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可変バルブリフトとミラーサイクルの違い
可変バルブリフトですこしだけバルブを開けるのと、ミラーサイクルで早閉じして短時間バルブを開けるのはどう意味が違うのでしょうか?
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>可変バルブリフトはもともとスロットルによる”本来の”スロットルロスを低減するために生まれた技術だったと記憶しています。スロットルを絞らずにすんでもリフト量を減らした分で新たにバルブロス(?)を生じるのでは可変バルブリフトのメリットがまるで無いように思いますが。 確かに可変バルブリフトを用いてスロットルロスを低減する手法は存在します。 例えば、吸気ポートが複数あるエンジンで回転数が低い場合において、1つのポートを残して他のポートのリフト量を0または0近くにする事で、1つのポートに流量を集中させて流速を増す事で、スロットルを絞らずに慣性過給の効果を増すと言った方法などです。 しかしながら、吸気バルブでのロスを少なくしたのでは、吸気量を制限した事にはなりませんから、シリンダー内に目一杯混合気を吸い込む事になってしまいます。 それではミラーサイクルにはなりません。 ですから、可変バルブリフトを利用してミラーサイクルの真似をする事は出来ないのです。 スロットルロスを無くす事と、ミラーサイクルもどきを実現する事は全く別の目的なのですから、それを実現するために可変バルブリフトを使う際の「使い方」は全く異なるという事を忘れてはいけません。 後それから、可変バルブリフトが使われる本来の目的は、スロットルロスを低減するためというよりも、むしろ低回転時にバルブの開度を小さくする事によって、吸気ポートから流れ込む吸気の流速を高くする事で、シリンダー内に渦を発生させて燃焼効率を高めるためです。 スロットルバルブを無くした処で、吸気バルブを絞る事で吸気量を減らしたのでは、ロスは全く減りませんので、その様な目的で可変バルブリフト機構を用いる事に意味はありません。 混合気を吸引する以上、ポートの開閉タイミングが一定の場合、ロスが無ければ吸気量を減らす事は出来ませんので、出力を調整する事も出来ません。 筒内燃料噴射機構を用いれば吸気を混合気にする必要が無くなりますので、吸気量を一定に保ったまま燃料の量を減らせますので、スロットルバルブを廃して、スロットルロスを無くす事が出来ますが、それならば吸気量を減らす必要も無いのですから、可変バルブリフトを使って吸気量を調整する必要などないという事になります。 つまり、スロットルロスを無くするのに有効な方法は、可変バルブリフトではなく、筒内燃料噴射なのです。
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- kagakusuki
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「ミラーサイクル」とは、シリンダー内に取り入れる混合気の量を、シリンダーの排気量よりも少なくする事で、膨張過程における膨張比を大きくし、それによって熱効率の向上を図ったサイクルの事です。 シリンダー内に取り入れる混合気の量を、シリンダーの排気量よりも少なくするためには、吸気行程においてピストンが下死点に達する前に吸気バルブを閉じる事でシリンダー内に入る給気量を少なくするか、或いはピストンが下死点に達した後で吸気バルブを閉じる事で圧縮行程において給気配管に混合気の一部を逆流させる事によって行われます。 それに対し、「可変バルブリフト」とは、バルブの開き加減を可変にするための技術です。 つまり、バルブが開く時に、開き具合を全開にしたり、半開きにしたり、ほんの少ししか開けなかったり、という事をエンジンが動いている最中に切り替える事が出来るというだけのものですから、可変バルブリフトだけではバルブを開け閉めするタイミングを変える事は出来ません。 ミラーサイクルでは吸気バルブを閉じるタイミングを下死点からずらす必要がありますが、可変バルブリフトはそのタイミングを変える事は出来ないので、タイミングをずらすためには可変バルブリフトとは別の機構を使って行わなければなりません。 つまり、可変バルブリフトはミラーサイクルに直接関係するものではないという事です。 もしかしますと質問者様は、可変バルブリフトを使って吸気バルブを僅かしか開けない様にする事で、シリンダーに入って来る混合気の流量を小さく抑えれば、ピストンが下死点に達した時にバルブを閉じても、シリンダー内の混合気の気圧が低くなるため、吸気量が減らせるのでミラーサイクルと同じになるのではないかと考えておられるのかも知れませんが、それは違います。 例えば、吸気行程の途中の「下死点の30°手前」の所で吸気バルブを閉じる早閉じ式のミラーサイクルがあったとします。 その場合、「下死点の30°手前(吸気行程の途中)」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間はシリンダー内が負圧になるため、その間は大気圧によってピストンを押し上げ様とする力が加わりますので、「下死点の30°手前(吸気行程の途中)」~「下死点」の間はピストンを下げるために必要となるエネルギーが、通常のサイクルと比べて増加してしまいます。 しかし、「下死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間はピストンが大気圧によって押し上げられるため、圧縮行程でピストンを上げるために必要となるエネルギーが、通常のサイクルと比べて少なくなり、エネルギーを節約出来ます。 この場合、「下死点の30°手前(吸気行程の途中)」~「下死点」の間と、「下死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間のそれぞれのシリンダー内の圧力を比べると、どちらもシリンダー内に存在している混合気の量は一定なのですから、ピストンの位置が同じであれば、どちらの行程においてもシリンダー内の圧力はほぼ等しくなります。 そのため、「下死点の30°手前(吸気行程の途中)」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間に余分に必要となるエネルギーと、「下死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間で節約出来たエネルギーはほぼ等しくなりますので、早閉じ式のミラーサイクルの吸気行程と圧縮行程で(通常のオットーサイクルと比べて)余分に必要になるエネルギーは僅かなものに過ぎず、膨張行程で得られるエネルギーが増える分の方がずっと多くなります。 それに対し、吸気バルブの開度を小さくする事で、ピストンが下死点に達するまでに取り入れられる混合気の量を、前述のミラーサイクルと同程度にした場合、シリンダー内が負圧になるのは「上死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の範囲となります。 シリンダー内に取り入れる混合気の量は前述のミラーサイクルと同じなのですから、「下死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間で節約出来るエネルギーもほぼ同じになります。 一方、「上死点」~「下死点」の間でシリンダー内に存在する混合気の量は、ピストンの位置が同じ時のミラーサイクルと比べてもより少ないものにしかならないため、シリンダー内の圧力は前述のミラーサイクルよりも低くなりますから、吸気バルブの開度を小さくする方式では「下死点の30°手前(吸気行程の途中)」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間に余分に必要となるエネルギーが、「下死点」~「下死点の30°後(圧縮行程の途中)」の間で節約出来るエネルギーよりも大幅に多くなりますので、ミラーサイクルと比べると燃費が大幅に悪化してしまいます。
お礼
ご回答ありがとうございます。つまり可変バルブリフトではバルブの開度を小さくすることでスロットルロスのようなもの(バルブロス?)を生んでいる分だけミラーサイクルより吸気抵抗が大きくて効率が悪いという事ですね。 でもそれを言い出したら可変バルブリフトはもともとスロットルによる”本来の”スロットルロスを低減するために生まれた技術だったと記憶しています。スロットルを絞らずにすんでもリフト量を減らした分で新たにバルブロス(?)を生じるのでは可変バルブリフトのメリットがまるで無いように思いますが。
お礼
大変丁寧なご説明ありがとうございました。可変バルブリフトの本来の目的を初めて知りました。 スロットルロスをなくすにはスロットルをなくすしかないわけで、それはおっしゃる通り予混合燃焼してる限り無理ですね。