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ラプラスの悪魔について
ラプラスの悪魔というものについて興味を持ち、多少なりともネットで調べたのですが、この考えは量子力学、不確定性原理、カオス(複雑系)といったもので否定されたとありました。でもこのへんがどうもよく分からないんです。現代の科学、あるいは人知では測定できないからといって、そこに法則がない(つまりラプラスの悪魔は存在しない)とはいえないと思うので。不確定性原理も、人間の理解力ではそう見えるだけで、本当はその働きに「確定」の法則があるような気がするのです。 私は物理にはシロウトなので、上に書いた言葉の意味も良く分かっていません。でも自分なりに理解しようとしていくつかのサイトを見て回ったのですが、上記の疑問を納得させることができませんでした。どなたか、感想程度のことでも構いませんので、何でもご意見をお願いします。
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kuontpさん、こんにちは。ベルの不等式が破られていることによりラプラスの悪魔が存在し得ないことが示されたというのはやや不正確あるいは単純化し過ぎでした。ベルの不等式は次の二つの仮定だけに基づくスピンの相関に関する不等式です。 (1)物理量の局所性(相対性理論の要請) (2)決定論によって観測量が決まっていること この二つの仮定から量子論の予言とは一致しない不等式が導かれます。アスペを始め、いくつかの実験が行われ、全て量子論の予言と一致していたのです。したがって上の二つの仮定の少なくとも一つは放棄しなければならないことになります。局所性を破れば古典的因果律を満たす理論ができる可能性は残されており、実際ボームはそのような理論を作っています。しかしボームの理論は複雑で奇妙な性質を持っており、賛同者は多くないようです。相対論が正しいことは多くの実験により示されています。したがって多くの物理学者は相対論の要請を破るよりは古典的因果律を破る方が良いと考えているのでしょう。すなわち世界で起っていることのうちある部分は原因なしにおこっているのです。疑似乱数ではなく、種も計算式もない真の乱数によって決められているのです。
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- KENZOU
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#6のKENZOUです。 >マトリックス」はまだ生身の人間が関与する余地がありましたが、「リング」に至っては全てがシュミレート、つまり計算の結果で存在した世界なんです。ここで疑問なんですが、ベルの不等式が否定されたことによって、このような世界はありえないといえるでしょうか? ご質問の内容を読んでいると、”荘子が、蝶となり百年を花上に遊んだと夢に見て目覚めたが、自分が夢で蝶となったのか、蝶が夢見て今自分になっているのかと疑った”胡蝶の夢「荘子(斉物論)」の故事をふと思いだしました。余談はさておき、kuontpさんがBellの不等式が否定されたこととコンピュータシュミレーション世界の実在性との関連をどのように捉えられているのか、いまいちピンとこない、この壁を乗り越えられずにモタモタしているのですが。。。この議論のポイントはシミュレーションプログラムを作ったのは誰かという点でしょうか? もし、それが人間であれば、そこの展開される世界はただ単にバーチャルな世界の遊びを表現したものでしかないと思いますし、人間ではなくて全知全能の神がそのプログラムを作ったのだとすると、まさにわれわれが今生きているこの現実の世界も神のプログラミングのなせる業ということになり、例の不確定性原理も神がそのようにプログラミングしているだけで、神にとっては不確定性なんか存在していないということになります。つまり、神自身がラプラスの悪魔となるわけですね。しかしこれは#4でも述べたように自然科学と何の関係もない空理空論ですね。議論が初期に戻りますが、いかがでしょうか。尤も、上で述べたような意味で言われているのでないならば、もう少し噛み砕いてポイントを明示していただければと思いますが。。。
- KENZOU
