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吉川三国志・中国史における字の使い方
こんにちは。 吉川英治さんの三国志を読んでいるのですが、字(あざな)について疑問があります。 ご教示いただければ幸いです。 他の方の質問やWikipediaには、登場人物が呼び合う際には 姓+役職、姓+名、姓+字、字のみ などの組み合わせが正しい使い方で、 姓+名+字は誤りである、と書いてありました。 この認識は正しいでしょうか? また台詞中には姓+名+字の組み合わせも登場します。 例えば、 関羽「劉備玄徳どのを、自分らの主君と…」 や 劉備「新野の劉備玄徳ですが」 などです。 これらは正しいのですか?厳密には間違いですか? それとも、一般小説として便宜を図った結果なのでしょうか?
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んとね・・・ ちょっと昔までは、中国人は諱(いみな)はしゃべるものではありませんでした。 例えば、曹操孟徳という人物の名前を解読すると 曹(姓) 操(諱) 孟徳(字) になります。 人に自己紹介する際は、曹孟徳です。 と語ります。 これが現代の人名になります、 日本人の氏名もこれに基いています。 しかしながら、中国では、北と南では言葉が違うので、多くは書簡を交わして文章で理解したといいます。 ですので、書簡には「曹操孟徳」と記すわけです。 相手が目上の場合は、官職か大人(ターレン)と付けるのが慣わしです。 ですので、将軍なら、曹将軍という呼び方になります。 しかし、そこは小説ですので、実際の呼び方には倣いません。 それだと、読んだ人がなんだか分かりにくくなってしまいます。 ですので、曹操孟徳将軍や、曹操などと呼んだりしているのです。 江戸時代まで、日本の女性は諱しか持っていませんでした。 これは中国でも一緒です。 そして、それは人の目に触れてはいけないものでした。 ですので、中国の偉人の女性は本名が伝わっていません。 すべて通称です。 日本では源氏名と呼ばれています。 名前は夫と親しか知らないものなんです。 ※戦国時代以降は、大名の妻などは伝えられるようになりました。 小説でも、李公主や李夫人という呼び名のはずです。 よく知られる貂蝉という美女も、元代の雑劇『錦雲堂美女連環計』で、初めて姓を任、名を紅昌、小字を貂蝉と設定された創作です。 大喬小喬も、喬(本来は橋の字)氏の娘の姉と妹という意味です。
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劉備玄徳とか諸葛亮孔明といった言い方は、向こうでは実際にはしないようで、日本式というか誤りということになります。 吉川英治の「三国志」は読んでませんが、羅貫中の「三国志演義」では、立間祥介訳を引用すると、 「おれは姓は張、名は飛、字翼徳。……」というような名乗り方をしています。 自分で名乗るときは姓+名、相手を呼ぶときは姓+字になるのが普通だったと思います。 関羽「劉備玄徳どのを、自分らの主君と…」 や 劉備「新野の劉備玄徳ですが」 というのは、「劉玄徳どのを…」「新野の劉備ですが」というのが正確でしょう。
お礼
お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。 他の作品での例、大変参考になります。 やはり字に馴染みのない読者にも分かりやすいように書いているのですね。 ご回答ありがとうございました。
- mp20palpunte
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自分も専門家でないので絶対だと言い切る事はできませんが、 姓+名+字という呼び方はしないという認識です。 名前を呼ぶことは、失礼にあたるということで、 上位者や、仲の良い同輩、侮辱するときなどでは名前を呼ぶこともありますが、 基本、字で呼び合うのが普通と、どこかで読んだことがあります。 名前を呼ぶのは、日本的に言うなら「呼び捨て」にあたるイメージでしょうか。 小説内で姓+名+字を使うのは、語呂だったりするのではないでしょうか。 趙子龍!と言うより、趙雲子龍!の方がかっこよく聞こえます。
お礼
お礼が遅くなってしまい大変申し訳ありません。 語呂ですか!確かに日本人の感覚として、三文字よりも四文字の名前に馴染みがありますね。 ご回答どうもありがとうございました。
お礼
場合によっては姓名字を連記する例もあったのですね。 女性の本名が伝わっていないというのも、なるほどです。日本の古典でも本名が残っている女性はほとんどいませんね…気がつきませんでした。 とても詳しい回答をありがとうございます。大変興味深く読ませていただきました。