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呂宋助左衛門とルソンの日本人町
- 呂宋助左衛門とは、1978年のNHK大河ドラマ「黄金の日々」に登場する架空の人物であり、豪商としての活躍が描かれています。
- 実在の呂宋助左衛門については詳細な事跡は不明ですが、太閤記にも名前が登場し、実在の人物である可能性があります。
- 当時のルソンには日本人町が存在し、堺に匹敵するような繁栄を遂げていたという記録はあります。
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歴史小説というものは史料が欠落した部分を作家が創作して埋め合わせて記述されます。 逆に言いますと詳細な史料が残されている史実については歴史小説家は歯が立ません。 歴史小説というものが持つこのような性格から、城山三郎が書いた歴史小説を元にしたドラマのどこまでが史実でどこからが城山三郎の創作であるかの判別は難しいでしょう。 全体がフィクションであるかどうかは断定できません。 しかし、全体が史実であるということはあり得ません。 ご質問の文章の中の「関ヶ原に勝った徳川家康が自由都市堺を破壊し」という部分は史実とは異なります。 大阪夏の陣の際に堺を焼いたのは大阪方の大野治胤です。 家康は大阪の陣終了後むしろ復興に務めています。 家康にとっては堺は朱印貿易に携わる商人達の町でしたので大切にしていました。 破壊する理由はどこにもありませんでした。 町民もわざわざ海外へ居住地を移さなければないような積極的な理由はありませんでした。 堺商人の自治組織を潰したのは信長の命に従った秀吉です。 参考 堺市 - Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/堺市 堺奉行 - Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/堺奉行 質問への回答 (1)Wikipediaでも説明されています通り極めて史料が少ない人物です。 このように史料が少なくてルソン壺事件などという派手な事件を起こした人物は歴史小説家にとっては格好の対象になります。 どのように想像して書いてもどこからも文句がきません。 但し、当時呂宋(納屋)助左衛門のような海外交易に携わっていた人物は沢山います。 茶屋四郎次郎とか住倉了以などが有名です。 このような他の人物や活躍したとされる時代背景などを取り入れて書きあげてあるのが歴史小説です。 (2)当時のルソン島は朱印貿易の主要ルートの中継基地として重要な地点でした。特に現在も首都であるマニラは古くからの大きな町でした。 堺に匹敵するような日本人町はありませんでしたが日本人の居住と安全を保障された居住区はありました。 当時のルソン島はスペインの植民地でスペインが実効支配していました。 秀吉も家康も朱印船の安全保障をスペインの提督から得ています。 日本人居住区もこれの延長線上でスペイン提督の保護下にありました。 当時のスペインを相手に自分達用の町づくりなど勝手なことができる商人は日本にはいませんでした。 例え秀吉や家康でも戦争の覚悟が必要だったでしょう。 広大な日本人町があったのはタイのアユタヤです。 城山三郎はマニラとアユタヤを混同しています。 当時の海外交易の実態については下記のサイトをご参照願います 豊臣秀吉とルソン総督間の交渉 - メキシコ-日本アミーゴ会の公式サイト www.mex-jpn-amigo.org/doc.id/47fb313c/ 東南アジアと御朱印船貿易 - NAOSITE naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp/dspace/bitstream/10069/26334/1/t... 朱印船 - Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/朱印船 呂宋助左衛門とカンボジア:メコンプラザ www.mekong.ne.jp/linkage/nayasukezaemon.htm ルソン時代よりもカンボジア時代の方が史料が残っています。 呂宋助左衛門がカンボジアへ行ったのも秀吉に咎められた後です。 そもそも城山三郎が元とした太閤記も歴史書として書かれたものではありません。 単に史実とされる部分が多いだけの書物です。 歴史小説が史実と異なっていても文芸作品としての評価には影響はありません。 司馬遼太郎の坂の上の雲にも司馬の創作が沢山入っています。 吉川英二の宮本武蔵、池波正太郎の鬼平こと長谷川平蔵もしかりです。 小説やドラマとして楽しんでください。 ただし、歴史小説にだけ頼って歴史を勉強すると誤解が生じますので注意して下さい。
お礼
紹介いただいたリンクは私の知らないことがたくさん書いてあり有益でした。ただ、呂宋助左衛門についてはやはりわかっていることはあまり多くない、したがってドラマの大部分はフィクションにちがいないという印象は拭いがたいですね。 歴史小説はどこが事実で、どこが創作(フィクション)なのか、わからないのが難点ですね(あるいはそこが面白いのかもしれませんが。。。)「坂の上の雲」についていうと司馬遼太郎は事実に100パーセント縛られたといっています。最近はバルチック艦隊の行き先についての東郷の判断の根拠について司馬遼太郎の解釈が正しくなかったことがいろいろと話題になっているくらいですから、この小説の執筆当時知られていた事実は最大限に利用して書かれているんでしょうね。池上正太郎についていうと、彼の「真田太平記」はたいへん面白く、大好きな歴史小説ですが、お江をはじめ忍者(草の者)が活躍する部分とか、真田幸村の若年期の話などはあきらかにフィクションで、嘘くさいというのが読んでいてよくわかります。