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ピケティの資本収益率
- ピケティは過去において資本収益率が常に4%から5%であることを示している。
- 収穫逓減の法則によれば、投下した資本に対する産出は次第に逓減していく。
- ピケティが資本収益率が4%から5%であると示したことは、収穫逓減の法則を覆すものとなる。
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回答1への追記です。 経済学を少しでも齧ったことがあるなら、経済成長論も少し勉強しておいたほうがよいでしょう。とくにソローの成長モデルのフレームワーク(新古典派成長理論)は現代のマクロ経済学の土台を構成する基本的要素の一つです。このモデルについて知りたかったら、どのマクロ経済学の教科書でも開いてみればよい、このテーマがかならず取り上げられ、説明されているはずです。
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- statecollege
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>経済学の理論も、この法則を前提に理論を構築していますね。例えば需要曲線が右下がりとなることもこの法則から導いています。 需要曲線の右下がりとなることは、すくなくとも一般の消費財に関する限り、「収穫逓減の法則」とは関係ありません。関係があるとすれば、「限界効用逓減の法則」ですが、現代の需要理論は序数的効用の理論に基づいているので、右下がりの需要曲線を導くのに「限界効用逓減の法則」は使っていません。 >収穫逓減の法則は成り立たず、経済学理論の前提となっている話も根底から覆されるようなことなのでしょうか。 収穫逓減の法則というのは、たとえば、資本と労働の投入によって最終財が生産される生産関数を考えると、たとえば、労働投入量を一定として、資本の投入を増やして行くと、資本の限界生産性(限界生産力)が低減するという収穫逓減が成り立ちますが、資本と労働を同時に増やすなら、資本の限界生産性が低減するというわけではありません。経済経済成長の通常の理論、いわゆる新古典派の成長理論で使われている生産関数(いわゆる新古典派生産関数)は、Y=最終財の産出量(GDP)、K=資本投入量、L=労働投入量とすると Y = F(K,L) と書くことができますが、FK>0, FKK<0, FL>0,FLL<0(すなわち、資本と労働のそれぞれについては収穫逓減)と と仮定されますが、任意のaにたいして aY = F(aK, aL) が成り立つ、つまり、資本と労働をa倍すると、財のアウトプットもa倍になる、「規模に関する収穫不変」が仮定されています。単純な新古典派成長モデル(いわゆるソローモデル)では、さらに、経済全体の貯蓄率sは(外生的に)一定、人口の成長率もnで一定という仮定の下で、以下のような結果が得られています。いま、一人あたり資本K/L=k,一人あたりGDP(所得)をY/L =yと書くと、長期的にはある一定値k*, y*に収束する。したがって、こうした経済の長期均衡(定常均衡)においてはGDPは労働の成長率nで成長し、一人あたり資本(資本集約度)は一定k*にとどまることになる。では、この長期均衡状態においては、資本の収益率はどうなるか?ソローモデルで仮定しているような完全競争が行われる経済 では 資本収益率=資本の限界生産性=FK(k*,1) という一定値をとるのです。ちなみに、労働賃金は労働の限界生産性=FL(k*,1)の一定値になります。この新古典派モデルに即していうと、ピケティは FK(k*,1) > n を主張していることになります。このように、収穫逓減は長期均衡における資本収益率は一定にとどまることと矛盾するわけではありません! なお、k*の値はどのように定まるかというと、 sFK(k,1) = nk をkについて解いたときの解k*である。 なお、現実の経済では、GDPの成長率は人口の成長率nを上回りますが、それはソローモデルでは外生的にあたえられる(労働増大的)技術進歩によることになる。
お礼
詳しいご回答ありがとうございました。資本と労働を同時に投入ならば収穫逓減するというわけではなく、資本収益率が一定値に留まることと矛盾しないということですね。また、ソローの経済成長モデルについて勉強すればよいとのとご教示ありがとうございます。経済学はテキストを自分で読んでいるくらいのレベルなのですが、とても興味深いものです。