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誘電率 分配係数
親油性の溶質は、誘電率の小さい有機溶媒ほど 分配係数が大きくなるのはどうしてですか?
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例を挙げて考えてみましょう。 ヘキサンと水という、油と水の両極端をとってみます。誘電率もまさに両極端です。 http://biowiki.edu-wiki.org/%E6%BA%B6%E5%AA%92%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%AA%98%E9%9B%BB%E7%8E%87 また、親油性の溶質として、なんでも良いのですが、ナフタレンをとりあげてみます。 ナフタレンがヘキサンに溶ける(実際にやってみると結構溶けにくいが)のは、溶解に伴ってエントロピーが増えることなどから理解できるでしょう。逆に言うと、溶ける際に溶媒と溶質の間に積極的な相互作用は思いつきませんので、エントロピーの効果くらいしか溶ける動機が無さそうです(本当はファンデルワールス力の勘案など必要だが)。 いっぽう、ナフタレンが水に溶けることはどうかと言うと、水はご存知のとおり自分同士で強い水素結合を持っています。ナフタレンが溶けるには、このネットワークを切断する必要があり、それには余計なエネルギーが必要です。ナフタレンが溶解することと、水のネットワークが乱れることによるエントロピー増大では、エネルギー損失に到底追いつきません。 さて、水はかなり特殊な溶媒ですので、水素結合がほぼほぼ無い極性溶媒を考えてみます。DMSOではどうでしょうか。これはかなり大きな双極子モーメントを持った分子なので、分子同士の双極子モーメントの相互作用が強く働きます。ここで再びナフタレンが溶けることを考えると、少なく見積もっても、DMSO同士の距離を引き離すため、双極子間の引力エネルギーの損失につながります。結果として、溶けにくくなります。 水と有機溶媒の二相分配を考えるときは、常に水分子の相互作用とくらべて、溶質が溶けた時に有利か不利かを考えてください。 極性の高い物質になると、水にも有機層にも溶けやすくなります。従って、分配の効率は下がります。 いっぽう、極性の低い、親油性の物質は上記のとおりそもそも水相に入れませんので、有機層に追い出されてきます。従って、分配の効率は上がります。
お礼
詳しく解説して頂きありがとうございます。お陰様で理解することが出来ました。感謝です。