女性が王位を継承できるかどうかは、その国の歴史と関係があります。
たいていは相続の問題が絡んできます。
わかりやすくヨーロッパの例を挙げると、まず、昔は戦争になると領主や国王が実際に戦場に出向いて兵を率いており、そうやって領土と民を守るのが君主の義務でもありました。実際に軍隊を率いて戦場に赴いて戦うのは男性の仕事でしたので、必然的に君主=男性ということが多かったのです。
その他には、女性に相続権があったかどうか、これは民族によって習慣が違いました。
男系社会の場合、女性が相続した財産は、実質的に夫と共有されました。
日本と違って「婿取り」の概念もなく、女王が結婚すればその子孫の姓は夫の家系になります(女性側が歴史有る名家の場合は二重姓にして家名を残すこともありますが、主体は夫側の家系になります)。
財産だけでなく王権も女性が相続した場合、その王権は夫側に受け継がれます(共同君主)。王族は家臣との結婚は貴賤結婚で認められないことが多く、他国の王族との結婚が当たり前でしたから、女王の夫=他国の王族男性に家を乗っ取られかねない事態が発生します。それを狙って、大国の女性相続人を力尽くで(戦争で)妻にする乱暴な君主もいたほどでした。
百年戦争の発端がその例で、フランス王家の男子直系が絶えてしまったとき、格下ライバル国のイングランド王が「自分の母親はフランス王女だから、女系相続でいくと自分がフランス王だ」と主張して、それを認められないフランス側と戦争になったわけです。フランス側は、サリカ法典というフランク族の古い法典を引っ張り出してきて、この法典では女性の土地相続を認めていない、だから女性の王権相続も認められない、よってイングランド王にはフランス王位継承権はないと主張しました。それ以降、サリカ法典を採用する王家では女王が即位できなくなりました。
ところが、またしばらくして、「直系の女子はいるけど男子がいない。男系相続でたどっていくと、他国の王族を王として迎えなければならない」というような事態が発生する王家が出てきました。女系繋がりで王位継承権を主張する国王が名乗り出ると、国防上それを阻止したい国が横やりを入れたりして、戦争になりました(スペイン継承戦争など)。
これは面倒な事態だ、ということで、法律を改正して女王も即位できるようにして、「国王の直系かそれに近い血筋」で王家が維持されるようにする王家が出てきたのです。
ヨーロッパの王家はどこも政略結婚で繋がっていて、どこかの王族がどこかの王位継承権○○位、なんてのは普通にあることなので、各国で「他国人が王位に就くのを防ぐ」ための法律をいろいろ決めています。プロテスタントとカトリックの宗教の違いや、誕生地が祖国内であることなど、いろいろあります。
ちなみに、男子優先の長子相続だったいくつかの王家も、近年、男女平等の観点もあって、性別無関係の長子相続に法改正されてきています。
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