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連歌毘沙門の一部分について
連歌毘沙門の一部分について教えて頂きたいです。 『本文』 某がいふさへさやうにいう、おこせいありようにして分てやらふ と云って、 わたすまねして、とりて 先づ見事なありのミでハないか、是はやる事ハなるまひ 一たび下されてから、取かへさせらるるといふ事ハあるまひほどに、下されい 是ハ戯言じや、さあらハ小刀があるかおこせい われももたぬ~といふ ぶたしなミな者どもじや、さらハほこにてわらふが、さびたらハとがさなるまひが、 研賃ハ何とせうぞ それは両人いたさうといふ それまでもない、 此ほこハ、なんばの鉾とて、かくれもなひほこじやによつて、さびもせぬよ 『訳』 私がいうにそのように言う。( )な有様にして分けてやとうといって、 渡す真似をして取り、何はさておき見事な有の実ではないか。これはやることは(することは)ないだろう。 一度お与えになってから取り返されるということはありはしないだろうほどにいただき これは冗談だ。それなら小刀があるかどうが( )私も持たないという。 用心の足らない者たちだ。皿は鉾で割れるが錆びていれば研がなければいけないだろうが、 研賃は何と言うか。それは二人が居たようだ言う。 それまでもない、この鉾は南蛮の鉾でも人目につかない鉾であるからさびもしないよ。 という風に訳したのですが今一つきちんと中身が分からず、訳もあっているのか分かりません。()の部分もどのように訳せばいいか辞書を引いたりして考えたのですが、そちらも分からずじまいでした。私自身勉強不足なことを重々理解しています。ですがどうにも頭を悩ましておりますので、どなたかお力添え頂けないでしょうか。
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- kzsIV
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毘沙門天「某がいふさへさやうにいう。おこせい ありやうにして分けてやらふ」(わしが言ってすら、お前たちはそんなふうに言って断るのだな。よこせ。いい具合にして分けてやろう) と云て、わたすまねして、とりて(言って、あとで返して渡すふりをして取り上げて) 毘沙門天「先は見事なありのみではないか、是はやる事はなるまひ(なんと見事なありのみではないか。これではお前たちにやるわけにはいかない)」 二人「一たび下されてから、取かへさせらるるといふ事ハあるまひほどに、下されい(一度はくださるとおっしゃってから、取り返しなさるということは神様にはあるはずのないことですので、どうかお返しください。)」 毘沙門「是は戯言じや。さあらは小刀があるかおこせい(さきほどのは、言ってみただけ。それでは、小刀をもっているか、あればよこせ) 二人「われももたぬゝゝ」といふ(私は持っていません。私も持っていません、という)。 毘沙門天「ぶたしなみな者どもじや。さらはほこにてわらふが、さびたらはとがさなるまひが。とぎちんは何とせうぞ(嗜みのない奴らだ。それでは鉾で割ろうと思うが、錆びたら研がずはなるまいが、研ぎ賃はどうしたらよいかな。) それは両人がいたさうといふ(二人がそれを引き受けようと申し出る) 毘沙門天「それまでもない。此ほこは、なんばの鉾とて。かくれもなひほこじやによつて。さびもせぬよ(また、いってみただけ。研ぎ賃など必要ないぞ。この鉾は、なんばの鉾といって知れ渡った鉾だから、錆びたりはしないぞ)」
- kifimi
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No.2です。トロトロ書いていたら、No.1さんが概ね訳してくださっていました。細かいところは辞書で確認してください。 No.1さんが不審に思っていらっしゃる >某がいふさへさやうにいう、 の「いふ」と「いう」ですが、これは虎明本狂言集の原文表記をそのまま翻刻したテキストだと思います。(大学の授業の課題か何かでしょうか?) この時代のこうしたテキストは、歴史的仮名遣いとは異なる仮名遣いが普通に行われていることが多く、これもその一例でしょう。この時代に発音が同じになっていた「う」と「ふ」は仮名遣いがごちゃごちゃで、必ずしも区別されていなかったりします(貴族や学者など、上位の知識階級だともう少しちゃんと区別していますが)。 ここは、「某が言ふさへ、左様に言ふ、」と解釈して良いです。 この箇所は、その前に文章があるので、その前提がないと理解しにくいでしょう。毘沙門天が、実を取り合う男二人に「さっきの有りの実を出しなさい」と言うのですが、男達は毘沙門天に促されてさえ、「あいつが持っています」「いや、あいつが持っています」と言い争うので、毘沙門天が「この私が(出しなさいと)言ってさえ、(それでもなお)そのように言うのか」とあきれている場面です。 同様に、歴史的仮名遣いと異なる仮名遣いの例として、 >取かへさせらるるといふ事ハあるまひ >かくれもなひ >ほこにてわらふが の「あるまひ」「かくれもなひ」「わらふ」が挙げられます。 ここは「有るまい」「隠れも無い」「割らう」が歴史的仮名遣いとしては正しいのですが、当時、語頭以外の「ひ」は「い」と、「ふ」は「う」と発音になっていたので、仮名遣いの混同が起きているのです。
