No.2、5です
補足を頂戴しました。
当初のご質問とはやや議論が拡散してしまっているようですが、当初のご質問の「日本における歴史的必然性」につきましてはご理解いただけましたでしょうか?
補足の中でご指摘のエマニュエル・トッドの解析の当否は本来のご質問趣旨とはかけ離れてしまいますので、説明は控えさせていただきます。
中国の宋族と社会、国家の関係に関しましては、下記のサイトをご参照願います。
中国農民社会における儒教の影響の実態 東北地方 ... - 国立民族学博物館
ir.minpaku.ac.jp/dspace/bitstream/10502/3086/1/KH_019_1_003....
孝から忠への展開について
ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/kiyo/AN10581825/ToyoKoten...
Title 日本儒教の特徴 Author(s) 高島, 元洋 Citation 大学院教育改革 ...
teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/bitstream/10083/35346/1/44_187-20...
抜粋
中国社会には、宗族という強力な家族制度が存在した26。宗族とは、一般的には漢民族における父系単系出自集団をいい、外婚制(exogamy)をとる。
その本質は、一個の祖先の生命が永遠に延長拡大するという思想である。日本の家においては家業・家名が相続されるが、中国の家においては、同一の気(生命体・血筋)が持続する。中国社会が、「同姓不婚」、「異姓不養」、夫婦別姓であるのも、この家族制度に理由がある。
宗族における徳目は「孝」である。「孝」の実践は「礼」である。「礼」の旧字「禮」は、示偏と豊の字からなり、「示」は神を表わし、「豊」は豆(たかつき)の上に曲(供物)を乗せたかたちで、この字の最初の意味が神を祀る儀式にあることがわかる(武内義雄「儒教の精神」)。「礼」の本質は、「孝」の実践としての祖先祭祀である。「冠昏喪祭、礼之大者」というが(『小学』程伊川の語)、冠・昏・祭は、宗族にたいする統合儀礼であり、喪は分離儀礼であり、宗族を持続せしめる活動が「礼」にほかならない27。日本で「礼」(礼儀作法)という言葉は礼儀正しいことさらに美しいことを意味するが、ほんらいは行為に関する美意識を問題にするものではない。
中国社会における基本単位は宗族である。なおかつ宗族の思想的な意味は、家(宗族)が国家以上に重要だということである。
したがってこのまま放置すると、社会はばらばらな宗族のアナーキーな集合になるゆえ、宗族を束ねる適切な国家組織が必要になってくる。こうして周代に封建制ができ、秦代に強固に中央集権化した郡県制ができる。
この社会構造から対応する思想が生まれる。これが儒教である。宗族における徳目は「孝」である。「孝」の実践は「礼」である。儒教は、これらの徳の上位に「仁」を説く。「孝弟」は宗族内の徳目であるが、社会全体に関与し安寧にみちびく徳目ではない。儒教は、「孝弟」を土台にして、さらに宗族をこえる人間関係を問題にする。その徳目が「仁」である(孝弟なる者は、其れ仁を為すの本か。『論語』学而)。「仁」は、人間関係一般の徳目であり、国家や社会の理念でもある。
以上のように相当に根深いものです。
時々の為政者も苦労したことでしょう。
現在も続いています。
華僑などという、政府や国家権力は利用するも、のとしか考えていない集団も健在です。
尚、ヨーロッパにつきましては回答者No.6さんの回答にお譲りします。
蛇足
孫文が「砂のような民」と嘆いたのも分かります。
国家というよりも宋族を優先されたのでは、日本の明治維新は参考にはならなかったでしょう。
補足
武士と荘園支配 服部英雄 日本史タブレット 戦国時代の村と町のかたち 仁木 宏 日本史タブレット 百姓の力 江戸時代から見える日本 渡辺尚志 柏書房 上記の三冊をざっと読みました。 上級権力による土地の耕作権把握に関しては 戦国時代の村と町のかたち 仁木 宏 日本史タブレット の P64 に図 長岡京市の史料で乙訓郡のものがあり、上記の書籍には年代を明確にしていませんでしたが、下記によれば http://nagaokakyo-maibun.or.jp/iseki-sheet3kyuuto.html 京都の鳥羽作り道から、久我森の宮を経て大山崎町下植野を通り山崎駅へ至る。山崎津と平安京の連絡路で平安前期に開設か。「室町時代の乙訓郡条里坪付図」(九条家文書)『太平記』『山州名跡志』4時期にわたる変遷 室町時代、つまり太閤検地等の前の段階では、 「一のつほ ふる一方所 より 四町ひかし」 程度の把握度のようです。 ※ 百姓の力の指摘で近世の前は移動農民も多かったのよねという指摘はちょっと新鮮でありました。 なんとなくのイメージは、現代におけるカルフォルニアのメキシコ系農業労働者。 ==== 宗族を鍵に日中の違いが説明できたとしても、欧州やイスラム圏との比較はできないような気もします。 家族の構造と上級権力による耕作権の認定(ないし確認)が関係するのであれば エマニュエル・トッド風の分類ですと http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%89 直系家族 (la famille souche) 、日本、朝鮮半島、台湾、ユダヤ人社会、 基本的価値は権威と不平等である。 外婚制共同体家族 (la famille communautaire exogame) ロシア、フィンランド、旧ユーゴスラビア、ブルガリア、ハンガリー、モンゴル、中国、インド北部、ベトナム、キューバ、フランスのリムーザン地域圏およびラングドック=ルシヨン地域圏とコートダジュール、イタリア中部(トスカーナ州やラツィオ州など)に見られる。基本的価値は権威と平等である。これから、共産主義との親和性が高い。 などなど、朝鮮はどうだとかロシアはどうだとかという話になるかと ※ まぁトッドの分析が正しいかどうかということもありますが。 ただし、日中の家族構造(宗族制度)の有無と検地とを結びつけるのは無理があるように思います。