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宇宙が誕生する前
私の記憶が正しければ、宇宙が誕生してから、約140億年くらい経過しているということだったと思いますが、誕生する前の宇宙というのはどうなっていたのですか?
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物理学でどう見ているかについて、回答を試みたいと思います。 最も広く共有されているという意味での主流の考え方としては、「物理学では記述することは不可能」というものです。調べれば分かるかもしれない、といった曖昧なものではなく、物理学には宇宙誕生以前を記述する方法がないという、確固たる断定です。 その理由ですが、物理学では空間(距離)と時間抜きには何も語れないからです。それは、物理が現象を表すのには数学を用いるのですが、全ての数式は時間や空間の項が入っています。物理学はこの宇宙内のことを研究すべく組み立てられ、発展してきたため、前提となる宇宙自体が無いなら、無力になってしまうのです。それが具体的には、物理学理論に登場する数式の空間や時間の項ということです。 ですので、宇宙誕生以前について語るのであれば、物理学以外の何かを創出せねばなりません。それがどういうものになるかは、全く見当がつきませんが。 それでも、出来うる限り物理学の範囲内でなんとかならないか、仮説や試案レベルの提案ならあります。個人的に「これは一応、ありとしてもいいかな」と思うものを挙げてみます。 1.振動宇宙説 閉じた宇宙(果てはないが体積が有限)では可能性があります。一点からビッグバンで始まり、膨張し、やがて収縮に転じ、最後には一点に集まる(ビッグクランチ)。すると、またビッグバンとなって膨張する。そういう繰り返しが永遠に続いてきたと考える説です。 じゃあ、過去をずっと辿って行って最初のビッグバンは、となりますが「無限の過去だから、どこから始まったということはない」という、言葉では曖昧ですが、数学的にはマイナス無限大ということになっていて、数学がベースの物理学的にも(冷や汗ものながら)問題ありません。 ただ、我々の宇宙は閉じた宇宙ではなさそうです。開いた宇宙と呼ばれる、果ては無いし、体積は無限大という宇宙のようです(開いた宇宙の中でも、非常に特別な平坦な宇宙になっている模様)。 2.マルチユニバース説 回転するブラックホール(カー・ブラックホール)の中心では、体積がゼロながら、有限の質量を持ち、リング状の特異点と呼ばれるものがあります。リングの中はどこか分からない時空があります。 それは現在分かっている範囲での、この宇宙とは全く別の宇宙につながっている可能性を示すものですが、まだ物理学が見つけられないだけで、他にもあるかもしれません。要は少なくとも、一つは他の宇宙となる数学解が見つかっているわけです。 別の宇宙へつながる現象が起こるとき、それがビッグバンになっている可能性があります。 そこから考えて、宇宙は別の宇宙を生み出すという仮説があり、マルチユニバース説と呼ばれています。我々の宇宙は別の宇宙から生み出されたものだし、我々の宇宙も別の宇宙を生み出しつつあるわけです。宇宙が代々生まれては死んでいくわけですね。どの宇宙も、閉じていても開いていても、どちらでもOKです。 この仮説でも、最初の宇宙の誕生というものは「無限大の過去である」として考えません。 3.無境界説 ホーキング博士が提唱している仮説です。ビッグバン仮説、その改良版のインフレーション仮説では、宇宙の誕生というものを特別なものだと考えるのが普通です。しかし、無境界仮説では、宇宙の誕生ということが特別なものではないとしています。 ちょっと分かりにくいので喩えを用います。普通に考える宇宙の誕生と膨張を円錐面だと考えてみます(無限に高いとして、底面は考えない)。円錐面の頂点は尖った一点で、それが宇宙の誕生です。尖った一点は一つだけで、他はなだらかですから、頂点は円錐面では特別な点になります。その一点とは何なんだ、というのが宇宙の誕生問題となるわけです。 無境界仮説では円錐面ではなく球面のようだだとします。球面のどこかの一点が宇宙の誕生になるんですが、球面はどこでも同じです。宇宙の誕生は特別なものではないわけです。数学的には、宇宙の誕生ということが完全に消えます。 この仮説では、宇宙の誕生以前について考えるのではなく、物理学的にはそういう状態が存在しないことを証明しようとしています。問題自体が存在しない、という方向です。逃げているとも感じられるかもしれませんが、物理学、ひいては人間の限界がどこにあるかという点では興味深い気がします。 なお、球面としたのは収縮する場合も考慮してのことです。閉じた宇宙ですね。閉じた宇宙では最後は一点に収縮して消滅してしまうのですが、宇宙の誕生が物理学的には無いことになるのと同様、宇宙の消滅(ビッグクランチ)も無いことになります。 もし開いた宇宙で消滅が無い場合を考えるなら、球面ではなく放物面(無限に長いパラボラアンテナのようなもの)をイメージすればいいでしょう。放物面も尖った一点といった、特別な点はありません。 4.複素時間説 時間が実数と虚数から成る複素数で、宇宙の誕生(や消滅)というのは実数の時間でのことで、虚数時間では宇宙はずっと続いているというものです。複素数の時間では宇宙は無限の過去から無限の未来へ続いていて、始まりも終わりもありません。これ仮説もホーキング博士のアイデアなのですが、博士はこの仮説を発展させて、上記3の無境界説に辿り着いています。とはいえ、この仮説が無効だと判明したわけではありません。
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- washi001
