ない。中性子は余った中性子が飛び出すだけで、エネルギーが変換されて発生したわけではない。 湯川博士の中間子論は否定されていない。計算間違いを指摘されて修正されているだけ。

DK000
質問者

お礼

クーロン力なのですね。QCD様の重要かつ貴重な知識に感謝いたします。陽子同士を近づけると、万有引力(または強い核力)よりもクーロン斥力がやや強くて反発し合いますが、中性子が中間近くにあると、どちらの陽子も中性子との間の引力が働き、陽子同士も近くに留まれるようですね。反発し合う男性2人を職場に留めている、和やかな女性事務員さんみたいな存在なのでしょう。 でも原子核外からの中性子の衝突で核子間のスキマが一瞬長くなり、陽子2つの中間近くの中性子が一瞬離れると、陽子同士もクーロン斥力で離れてしまい、3つの核子が一旦バラバラになる感じでしょうか。 陽子と中性子と核子は2種類存在する、陽子間のクーロン斥力が引力より微妙に強い、でも中性子でつなぎ留める、絶妙な設計と力のチューニングですね。感動しました。

回答No.1

>核子間を結びつけているとされる結合エネルギーですが、2つの核子の中間の何も無い空間に存在しているのですか。 そうなります。 >物質の何も無い空間に存在しているのであれば、ダークエネルギーと同様な概念で、科学的に全く疑いなく立証されているとは言い切れないですよね。 重力もそうですね。真空中でも重力は作用しますから、重力も「ダークエネルギーと同様な概念」になってしまい「科学的に全く疑いなく立証されているとは言い切れない」事になってしまいます。 貴方が「重力は信じるけど、結合エネルギーは疑わしい」と思うのは何故でしょう? どっちも「何もない空間に存在している」のは同じですよね? >結合エネルギーの見直しも必要では? だったら、重力も見直さないといけませんね。 「重力は重力、結合エネルギーは結合エネルギー。違うもんだ」は通用しませんよ。

DK000
質問者

お礼

鋭いご指摘に感謝します。プラス電荷とマイナス電荷が引き合う電界、N極とS極が引き合う磁界、核子同士が引き合う重力ないし核力、そしてダークエネルギー、力の源はどこに存在するのか?素粒子内部か真空中か?という感じのテーマになりそうですね。比較して整理してくださり、ありがとうございます。

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