- ベストアンサー
15世紀辺りの金銭感覚について
中世をモチーフにしたファンタジー小説を書いていて、商売関連の話題を書いている最中なのですが。 フローリン(金貨として)とグロート(大銀貨として)とペニー(小銀貨として)の金銭単位を採用しようと思うのですが、どうもしっくり来る金銭感覚が思いつきません。 ですので、中世の物価や金銭感覚を教えてください。 パンをはじめとして、できるだけ多くの比較対象が欲しいです。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
比較対象とか意味ないと言うか…18世紀に入るまで、日本も含めて封建制の地域にはまともな「定価」と言う概念自体がありません。なので相手が新参、或いは異教徒や外国人なら原価の10倍~100倍で売りつけるのが普通です。逆に世話になってる権力者には実質、無料で商品を融通し、村の外を知らない農民相手には作物や家畜を底値で安く買い叩くのが通例です。 P.S. 15世紀頃だと貨幣経済が浸透しているのはプロの世界のみ。つまり貿易省とかしか金貨を使わないのが常識で、一般庶民は金貨を一生見る事も無く過ごすのが普通でした。都市部などで下働きをしてる下僕や、或いは傭兵等の雇われ者なら給料として金貨を貰う事がありますが…通常は給料や納税には銀貨が使われました。と言うか15世紀頃なら金貨はプロ専用の国際通貨。主な使い道は海外との貿易で、国内経済の主役は専ら「銀貨」オンリー、以外にも欧州ではかなり時代が下らないと銅貨は全くと言っていいほど使われてません(逆にアジアはかなり早い時期から主要貨幣が銅貨銅銭でした)。 これが16世紀に入ると、いわゆる "大航海時代" の始まりで、大量の銀が新大陸から欧州にもたらされるようになり。一般庶民にも一気に貨幣経済と言うライフスタイルが浸透していきます。またこの時期、ドイツで良質な銀山が開発された事も拍車をかけました(俗に言う "ターラー銀貨" です)。 で、ご存知とは思いますが。当時は欧州各国、或いは地方領主はもちろん、果ては教会や法王までもがてんでバラバラ勝手に自前のコインを発行してましたので。旅回りの商人達は常に純度の高い金貨を求めて、それを基準に商売をしてました。なのでそのコインの金の含有量がどれくらいかを測り、銀貨等に両替する両替商が欠かせない存在でした(彼らが現代に通じる金融業や銀行家の前進となりました)。 ですので…フローリン?ペニー?まあそんな名前は商人に取っては何の価値も無く、要はどれだけ金が含まれてるかが重要です。こう言った背景から、東ローマ帝国(ビザンチン帝国)で初期に鋳造されたソリドス金貨は非常に珍重されました(金含有量が高い)。当時は商人たちは値段の交渉などでは「金貨400枚(或いは400ドル)」では無く、「400ソリドス」と言う様な物言いをします。現代の様な「通貨単位」と言う概念がありません。名の通った純度の高い金貨の名前が実質、通貨単位として通用してました。もちろんこの「単位」は国によって異なります。 また当然ながら、当時の欧州は微に入り細に入り、何事につけても宗教を避けて通る事は出来ません。前述の両替商は例外無くユダヤ人の仕事でした。何故だかお分かりですか?中世キリスト教価値観では「商人は卑しい職業」と言うのが大前提です。ですので公の場ではあまり「俺は○○商だ!」とは言いません。ちょっとぼかした言い方をするのが常でした。それでも商人が居ないと、特に都市生活は回らないので一種の必要悪と見做されて、教会や領主から「本当は追放せねばならない悪しき存在だが、大人しく税を納めてる分には見逃してやろう」的な扱いでした。 で、この時に「商品」を扱っているのはギリギリセーフだが、純粋に「貨幣のみ」を扱う両替商はけしからん。悪魔の使いだと言うのが中世的模範価値観です。従って正しきキリスト教徒ならば両替商などもっての外!…と言う現代人にはなかなか理解し難い価値観で彼らは生きています。その絶対に存在が許されない悪魔的職業の両替商が居なければ、彼らの貿易などの仕事は一切立ち行かなく成るにも関わらず。 はい、もうお分かりですね?つまり賤業である両替商くらいしか、当時のユダヤ人には職業選択肢が無かった訳です。この辺の異常なまでのユダヤ人差別、特定職業蔑視の社会的状況はシェークスピアの『ヴェニスの商人』に書かれています。読めば分かりますが、あの作品の中でシャイロックは純粋に正しく商契約(金の貸し借り)を結び、アントニオもそれに納得して契約したにも関わらず、まるで強欲魔人の冷血鬼の如く書かれています。これはひとえにシャイロックがユダヤ人だからで、当時の価値観では「両替商(金貸し)+ユダヤ人」のコンボでダブルの非人間と言う考え方が良く現れています(作品成立は16世紀末が定説)。
その他の回答 (1)
- chiha2525
- ベストアンサー率10% (245/2384)
そんなのどうでも良いと思うのだけど、10000円札と5000円札と2000円札とじゃ、100円のものが買えないって言ってるようなもの?
お礼
なるほど。 ボッタクリが日常茶飯事なら、価格は適当って感じでいけそうですね。 それと、例の小説の登場人物の中に商人が居るのですが、この説明のおかげで、よりリアリティのある設定が創れそうです。とは言え、細かい設定にリアリティを持たせるのは、私の自己満足なのですがね(笑) それにしても、中世の文化というのは、良くも悪くも興味深いですよね。もっと調べてみます。