【なぜ損益通算ができるかという観点】
・山林所得は本来「林業:木材の生産」という事業経営としてとらえる所得なのです。
・この点は、事業所得、不動産所得と同じように「青色申告」が認められていることでご理解いただけると思います。
・しかし、数年から数十年の育成期間を必要とする山林所得は、何十年も赤字が続き、ある年に一気に収益が発生します。
・このため、累進課税を採用する所得税の規定では、そのまま課税することは実態にそぐわないこととなります。今でこそ所得税の最高税率は45%ですが、昭和の頃は75%でした。
・計算方法として、5分5乗方式を採用するなど、その課税実務は他の所得と一線を画しています。
・課税方法自体を他の所得と区別するために分離課税となっているのです。
【損益通算の計算方法について】
質問の設例だと課税額がでなくなるので、少々金額を変えます。
事業所得:ー300万円
山林所得:1000万円
所得控除: 38万円
損益通算後の所得
総合課税 : 0万円
山林所得 :650万円(1000-300-特別控除50)
課税される所得金額
総合課税 : 0万円
山林所得 : 612万円(650万円ー38万円)
所得税額(復興税は加味していません)
6,120,000÷5 =1,224,000円
1,020,000×5%= 61,200円
61,200×5 = 306,000円
課税所得として分離課税だけが残る ということです。
お礼
ありがとうございます。 過程を丁寧に説明してくださり、大変わかりやすかったです。 合算したものが宙に浮いてしまい、どちらの所得に属するのかわからなかったのですが、プラスの方が主体でそこからマイナスの所得を引くとういうことなのですね。