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応力の開放時のエネルギーと安定化処理について
- SKD11を高温焼戻しする際の経年変化の対応策として、安定化処理が効果的であると考えられています。
- 応力が開放されると、そのエネルギーは何らかの形で現れる可能性があります。
- リング状の製品を安定化処理する場合、応力の開放は外側または内側のどちらかに起こる可能性があります。
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1. 安定化処理とは残留オーステナイトをマルテンサイトに変化させるのではなく残留オーステナイトを安定化させ、残留オーステナイトをマルテンサイトに変化させなくし経年変化を起こさせなくします。よって安定化処理じたいではあまり寸法が変化しないと思います。リング状の物を焼入すると理論的には外径が大きく内径は小さく(体膨張)なりますが、ただしその時の冷却の仕方や肉厚で一概には言えません。(T.W) 2. SKD11を高温焼戻しますと、500℃より残留オーステナイトが分解を始め、冷却中にマルテンサイトに変態します。このマルテンサイトは焼入によるマルテンサイトと同じですので焼戻をして安定な組織にしておく必要があります。又、高温焼戻が1回だけですと未分解の残留オーステナイトが残っておりますので低温焼戻をして安定化しておく必要があります。 高温焼戻をしますと焼入によって生じた応力は大半消滅すると考えられますが、残留オーステナイトのマルテン化により応分の応力発生は考えられます。組織安定化のための焼戻によって、この応力も応分の除去を受けるのも事実であると考えます。 応力には引張応力と圧縮応力がありますが、引張応力が極限に達するとワレが発生します。SKD11は高温焼戻しにより2次硬化がありますので、高温焼戻後の冷却は急冷すべきではありません。急冷により引張応力が発生し焼戻ワレが発生します。 変寸は組織の変化によって生じますが、応力によって変形することがあります。又、リング状の製品を安定化処理した場合、応力は外側か内側かどちらに開放されるかとの御質問ですがSKD11は焼入性が良く、空冷鋼でありますので、外側、内側という応力の片寄りはないと考えます。(K、F) 以上。
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SKD11を高温焼もどしすると組織は、マルテンサイトと残留オーステナイトになります。高温焼もどしの際、2次硬化に伴う炭化物の析出により、炭素濃度の下がった残留オーステナイトの一部が不安定化します。不安定化したオーステナイトは、高温焼もどしの冷却過程並びにその後経時的にマルテンサイトへ変態します。安定化処理は、この一連の過程で生じた応力の開放並びに、不安定化したオーステナイトのマルテンサイト変態を促していると考えています。 実際に、私自身がデータを取ったことがあるわけでないので、自信があるわけでありませんが、この安定化処理では、経年変化で生じるはずであった変形、変寸が先に生じることになり、マルテンサイト変態による膨張によって、リング径が拡がることになるものと思います。
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安定化処理でも寸法変化が生じるのですね? この当たりは、賛否両論ある内容と思いました。 参考になりました。 ありがとうございました。
焼きもどしというのは簡単にいうと焼きいれ後の鋼のもろい鋼をねばく強靭性のある鋼にすること。また、そのとき内部のひずみ(応力)を除去出来る。と理解しています。 応力の方向に関しては自信はありませんが、鋼材を焼きいれる際どこから冷却されるかで応力の方向が決まるような気がします。たとえば、A4サイズの鋼材を上面だけを高周波などで焼きいれをした場合、鋼材としては外側から冷却されるので上に反り返ります。
お礼
冷却時の風の方向で応力の方向が決まるのですね。 参考になりました。 ありがとうございました。
寸法の変化として現れます。 円柱の場合には外径寸法が大きくなり、リング形状の場合にはの径と厚さの関係で一概には言えませんが大概が大きくなると考えています。 寸法変化が膨張として現れていることから残留応力があるとすれば圧縮応力が残留していると考えられますが焼入れ焼き戻し後に経年変化するほどの熱処理歪が残留してはいないと考えられますので変態に伴う体積変化によって膨張するのではないかと思います。(自信ありません)
お礼
体積膨張である事が再確認できました。 ありがとうございました。
お礼
ありがとうございました。 高温焼戻しの後に安定化のために、低温焼戻しを行なうと言う事は知りませんでした。 また高温焼き戻し後の急冷で引張り応力が生じる事は、薄々は思っていましたが、今回の回答で自身を持ちました。 勉強になりました。 ありがとうございました。 高温焼戻しの後に安定化のために、低温焼戻しを行なうと言う事は知りませんでした。 また高温焼き戻し後の急冷で引張り応力が生じる事は、薄々は思っていましたが、今回の回答で自身を持ちました。 勉強になりました。