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鍛造品の熱処理について
- 鍛造品には熱処理が必要で、特にSCM435などのクロムモリブデン鋼を使用する場合は熱処理後の材料を使うべきです。
- JIS規定によれば、SCM435には焼入れ830~880℃油冷、焼き戻し530~630急冷が定められており、熱処理実施後に強度が保障されます。
- 一般的には鍛造品は鍛造後に熱処理することが一般的です。
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「鍛造そのものが熱処理(焼きなまし?)のようなものですので」というのだから、冷間鍛造ではなく熱間鍛造のこと。 焼入焼戻材を素材にしても、鍛造により機械的性質は全く変わってしまう。焼入焼戻材でも圧延まま材(市販状態)でも、熱間鍛造後の品質は同じである(但し鍛造まま材の機械的性質の規定はない)。熱間鍛造する前に熱処理をする必要はなく、無駄である。 「熱間鍛造は焼なましのようなもの?」 熱間鍛造前の加熱温度は通常1150~1250℃。温度を下げると変形抵抗が高くなり、金型の寿命が悪くなる。この温度は焼きならし温度よりも極端に高いので、結晶粒は一旦著しく粗大化する。鍛造により結晶は破壊、微細化される。 鍛造の最終温度(終止温度)が焼ならし温度と同じなら、そのまま空冷すると焼きならしと同じになるのか。残念ながら、ならない。鍛造効果(鍛錬比)は部位により異なるし結晶粒は変形を受けているので、結晶粒の大きさ・形状がバラバラ、機械的性質も部位によりバラバラ。 熱間鍛造後、一度700℃以下に下げた後に焼きならしをすると、初めて整粒化し、焼ならし材の機械的特性規格を満足する。 焼入焼戻する場合も、一度焼ならしを入れた方が安定して特性が得られる。
S45C材もそうですが、SCM435材は、 ? SCM435を焼きならし(Normalizing)して、鋼の組織を均一にし、そのまま 無垢材として使用する事もありますが、高価な材料なので、最終的には 焼き入れ焼き戻しし、高強度にして使用します。 但し、硬度はHRC25~30程度で、比較的簡単に超鋼で加工ができる硬さ です。 ? SCM435丸H材がありますが、これは最初から焼き入れ焼き戻ししている 材料です。そして、?でも記載していますが、硬度が中程度なので、加工 も比較的簡単にでき、精度が必要で比較的高強度の使用に適しています。? HRC50以上にしたい場合は、高周波焼き入れ(焼き入れのみの処理)で、 使用するか、材質をSCM415等に変更し、浸炭焼き入れ焼き戻しして、硬度 をHRC50以上に確保する。(HRC58~63程度です) 等々の使用用途があります。 ねじの転造でもその様ですが、焼き入れ等の熱処理をしていないSCM435(N)材 を使用して、先ず 焼きなまし(Annealing)をし、鋼を軟らかくします。 そして、鍛造をしてから、焼き入れ焼き戻しして、強度(硬度)を上げます。 特に、硬度(強度)が必要な箇所は、その部分のみ高周波焼き入れをすると、 良いでしょう。
SCMなどのいわゆる「肌焼き鋼」は通常、浸炭焼入れでその効力を発揮しますが、SCM435レベルのハイカーボン材ですと、通常の焼入れ焼き戻しでも強度(硬度)が出ます。 しかし、鍛造にて成形する場合には焼鈍(焼きなまし)して逆に硬度を下げてからでないと、塑性変化率が低いところで組織クラック等が発生し、十分な加工が出来ません。 通常の工程は冷間で、 素材ー>焼鈍ー>潤滑(りん酸皮膜、ボンデリューベなど)->鍛造ー>熱処理(浸炭など) となります。熱間鍛造の場合は、 素材ー>加熱ー>鍛造ー>冷却ー>応力除去焼鈍ー>熱処理 となります。 貴君の言われているのはこの熱間鍛造だと思いますが、このように焼鈍は硬度が下がることはあっても硬度が高くなることはないのです。