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紙製育苗ポットがおすすめの理由と注意点
- 紙製育苗ポットは、白菜の種まきにおすすめです。
- 紙製ポットは、自然に分解するため、定植時にポットごと植え込むことができます。
- ただし、乾燥状態ではなく湿った状態で使うと、ポットがすぐに分解してしまう場合がありますので注意が必要です。
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製品(メーカー)よって手軽に使える物と、個人で使うには難しい物ありますが・・・。 まずパルプを型に流し込んで乾燥させ作られているポット型や角形連結の製品(ジフィーポットなど)なら、厚手の様に感じますが定植までが短期間である使用であれば特に問題ありません。ただ植物自体が通水性の良い土を好む性質を持つのであれば本来使用は向きませんし(乾燥しすぎ易い)、パルプ部分が水分を多く吸って保つ性質を持つ為に育苗中は水が溜まるトレイなどは使えませんし(水が多く溜まり気温が高いと根が傷みやすい)地面に直接置けば地面の土から移ってくる微生物などが分解してしまい、しばらくするとパルプ部分が弱くなり破れて中の土が出てきてしまう事も。今からの時期は早いうちに抵触してしまわなければ頻繁に水を与えてしまうと過湿になって、途中で表面に緑色の藻が生えて来てしまい、根の方も弱りがちです。 今時期に種子蒔きする場合は気温が高くて乾燥が心配になり育苗時の水やり頻度も多くなりがちで、このパルプ材質の製品だと育苗時期の水やり度合いの調整が難しくなりがちで管理が大変になる事も。個人的には春蒔き種子での育苗でしか(育苗箱に並べいれて使用)使いません。 もう一つ、ペーパーポットという、紙束が畳まれている状態で売られていて使用する時に手で広げるとハニカム構造の穴が連なっている大きなサイズの長方形型へ変化する製品があるのですが、もしかするとこちらの製品の方をご使用でしょうか? もしこちらの方であれば、紙は簡単に分解しますが他の事情から時期的な問題から家庭菜園レベルでの使用は難しいです。 このペーパーポットと言うのは北海道で栽培されるビート(砂糖ダイコン)の種子蒔き・育苗専用として昔からあるものなのですが、北海道での使用時期は2月中旬くらいから3月のビニールハウス内の種子蒔きの時から、5月の畑への定植まで。春蒔き・春定植前提で使われるものなのです。 私の親戚が昔ビート栽培をしていて小学生の頃から良く春休みやゴールデンウィークには農作業の手伝いに行ったものです。 北海道の春はまだ冬と変わりなく、ビニールハウス内もただ雪が無いだけであまりハウス内は暖かくないので、ハウス内に更にビニールトンネルを設置するのですが、ハウス用の暖房を使っていない場合は2種類のサイズの支柱を重ねて使い、内部の支柱にビニールをかけてから外側の支柱にもビニールをかける二重トンネル栽培で苗床を作り、その内部にペーパーポットの穴に土を詰め穴へ種子を一粒づつ蒔いてから(どちらもビート種子蒔き専用の器具が必要)上に更に土を被せて水をかなりたっぷりと与えます。ペーパーポットの深さが深い(穴の内部が細長い)ので底まで水が届くまでじっくりと水を与えます。 発芽までの間は、昔のハウス暖房の器具が普及するまでは二重トンネルは日中でも開けず、夜に成ればビニールトンネルの上に古い毛布を2~3枚掛けて保温していたものです。 ビート自体が寒い地方原産の野菜で(最近人気のレッドビーツとは近縁ですが性質が違う)種子蒔きや育苗期間の温度が暑すぎても弱るので、現在では暖房を使えば使ったで温度が高く成り過ぎない様にハウスの一部から外気を取り入れ温度を下げたりとかえって大変な様です。 北海道でのビートの定植時期と言うのは人の体感だと結構寒いのですがビート苗にとっては適温で霜が降らない限りは問題ありません。そこでほんの2~3日の間に全てを定植する為にとペーパーポットが作られました。これはビートの苗の植え付け機で使える様に改良されている専用の製品なのです。 人が手で植え付けるにはペーパーポット使用は大変です。1本1本に手で丁寧に引きはがさなくてはなりませんが、引きはがせば乾きが早いので、重いペーパーポット入りの沢山の苗をある程度の塊(30~50本)で持ち運びながら植え付ける時に1本外しては深く植え付けなければなりません。これはもし他の野菜の種子蒔き・育苗に使うのにでも避けきれない問題。まだ専用の植え付け機が無かった時代の定植や、定植後に部分的に定着せず枯れた部分へ補植する場合は、人の手作業で行い苗を腰からぶら下げた容器にまとめて入れ、トタンを細長い円錐形にして作った植え機の中に1本1本落としては土に刺して植え付けます。 