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カムのトルク計算方法とは?
- エンジンのバルブシステムとカムシャフトを使用してカムトルクを計算する方法について教えてください。
- 静的状態と動的状態(回転数によって)ではカムトルクの値は異なるのでしょうか?
- カムトルク計算について詳しく教えてください。
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カムの伝達計算は、カムの接触角が一定でなく、また掛かる負荷も変化するので、一見 難しく考えがちです。 しかし、ねじ機構やテーパーを使用した軸のメカロック機構、楔効果、釘抜き効果、 シーソー、天秤、等々は皆同じ原理で計算が可能です。 その原理は、エネルギー(仕事量)保存の法則です。 エネルギーは、力又は重さ[kgf]×距離[m]÷時間[sec]で求まります。 (距離[m]÷時間[sec]を、速度[m/sec]として記述する場合がありますが、敢えて…) そして、両者の所要時間が同じなら、時間[sec]を移項し削除して、 力又は重さ1[kgf]×距離1[m] = 力又は重さ2[kgf]×距離2[m] で求める事ができます。 ねじ機構やテーパーを使用した軸のメカロック機構の内容は、先日この森のNo.34598や No.34623、No.34632で小生が記述していますので、参考になりますから確認して下さい。 さて、実際の計算方法ですが、初心者さんは以下の段取りで行なってみて下さい。 先ず、バルブシステム1個の反力やカムの接触角が、カムが1回転する間に変化するので、 1回転を24等分若しくは48等分(最初だから48等分が良い、計算処理はExcel Sheetに数値代入 する手法で)し、その間の平均値をグラフ化し全体を算出してみて下さい。 (バルブが複数ある場合でも、グラフ化すれば積算が可能となります) 次に、計算ですが、力1[kgf]×距離1[m] = 力2[kgf]×距離2[m] の式を用いて、 バルブの反力[kgf]×バルブの動く量[m]=カムの受ける力[kgf]×カムの動く量[m] で求めます。 バルブの反力[kgf];大半がスプリング力となり、動作量毎に変化するのでその平均値 バルブの動く量[m];1サイクルの動作量を1/48にする(一定量) カムの受ける力[kgf];バルブの軸芯上に働く、カムの受ける力 カムシャフトの中心を通りバルブ軸芯直交する腕の長さ[m]を 掛ければトルク[kgf・m]が求まります カムの動く量[m];カム接触面の動作量を展開図で求め、1/48にする 一定量でないため、バルブ反力[kgf]との対応が重要 以上で求まるが、カム接触面の摩擦ロスを考慮する必要があります。 (カム接触面の摩擦ロスは、発熱や摩耗の形でエネルギーロスしています) その計算方法は、摩擦係数をarctan(アークタンジェント)化し、摩擦角を求め計算します。 要するに、良く用いる数値(鋼&鋼で、焼き入れ、表面研磨)で表現すると、 ◆ 動摩擦係数;鋼&鋼の平均値は0.15、arctan 0.15 で 摩擦角φは8.531° ◇ 静摩擦係数;鋼&鋼では0.2~0.3、arctan 0.3 で 摩擦角φは16.670° となります。 また、カムの接触角は、この森のNo.34598やNo.34623、No.34632を確認すると判る通り、 arctan{バルブの動く量[m]/カムの動く量[m]で求まり、一般的にθで表します。 (1/48等分しての計算になりますし、接触角は変化しています) そして、tan(θ+φ)でカム接触角と摩擦角を合わせ計算すると求まります。 最後ですが、静的と動的(回転数によって)とでは回転トルク値は異なるのでしょうか? に対しては、静的と動的に関しては、静摩擦係数の計算と動摩擦係数の計算でカムの 受ける力[kgf]が異なるため、回転トルク値は異なる事になります。 そして、回転数(接触面上速度)によっても、異なりますが、大きな変化はありません。 ですが、接触面上速度が規定を超えると、発熱が多くなり冷却が間に合わず焼き付きを 起こし摩擦係数が極端に増大し、動作しなくなります。 これが、本当に焼き付き固着する焼き付き現象でなく、負荷増大で動作しなくなる 焼き付き現象です。
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>あと動作量についての質問ですが、1/48という数字にはなにか意味があるのでしょうか? >360/48=7.5度なのでもっときりのいい数字になるように1/36でもいいように思いますが >(360/36=10度)、その点を教えて頂けないでしょうか? 深い意味はありません。 12等分では大雑把であり、その倍24等分位が妥当だけれど、初心者ならそのまた倍48等分 が、計算も多くでき、展開図作製も容易なので1/48としました。 1/36でも可です。 展開図を作成する場合、角度が切りの良い数値になる事に対してのメリットは殆ど無い 事が判ると思います。(只、点の数だけの意味で、多いと分解能力がある…かな。)
お礼
わかりました。計算できそうです。 ありがとうございます。
>摩擦ロスtan(θ+φ)は下記の式にどう入力すればよろしいのでしょうか? >カム接触点力[N]×カム接触点動作量[mm]=バルブ平均バネ反力[N]×バルブ動作量[mm] この森のNo.34598やNo.34623、No.34632の記述内容で解りませんでしたか? arctan(バルブ動作量[mm]÷カム接触点動作量[mm])=θです。 (勾配の↓が10動くと→が1しか動かない、動作量の割合のarctanが接触角となります。) カム接触点力[N]=バルブ平均バネ反力[N]×(バルブ動作量[mm]÷カム接触点動作量[mm]) カム接触点力[N]=バルブ平均バネ反力[N]×tanθ となります。 後は、摩擦ロスのφですが、摩擦係数が0.15ならarctan 0.15=8.53°がφなので、 カム接触点力[N]=バルブ平均バネ反力[N]×tan(θ+φ)となります。 今一度、この森のNo.34598やNo.34623、No.34632の記述内容と、前述内容を比較確認し 貴殿のものにしてみて下さい。
お礼
回答ありがとうございます。 よく理解できました。 あと動作量についての質問ですが、1/48という数字にはなにか意味があるのでしょうか? 360/48=7.5度なのでもっときりのいい数字になるように1/36でもいいように思いますが(360/36=10度)、その点を教えて頂けないでしょうか?
