硝酸と硫酸に関しては裏技があります。
まず、前提として「硫酸」、「硝酸」の化学式を覚えます。
簡単です!
H₂SO₃(硫酸)
HNO₂(硝酸)
覚えたら水素イオンの個数と同じだけ価数があります。
例えば、硫酸なら水素イオン2個ということは安定するためには陰イオンが2つ
よって2-となります。
硝酸も同様に-(1価)となります。
質問のNH4なのですがこれは、NとHの価数をもとめてそれを足せば、答えになります。
-3+(+1)×4=1
ほかのイオンにもある程度対応できます。
ですが基本これは覚えるしかありません。
ですので、色々考える前に覚えてしまったほうが断然早いです。
下に異なるやり方の参照を載せておきますので、参考程度にしてください。
Oが-2
Hが+1
として、
X族は +(X-10) とすると、
多原子イオンの「価数」の目安は導けないこともないですが、
高校化学の範囲で私の知る限りでは、
「口ぐせ」で覚えてしまった方が早いです。
14族 +4
C
Si
H2CO3 炭酸
CO3(2-)
・・・Cが+4、O合計で-6、以下同様
H2SiO3 ケイ酸
SiO3(2-)
・・・しかし、高校で習うのはメタケイ酸であり、ケイ酸はこれ以外にもいろいろな種類がある。覚えた方が早い、という一つの理由。
15族 +5
N
P
HNO3 硝酸
NO3(-)
・・・Nが+5、O合計で-6
H3PO4 リン酸
PO4(3-)
・・・Pが+5、O合計で-8
同じ5族なのに、HPO3とならない。これが「覚えてしまった方が早い」という最大の理由。
つまり、「どう計算すればいいのでしょうか」と聞いているけど、計算だけでは化学式が書けないことがある。化学式がわかっていれば、価数を推測するくらいのことには役立つ。
リン酸はこの他、
HPO4(2-)
H2PO4(-)
・・・Hが増えた分、PO4(3-)から数が変わる。
HNO2 亜硝酸
NO2(-)
・・・最大にややこしいのがこの「亜」(=酸素が1つ少ない)シリーズ。Nが+5、O合計で-4 では計算が合わない。覚える!
(というか、基本の硝酸を覚えて、亜のルールを知る。)
16族 +6
(O)
S
H2SO4 硫酸
SO4(2-)
・・・Sが+6、O合計で-8
H2SO3 亜硫酸
SO3(2-)
・・・理屈じゃない。
H2S2O3 チオ硫酸
・・・「接頭辞「チオ」は、硫酸イオンの酸素原子が硫黄原子で置換されたものであることを示している。」そうです。
つまり、H2SO4にSが付いたんじゃなくて、H2SO3にSが付いたんでもなくて、
H2SO4の Oが1個Sに変わった
ということ。OとSは同族だから、(2-)のまま変わらない。(たぶんそういう理由)
17族 +7
(というよりむしろ、「18族は最外殻電子8」ということをしっかり覚えて、そこからいくつ隣か、数字を減らしていく。)
F
Cl
Br
I
HF フッ化水素酸
F(-)
・・・当然、+7ではない。
HCl 塩酸
Cl(-)
HBr 臭化水素酸
Br(-)
HI ヨウ化水素酸
I(-)
HClO 次亜塩素酸
HClO2 亜塩素酸
HClO3 塩素酸
HClO4 過塩素酸 (「過」(=酸素が1つ多い))
これも理屈じゃない。
ClO(-)
ClO2(-)
ClO3(-)
ClO4(-)
・・・全部 1-
HBrO3 臭素酸
HIO3 ヨウ素酸
塩素を臭素、ヨウ素に置き換えただけ。
その他
NH4(+)
・・・Nが+5、H合計で+4 では、わかりにくい。
そもそも、多原子イオンは共有結合を作っていて、さらに「全体でいくつか電子が足りない/余っている」という状態になっている(厳密には、-OHのHが取れるところに電荷が偏ったりするのだろうけど)。
ここは、共有結合を勉強してください。
Nの電子式は書きませんけど、
・・(電子対)1つ、
・(孤立電子)3つ
で価標3本になります。
だからNH3
で、NH3 + H(+) → NH4(+)
左右が両方とも +1 で電気的に釣り合っている、
と理解するのが一番早いのでは。
「エイチスリー、ピーオーフォー」みたいな口ぐせをオススメします。
(ここには、過マンガン酸イオンや、クロム酸、二クロム酸、酢酸などを省略しました。)
酸化還元とも関係あるはずなので、「何かルールは?」と気になったら、やっぱり学校の先生に聞いてください。