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熱力学的温度の定義について質問です
熱力学的温度の定義は平衡状態の分子の力学的エネルギーをエントロピーで微分したものだそうですが、エントロピーは klogW, (Wはとりうる値の数)Wは整数値しかかとらないためエントロピーは離散的な量だと思います。なぜ離散的な量で微分できるのでしょうか?
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#1です。 >・・・数学的にはS(W)とS(W+1)の間を結んで連続かつ微分可能な関数にする方法は無限通りあります。物理的要請により、S(W)を一意に決める方法はあるでしょうか? そこまで気にしますか・・・(^^;)。そういう疑問を持つ方には、初めてお会いしました。それで上記疑問は、次の状況と同等と思えませんか?。 まず用語を定義します。一変数の連続関数f(x)の定義域は普通、実数区間Lです。さらに値域は、実数全体の集合をRとしてRになります。この時、f(x)をLからRへの関数と呼び、f:L→Rという書き方をします。fが連続なら、「f:L→Rかつ連続」です。 L上で定義された連続関数f(x)の近似問題を考えます。良く行われるのは、L上に出来るだけ細かく一様に(普通は等分割)サンプル点:x0,x1,・・・,xnをとり、サンプル点では関数値がf(x)に一致するように、すなわち、 g(x0)=f(x0),g(x1)=f(x1),・・・,g(xn)=f(xn) となるように、近似関数g(x)を定めますよね?。そしてサンプル点を無限に細かくした離散化極限(n→∞)で、g(x)はf(x)に一致すると考えますよね?。 この根拠は何でしょう?。それはサンプル点を無限に細かくとれば、(xn)はL上の全ての点を取り尽くすはずだから、・・・というのが普通の感覚だと思います。ところが、そうはなりません。 実数区間Lは、連続無限個の点を持っています。しかしサンプル点全体の集合(xn)は、どう頑張っても可算無限個どまりです。現実には、可算無限にすらとどきません。可算無限は連続無限に対してカスみたいに小さい事がわかっています。 そうすると、現実の近似計算を理想化した離散化極限においてさえ、g(x)はf(x)に対して穴ぼこだらけだ、という事になります。これでg(x)がf(x)に収束するなんて事が言えるんだろうか?。 じつはこんな疑問を学生時代に持ちまして、実用一点張りの指導教官に疑問をぶつけたところ、殺されそうになりました。 「何わけの分かんない事言ってんだ!。もっと生産的な事をやれ!」 ・・・と(^^;)。 ほとんど意識される事はありませんが、上記に対する答えを与えるのが、等式延長の原理です。数学の一般位相論の定理です。 [等式延長の原理(本当は定理)] Xを任意の位相空間,Yを分離位相空間,A⊂XをXの密集合,fとg:X→Yは連続とする。A上でf=gなら、Xでf=g。 等式延長の原理を普通の言葉に翻訳します。 実数区間Lは位相空間でもあるので、任意の位相空間XとしてLを取れます。 実数全体Rは典型的な分離位相空間です。 Lの(Xの)密集合Aとしては、Lに含まれる有理数全体Mを取れますが、L上に出来るだけ細かく一様にばら撒いたサンプル点(xn)の極限は、本質的にMと同等と思えませんか?。 よって[等式延長の原理]はこうなります。 L上で連続な関数f(x)とg(x)が、(xn),n→∞で一致するなら、Lでf=g。 こうしてg(x)の離散化極限の一意性(収束先は一つ)が示されます。従ってS(W),S(W+1),S(W+2),・・・の差が非常に小さいなら、実用上問題なく、ある一つの連続関数に収束している、とみなせる事になります。 S(w)が微分可能かどうかは、場合によりけりと思いますが、人間が人為的に手を加えない限り物理量は少なくとも一階微分可能に違いない(当然連続だ)という思い込みは、物理における暗黙の仮定だろうと思います。何故ならそれが、各種保存則の数学的根拠になるからです。
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- ddtddtddt
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平衡状態の分子の力学的エネルギーをE,エントロピーをSとします。そうすると、熱力学的温度Tは、 T=dE/dS (1) という事で良いですか?。 問題はWは整数値なので、S(w)とS(w+1)の間はS(W)=klogWが不連続だ、という点だと思いました(kはボリツマン定数と思いました)。それはそうなんですよ。 ただWは非常に莫大な数だというのは、ご存知ですよね?。それでもしWが連続量だったとしたら、 dS/dw=k/W なので、S(W)とS(W+1)の間にはほとんど差がない事になります。これってS(W)が連続である事の、非常に良い近似になると思えませんか?。 よってWが十分大きい時にはS(W)を連続量とみなす事は、本当のS(W)に対する非常に高精度な近似になります。その近似のレベルで(1)を考えても、現実問題として問題ないだろう、という事です。 もう一つは歴史的に、状態数Wからエントロピーを定義するやり方は、熱力学が定式化された後に提唱された統計力学によるものです。統計力学によって、熱力学を、純粋に力学だけでもって基礎づけられる事が後でわかった、という次第です。 従ってもともと(1)は、熱力学において与えられた式であり、その時のエントロピーSには別の定義がありました。dS=dQ/Tというものです。 ここでQは熱量(熱エネルギー),Tはその瞬間の温度ですので、Sは当然連続量になります。dS=dQ/Tと(1)が同等だという事を示したのが、統計力学の最大の成果の一つであり、その中で「Sはほぼ連続量と考えられる」という事も、当然示されています。
お礼
ご回答ありがとうございます。 S(W)が連続関数のようにみえる、ということはわかりますが、数学的にはS(W)とS(W+1)の間を結んで連続かつ微分可能な関数にする方法は無限通りあります。物理的要請により、S(W)を一意に決める方法はあるでしょうか?
お礼
なるほど。自分は数学を専攻しているので、数学的に十分でないところは気にするのですが、回答者様の回答で、納得ができました。ありがとうございました。