回答(2)の者です。 機構学の本で調べた内容が理解でき、計算が可能であれば其方の内容で計算すべきです。 でも、小生はカムの動力伝達計算はカムの接触角が一定でなく、また掛かる負荷も変化する ので、一見難しく考えがちで、計算内容も三角関数や難解な代入項目があり、頭痛がする ような計算式となっているので、少し簡単な計算方法を紹介しています。 その簡単な計算方法を使用し、計算していくと、貴殿が機構学の本で調べた計算方法が 理解できるようになります。 今一度、基本内容を以下に記述します。 以下のような、勾配(1/10)のカムがあるとします。 入力 │ ̄ ̄ ̄ ̄╱ 入力A[N]と出力B[N]の関係は、摩擦係数無視で A[N] │ 勾配 ╱ 出力 入力A[N]×10=出力B[N]となります。 ↓ │ 1/10 ╱ B[N] これは、入力A[N]が進んだ距離10に対し、出力B │ ╱ → [N]が進んだ距離が1だから、力は10倍となります。 │ ╱ 進んだ距離で損した分、力で得する内容です。 │ ╱ 入力A[N]×10=出力B[N]×1から、10倍の力が得られる │_╱ これが、この森のNo.34598やNo.34623、No.34632の記述です。 そして、その接触角は、arctan1/10=5.71°です。 後は、小生が記述の回答(2)の内容をよく読み、カムを1/48等分し、 カムの接触点が進む距離と、バルブが動作する距離を比較し、接触角を求めます。 そして、カムの接触点の力と、バルブが動作する距離の平均のバネ反力が、前述の計算 内容で式化され、 カム接触点力[N]×カム接触点動作距離[mm]=バルブ平均バネ反力[N]×バルブ動作距離[mm] カム接触点力[N]=バルブ平均バネ反力[N]×バルブ動作距離[mm]÷カム接触点動作距離[mm] で、カム接触点の力[N]が求まります。 そのカム接触点の力[N]の方向と、カム回転中心が直交する腕の長さ[mm]を求め、 カム接触点の力[N]×カム回転中心が直交する腕の長さ[mm]が回転トルクとなります。 (1/48等分しているから、1/48の計算結果となり、それをグラフ化し展開図を作成します)
補足
理解不足ですみません。 摩擦ロスtan(θ+φ)は下記の式にどういうふうに入力すればよろしいのでしょうか? カム接触点力[N]×カム接触点動作距離[mm]=バルブ平均バネ反力[N]×バルブ動作距離[mm]
回答(2)の者です。 計算結果を確認され、貴殿の納得のいく内容にまとまりましたか? カムの展開図を作成すれば、上手くまとまります。 確か、要本に手法が出ていたと記憶しています。
補足
機構学の本で調べたのですが回転中心からのモーメントのつりあいから 計算してました。(以下) T = R・r・sin(π/2-γ+θ)= R・r・cos(γ-θ) F = R・cos(β+θ)とtanθ=μ の関係から T=Fr(cosγ+μsinγ)/(cosβ-μsinβ) βは圧力角、Fはカムからの力、rは回転中心Oと接点Pとの距離、 γはOPと接線のなす角度 まだ計算はできてないのですが、 この計算方法とは違うのでしょうか?
計算ソフトが市販されています。参考書の例も下記しておきます。 設計者のためのカム機構図例集 日本カム工業会技術委員会 編者 2006年06月
補足
ありがとうございます。 一度調べてみます。
お礼
大変よく理解できました。一度計算してみます。 どうもありがとうございます。