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情報の順番
問題集を見ていたら、 Der Sohn schlägt mit dem Hammer auf dem Nagel. が正解になる文がありました。 「釘を」と「ハンマーで」の語順は、こうでないと奇妙なのでしょうか。それともどっちでもいいのでしょうか。つい目的語っぽい「釘を」を前に持っていきたくなってしまうので、知りたいのです。
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先に確認ですが、「auf dem Nagel」ではなく「auf den Nagel」ではありませんか? 写し間違いか、もし問題集の回答がそうなっているのなら誤植の可能性が高いと思います。「釘を打つ」という動作なので、直接目的語を取らないのであれば「動作の方向」を示す4格になるはずです。3格だと、息子が釘の上に乗っているようなイメージが湧いてしまいますが。 「情報の順番」という考え方が目安となる語順もありますが、文法的な取り決めが優先です。「目的語っぽい」とありますが、「釘を」という日本語訳で考えていませんか? 「auf den Nagel」は、文法的には「目的語」ではなく「副詞句」です。前置詞 auf があるので「直接目的語」ではありません。直接目的語で文を作ることもできるので、その場合は den Nagel が先に来ることはできます。 Der Sohn schlägt den Nagel mit dem Hammer. ただし、「情報価値が大きい文肢ほど後ろに置く」ということがあるので、「den Nagel」と「mit dem Hammer」のどちらが重要かによっても変わります。疑問文との対応で考えるとわかりやすいでしょう。 Was schlägt der Sohn mit dem Hammer? Er schlägt mit dem Hammer den Nagel. Womit schlägt der Sohn den Nagel? Er schlägt den Nagel mit dem Hammer. 質問に挙がっている文の場合、「mit dem Hammer」も「auf den Nagel」もともに副詞句です。こういう場合は、その副詞句が「補足成分」であるか「添加成分」であるかによって決まります。「補足成分」の副詞句は「gebundene Adverbialbestimmung」と言って、必要不可欠な情報、「添加成分」の副詞句は「freie Adverbialbestimmung」と言って、省略しても文が成立する情報です。より重要な「補足成分」が後ろに置かれます。たとえば、 Wir wohnen seit vielen Jahren in Frankfurt. という文の場合、「in Frankfurt」は「補足成分」で、これを省略すると文になりません。 *Wir wohnen seit vielen Jahren. (wo?) しかし、「seit vielen Jahren」を省略しても文は成り立ちます。 Wir wohnen in Frankfurt. Der Sohn schlägt mit dem Hammer auf den Nagel. という文の場合、当然ながら叩いているものを示す副詞句「auf den Nagel」の方が重要で、これを省略した Der Sohn schlägt mit dem Hammer. というだけの文は、それ以前の会話の中ですでに「釘」を打っていることが認識されているのであれば可能ですが、単独の文としては 情報不足です。ですので、この文の場合は、より重要な「補足成分」である「auf den Nagel」が後ろに置かれます。 なお、補足成分の前に置かれる添加成分の副詞句がいくつもある場合、語順はかなり自由度が高くなりますが、一般的に言われるのは TeKaMoLo という目安で、つまり「時間、時」(temporal)-「原因、理由」(kausal)-「様態(どのように)」(modal)-「場所」(lokal)という順序です。これらの順序が入れ替わることも多いですが、より大ざっぱな傾向として、「時間」「原因」の二つは「様態」「場所」の二つより前に置かれるということがあります。つまり、TeKa/KaTe + MoLo/LoMo です。特に後半のMoLo と LoMo の語順の入れ替わりはよくあります。ドイツ語のネイティブたちに言わせると、こう言う語順はあくまでも「推奨」で、あまり意識しないようです。 後方に置かれる「補足成分」と複数の「添加成分」を含む文例を二つ。 Er ging gestern wegen des schlechten Wetters nicht zum Hafen. Er ging [ → → ] nicht zum Hafen(補足成分) [ → ] gestern(temporal、時)/ wegen des schlechten Wetters(kausal、理由)[ → ] (添加成分二つ) Wir sind letztes Jahr in Amerika gern in Naturparks gefahren. Wir sind [ → → → ] in Naturparks(補足成分)/ gefahren(過去分詞は文末) Wir sind / letztes Jahr(temporal、時)/ in Amerika(lokal、場所)/ gern(modal、様態)[ → ] (添加成分三つ)
お礼
すみません、補足コメント欄とお礼コメントらsんの使い方を誤っておりました。 改めてお礼申し上げます。
補足
はい。おっしゃる通りです。最初に訂正します。失礼しました。 auf den Negel が正解です。(まさに前置詞と格の関係を教えるセクションの問題) 不可欠の情報を後に置くということを知りませんでした。両方とも副詞句なのは理解していたのですが、英語頭になっているのか、逆に見えてしまい、お尋ねしました。 ほかにもたとえば Er geht ins Kino mit dem Freunden. とか、Die Kinger spielen Fußball sehr gut. といった文を作ってみて答を見ると、不正解で、順番が違う!と悩んでおりました。 「補足・添加成分」によるご説明で一気に腑に落ちました。それで、Fußballも後ろにゆくわけですね。自分には、副詞句が目的語の前に割り込めるの?という風に見えておりました。 素晴らしいご回答をいただきましたので、プリントアウトして読み込んで、システムの概要を理解したいと思います。 このたびもほんとうにありがとうございました。