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ご質問とは関係ないです。ごめんなさい。 私は今の宇宙の果てが何なのかの方に興味があります。 何でも今でもどんどん膨らんでいるとか・・・ 膨らむという事は、それだけのスペースがまだあるわけで、 そしたらそのそのスペースって、一体何やねん!!と思います。 これ考え出すと、だんだん眠くなるので、寝付けないとき良く考えます 笑
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あやまる必要はありません。(*^_^*)関係なくとも、勝手に読ませていただきますから。 tzd78886さんのご回答に、「宇宙の始まりと終わりは同じだ」というのがありました。「そのスペースって」いうのは、宇宙の始まりの状態ではないでしょうか?そのような気がしてきました。 それにしても、良い睡眠薬をお持ちのようですね。私は眠るのには苦労しませんが、目が醒めるのが早くて。(T_T)
- SPROCKETER
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宇宙はビッグバンに近づくほど理論的証明が難しくなり、ビッグバン直後がどういう状態だったかに関してはわからない事が多いようです。 現在の宇宙以前の状態がどうだったかですが、ビッグバン以前の宇宙は空っぽで、2つの超大質量ブラックホールが存在するだけだったという仮説がありますが、少なくとも、現在の宇宙とは似ても似つかない宇宙だったのは間違い無いようです。
お礼
ありがとうございました。 ビッグバン以前の宇宙は空っぽで、2つの超大質量ブラックホールが存在するだけだったという仮説があります……「空っぽ」ということは「2つの超大質量ブラックホールが存在する」ということと矛盾しないのですかねぇ? 現在の宇宙とは似ても似つかない宇宙だったのは間違い無いようです。 ……ということは、現在の宇宙が誕生する前にも、すでに別の宇宙があったということですか?
- mshr1962
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そんなもの知ってる人は存在しません。 天文学者が、宇宙が広がる速度を出して逆算した結果、 現在の宇宙が誕生したとされるのが約140億年くらい前ということで そこが無の世界だったのか、別の宇宙が存在したかは不明なのです。 一応ウィキペディア等の情報 ・宇宙の年表(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E5%B9%B4%E8%A1%A8 ・実は存在、ビッグバン以前 宇宙誕生の痕跡を初観測 http://www.nikkei.com/article/DGXBZO70332450U4A420C1000000/
お礼
理論物理学の世界なのですから、そうなのでしょうね。
- tzd78886
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時間という概念そのものが宇宙が誕生してから現れたので、無意味と言えばそれまでですが、学者により様々な説があります。 例 http://sonokininatte55.blog.fc2.com/blog-entry-197.html
お礼
「宇宙の始まりと終わりは同じだ」……ご紹介いただいたサイト大変おもしろかったです。しかし、いつも物理20~30点くらいの私には、チンプンカンプンでした。当たり前のことですが。(T_T)しかし、「サイクリック宇宙」ということを知ることが出来ただけでも大収穫です。ありがとうございました。
お礼
物理学では空間(距離)と時間抜きには何も語れないからです。……物理学の限界ということですかねぇ? 宇宙誕生以前について語るのであれば、物理学以外の何かを創出せねばなりません。それがどういうものになるかは、全く見当がつきませんが。……物理学者にしっかりして貰わないと、隙を突いて、好ましからざる宗教が誕生しないとも限りませんね。(*^_^*) 1.振動宇宙説 閉じた宇宙(果てはないが体積が有限)では可能性があります。……ですか?私のようなバカには、短絡的に「果てはないが体積が有限」ということ自体が矛盾しているのではないかと考えてしまい、思考が停止してしまいます。(*^_^*)(T_T) それに「マイナス無限大」というのは、理論物理学のご都合主義というか、想像が付きません。 2.マルチユニバース説 別の宇宙へつながる現象が起こるとき、それがビッグバンになっている可能性があります。……現在の宇宙の中に、別の宇宙を生み出す要素が含まれているということですか? この仮説でも、最初の宇宙の誕生というものは「無限大の過去である」として考えません。……??? もうお手上げです。 3.無境界説 ちょっと分かりにくいので喩えを用います。……宇宙誕生に関して円錐図は見た記憶がありますが、喩えさえも理解できません。すみません。(*^_^*) 物理学的にはそういう状態が存在しないことを証明しようとしています。……これは「逃げ」ではないか?「物理学放棄」でないか?と一瞬感じたのですが、後文にありました。(*^_^*) 「人間の限界がどこにあるか」……物理学の限界を物理学者が認識するのは当然だとは思いますが、物理学の世界で「人間の限界」を考えるようになったというのは、驚きですね。 4.複素時間説 虚数は全く理解できませんでしたので、スルーします。ホーキング博士をはじめとして、宇宙学者の頭の構造がどうなっているのか???……「宇宙が誕生する前」よりもそちらの方が謎が深そうです。(*^_^*) やはり、棺桶に片足を突っ込んだような老人が興味を持っても仕方のない世界なのですかねぇ。丁寧にご回答いただきありがとうございました。