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夏目漱石の「それから」に出てくる表現に対する質問で

夏目漱石の「それから」(角川文庫版)の九章において、主人公代助の兄嫁にあたる梅子、という女性が「馬鹿なことをおっしゃるなよ」という台詞を口にしていました。 しかし私の感覚では「〜なよ」という否定は男性の口調のように思えます。夏目漱石はなぜ女性の台詞にこの語尾を使ったのでしょうか? 宜しければ教えていただけると幸いです。

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  • Nakay702
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回答No.1

多分に主観的ですが、以下のとおりお答えします。 >夏目漱石の「それから」(角川文庫版)の九章において、主人公代助の兄嫁にあたる梅子、という女性が「馬鹿なことをおっしゃるなよ」という台詞を口にしていました。しかし私の感覚では「〜なよ」という否定は男性の口調のように思えます。夏目漱石はなぜ女性の台詞にこの語尾を使ったのでしょうか? 宜しければ教えていただけると幸いです。 ⇒一般論として言えるかどうかの確信はありませんが、お尋ねの問題について私が個人的に感じたことは、次の二つです。 ①梅子としては、自分の夫(代助の実兄、誠吾)に対する発言なので、ややぞんざいな言い方になったのではないか、と考えられます。その証拠に、夫よりはやや疎遠な関係である義弟の代助に対しては、幾分丁寧な(または女性らしい)言葉遣いをしていますね。例えば、同じ九章の最後で、 《梅子はハハハハと笑った。そうして、 「まあ御這入んなさいよ。丁度好い所だから」と云って、代助を楽器の傍まで引張って行った。》 と言っています。また、七章でも、 《「嘘を仰しゃい。序(ついで)だから、みんな打ち散(ぶちま)けて御しまいなさい」(…)「それ御覧なさい。あなたは一家族中悉(ことごと)く馬鹿にしていらっしゃる」》 のように言っています。 この「御這入んなさいよ」、「嘘を仰しゃい」などの言葉遣いは、くだんの「馬鹿なことをおっしゃるなよ」に比べれば、いくらか女性的な口調のように感じられます。これは、普段一緒に暮らしている夫と、たまにしか会わない義弟に対する言葉遣いの差ではないか、と考える次第です。 ②当時、この種の表現では、男性的な口調と女性的な口調との違いがあまりなかったのかも知れませんね。例えば、五章では、 《「御前金が出来るのかい」「私ゃ一文も出来やしません。借りるんです」「誰から」 代助は始めから此所へ落す積りだったんだから、判然した調子で、「貴方から借りて置こうと思うんです」と云って、改めて誠吾の顔を見た。兄はやっぱり普通の顔をしていた。そうして、平気に、「そりゃ、御廃しよ」と答えた。》 となっています。このように、兄誠吾をして「そりゃ、御廃(およ)しよ」と言わしめています。これなど、今の我々からみると、逆に女性言葉のように思えますね。 これを、くだんの「馬鹿なことをおっしゃるなよ」と並べてみると、どうも入れ替えた方がよさそうに思えて仕方ありません。結論として言えることは、当時、一般的かどうかは定かではありませんが、少なくとも夏目漱石にあっては、あるいは作品「それから」においては、男性的な口調と女性的な口調との違いはあまりなかった、とでも見なすほかはなさそうです。

konoe2525
質問者

お礼

とても詳しい説明をくださり、疑問だった点がすっきりしたように思います。助かりました、ありがとうございます😊

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