この専用植え付け機と補植作業の為にペーパーポットは薄く、穴の直径が小さく長さも深くなっています。まだ地温が冷たい時期だからこそ細長い筒に入った土に張った根でも容易には乾く事無く耐えられます。近年の異常気象では5月の定植時期に真夏並みの気温が数日続く事もあり乾燥気味の土質の畑では乾燥が早すぎて定植後の苗が乾燥して枯れてしまう事態が起き、その年の収穫量が減るので砂糖の値段にも影響が出てきてしまっています。 ペーパーポットは春定植だからこそ使える仕様のもので、夏時期の種蒔きと育苗にもし使ってしまうと定植後畑で萎れ枯れるリスクがかなり高まってしまいます。もしこの製品の使用をお考えなら購入は止めて別の方法を考えましょう。 ただ、パルプ製のジフィーポットにしろ、ペーパーポットにしろ、白菜の育苗に使うには土が入る容量が少ないと個人的に感じます。普通は定植までに苗を1度は植え替えた方が育苗の効果が上がって定植までに立派な苗に育ちます。ポットに種子蒔きして育苗し一度の植え替えも無いままに畑へ定植しても根が少ない分、その後の成長に影響が出易いのですよね・・・。 私なら、種子蒔きと初期育苗はセルトレイ(又はプラグトレイ)で、本葉2~3枚くらいで ビニールポットに移植して育苗してから畑へ移植します。一度目の移植時に根が刺激を受けて根張りが良くなるのでビニールポットでの育ちが良くなり定植でのストレスもその分強くなります。 セルトレイはプラスチック製の、穴が沢山並んでいる種子蒔き・育苗容器です。製品により穴のサイズや深さがいろいろなので、種子蒔きから初期育苗までは種子さえ大き過ぎなければどんな種類にも使えます。現在の農家ではこれを使った種子蒔きが主流で、現在の農協に加入している農家では、農協が種子蒔きから初期育苗を専門の農家に任せ、それを農協が各農家に分配提供するという流れで大量生産させており、以前親戚の農家の夏収穫キャベツの苗植え付け手伝いに行った時に穴サイズが小さいセルトレイで育ったまだ本葉が2枚しか出ておらず細くてか弱い苗を定植する様に言われ、「こんなのでほんとに育つの?」と感じましたが、収穫にまた手伝いに行くとしっかりと育っており品種での大きさとしては立派なサイズに育っていて驚きました。 野菜の種類と、まだ暑すぎない時期の定植であればセルトレイで育苗してから直に定植も可能な様ですが、これから種子蒔きで大きく育つ白菜だと、あまり苗がしっかりしないうちの定植ではその後の育ちに影響が出そうです・・・。 また植物には発芽や初期育苗の時期に、他の種子や苗が近くに無いと発芽や育ちが遅れがちという性質があります。種子蒔きの時に直蒔きならバラ撒いたり筋蒔き、鉢やビニールポットに蒔く時は3~4粒蒔いてから発芽して生え揃ったら一回目の間引き、本葉が出てきたら残す物以外は全て間引くというのはこのため。近くに同じ種類の物が同時に生えると「育ちを競い合う」性質を植物の多くが持ちます。針葉樹の植樹でもかなり間隔を寄せて植えていき伐採が出来るまでの大体50年の間に何度か間伐して切り倒すのも同じ理由。 野菜の場合種子蒔きから初期育苗の期間はこの競い合わせが大切なのでセルトレイでの種子蒔きや育苗は理に適っており、しかもこれを使えば適度に間隔があくので間引く必要が無く、蒔く種子数も収穫したい数に、予備として20株分くらい多く考える程度で良いのです。もしパルプ製のジフィーポットなど使っても種子は3~4粒蒔いて間引いていかないと成らないのですから収穫予定数の3~4倍の数の種子が必要。これを考えればセルトレイを使えば種子蒔き・育苗専用土の購入量は少なくて済みますし(ポットへの移植時の土は別に用意)種子の購入数も少なくて済み、セルトレイは丈夫な物を選べば何度も使え長いと数年はどんな野菜の種子蒔き・育苗にも使えます。 移植して定植するまで育苗するポットも、一応パルプ製の製品の物もあるにはあるのですが、購入単価が結構かさむのですよね・・・。それを考えればビニールポットや、鉢花の生産で使う育苗用のプラスチック鉢(薄手ですが丈夫。よく鉢花を買うと外側の鉢の中にすっぽりと入れられ使われている物)の方が頑丈で一度買えば何年も続けて使えます。 個人的にはパルプ製の育苗ポットや、細かい網の中にピートモス主体の土が詰められ圧縮してあって、種子蒔き前に水で戻してから使う製品(ジフィーセブンなど)は案外育苗期間での使い勝手が悪く感じ、買って試してみたものの、持て余してしまい結構な数を物置にもう10年くらい放置したままになってます・・・。野菜に使うものと言うよりも、花の種子蒔き(それでもどれにでも使えるわけではない)や挿し芽での育苗、それもあまり多くない株数を育て得るのに使うものと言う感じですかね・・・。
お礼
とても詳細に説明していただきありがとうございました。 セルトレイで発芽させて一度植え替えてから定植する方法が良いとのこと、早速試してみます。