- kifimi
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虎明本狂言集の本文ですかね。 図書館に、大塚光信編『大蔵虎明能狂言集 翻刻 註解』(清文堂出版)があれば、かなり手助けになると思うのですが、閲覧できる環境にありますか。 まず、訳文を理解しにくくしている理由の一つは、「シテ(主役)のセリフ」と「アド(相手役)のセリフ」と「台本のト書き」を区別せずに書いているところにあると思います。 また、現代語と意味がほぼ変わらない単語を、なぜか他の単語に置き換えてしまっているため、意味が変わってしまっている(そのためわからなくなってしまっている)箇所も見受けられます。 狂言という「芝居」の台本ですから、あらすじというか、その台詞やト書きの状況を理解・想像しながらでないと、解釈も難しいでしょう。 ヒントとして、この場面は、毘沙門天からもらった「福有りの実」(=梨〔なし〕)を、二人の参詣人が連歌で競って取り合っていたところ、そこに毘沙門天が現れて、争わずにすむように鉾で切って分けてやろう、と言うところです。 例えば、下記のように、セリフごとにカギ括弧で区別し、またひらがなが続く箇所は適宜当店を加えて解釈すると、わかりやすくなります。 (毘沙門天)「某がいふさへ、さやうにいう、おこせい、ありようにして分てやらふ」と云って、わたすまねして、とりて、 (毘沙門天) 「先づ見事なありのミでハないか、是はやる事ハなるまひ」 (男)「一たび下されてから、取かへさせらるるといふ事ハあるまひほどに、下されい」 (毘沙門天)「是ハ戯言じや、さあらハ(=さあらば)、小刀があるか、おこせい」 (男)「われももたぬ~」といふ。 等と続きます。 「おこせい」というのは、狂言によく出てくる言い方で、「遣す(おこす)」で調べるとわかると思います。 他にも、狂言では定型句ですが、訳し間違えている箇所がたくさんあります。 最初に書いた注釈書などを活用して、まず本文の句読点や濁点の追加、語句の切れ目などの解釈をするところから始めて、そこから訳してください。
- fujic-1990
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連歌毘沙門というのが何か知らないのですが、狂言の台本かなにかですか?小学校の教科書にのっていた「ぶす」での、シテと太郎冠者ら脇の掛け合いに似た会話ですが。 そのあたりのヒントもほしかったのですが、まずは私の訳文案です。 1行目。「某が "いふ" 」と、「さやうに "いう" 」を、どちらも「言う」と訳すのはおかしい気がします。「言う」なら両方とも「いふ」のはず。 片方は「言う」ではナイのではないでしょうか、というわけで、「いふ」が「言う」で、「いう」は別な語だろうと思いましたが、それでは情景が出て来ないので、 > 某がいふさへさやうにいう、おこせいありようにして分てやらふ と云って、 私が任せて渡す(委付)ようすを見て、このように言う。 「よこしなさい。ようすのまま(ちょうどよいように)に(切って)わけてあげよう」と言って、(一方が)渡すマネをして、(他方が)受け取って、(受け取ったほうが) 「ともかく、立派な梨の実ではないか。これは(わけて)あげるわけにはいかないだろうな」と。 「一度くださった後に、取り返されるという事はあってはならないことですから、くださいな」 「これは冗談じゃ。そう(冗談)であるから(切り分けてやるが)、(切るための)小刀はあるか、よこしなさい」 「私ももっておりません」と言った。 「心がけ(用意)の悪い者たちだ。であるならば、矛にて切り割ることにするが、(こんな果物を切って)錆びたら研がなければなるまいが、研ぎ代はどうしようか」 「それ(研ぎ)は、私たち両名が致しましょう」と言う。 「研ぐまでは必要無い。この矛は、南蛮の矛で、広く知れ渡っている矛だから、錆びたりしないよ」 ------ 本文中「おこせい」が2カ所出てきます。辞典を引いても意味がわかりませんでしたが、「よこせい」(命令)と言い換えると、どちらの情景でも通じるので、そのように解釈しました。 Yokosei のYが発音されないことも、古文ではありそうですので、無理な解釈ではないと思います。 「 "さらハ" ほこにてわらふが」の「さらハ」は、「さらば」=「そうであれば」です。皿は関係ないですね。古文では濁音が清音で表記されます。 「かくれもなき」は、「隠れられない」→「超有名な」という意味です。「人目に付かない」ではまるで逆です。 小学4年生のとき文化祭で「石ころごろり」という劇で、長者様の役をやって「これは、このあたりで『かくれもなき』長者でござる」と観客に向かって自己紹介し、夜盗が増えたので強い人を雇って防ごうと思う、と状況説明をしたのを思い出しました。