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#4のKENZOUです。 >不確定性原理にはラプラスの悪魔を否定する根拠があるのかについて疑問を持ったので質問させてもらいました。 ご質問の趣旨は大変よくわかりました。根拠については#5のgrothendieckさんの書かれている通りと思います。以下は蛇足の補足で既にご存知の話であればご容赦ください。ミクロな量子力学の世界では粒子k,mの位置と運動量をそれぞれQk、Pk、Qm、Pmとすると次の正準交換関係が成り立つことが知られています。 (1) [Qk、Pm]=QkPm-PmQk=i(δkm)hbar 但しδkm=1(k=m)、δkm=0(k≠m)、hbar:プランク定数hを2πで割ったもの。 (1)の意味するところは同一粒子の位置と運動量を同時に観測(測定)することは出来ない(尤も異なる粒子であればk粒子の位置とm粒子の運動量は同時に正確に測定可能・・・)、ということを意味しています。これが古典論との決定的な違いで、ハイゼンベルグの不確定性原理はこの式から導出されます。それは位置と運動量の”揺らぎ”をそれぞれ△Qk、△Pkとすると (2) △Qk・△Pk≧h/4Π という関係式で表されます。ご承知のように、位置の測定精度を上げていくと(△Qk→0)と上の関係より△Pk→∞とならざるを得ない。古典論では位置と運動量は同時に正確に測定は可能だが、位置と波数の関係は丁度(2)のような不確定性の関係があることはよく知られています(Fourie変換するとわかる)。量子力学では、波数でなく運動量が出てきたことにビックリした訳ですね。しかし、(2)のような関係は隠れたパラメータ(Bohm等が提唱していたと思うが)というものが存在し、それを掴めば不確定なんぞないという議論が展開されたことがあったと思います(←うろ覚え)。この辺の議論の決着はgrothendieckさんの書かれている経緯を通じて否定されました。ということで理論的・実験的にラプラスの悪魔はこの世から消去されました。
- grothendieck
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kuontpさん、こんには。現在、因果律は量子力学の仮定しているように確率的にしか定まっていないと考えられています。それは実験でベルの不等式が否定されたことによっているのです。もし隠れた変数があり未来の事象が確定しているとすると、ベルの不等式と呼ばれるものが成立することが示されます。アスペの巧妙な実験によりベルの不等式は破られることが示されました。量子力学は正しかったのです。したがってラプラスの悪魔も存在しないことになります。
お礼
回等ありがとうございます。どうも私は日本語以外は暗号のようにしか見えないので、日本語のサイトでいくつか、ベルの不等式を読んでみました。それでも全然理解できているとはいえないのですが(これが一番問題なんでしょうが…)、まだ分からない点があります。 もしコンピュータで好きなような世界を作れるとします。これは現実には不可能な高性能のコンピュータです。私たちはこれがプログラミングだと分かっていますが、その中に存在する人間は、自分がコンピュータの中にいるとは気づいていません(先にお礼を書いたNo.5も参考にしてください。「マトリックス」がイメージしやすいかも)。この世界はプログラミングですから、魔法が使えたりモンスターが出てきたりするのも自由です。中の人間はなぜ魔法が使えたりモンスターがいるのかは分かりませんが、とにかく現実にそういうものがあるんだと思うほかありません(けど私たちは、中の人間が仮想を現実と思い込んでいることを知っています)。 さて、立場を逆転させた時、つまりこの世界が仮想だと仮定した時、ベルの不等式が破られることもプログラミングでそうなっていたと考えられないでしょうか? 作り手は好きなように世界を構成できますから、ベルの不等式が破られる世界というのを作ることもできるのではないでしょうか? しかしここには矛盾があり、全てはプログラミングの結果なのですから、ラプラスの悪魔は存在することになります。このような考えにも、アスペの実験は反論できる内容なのですか? ※気を悪くされたのなら申し訳ありません。文句をつけているのではなくて、純粋に自分の中にわいてきた疑問なんです。上記のような仮定をすることで、私はどうしても、原理的にラプラスの悪魔を否定することはできないんじゃないかという思いが強いです。だから再度、疑問をお尋ねさせていただきました。
- KENZOU
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悪魔で有名なのはこの他に「Maxwellの悪魔」というものがありますね。これは熱を冷たい方から熱い方に流す悪魔です。熱の正体は分子の運動エネルギーといわれていますが、運動エネルギーが高ければ熱は高いとなるわけです。エネルギーは高いほうから低いほうに流れますね。例えば山頂から転がしたボールは下のほうに自然に転がっていきます。麓からボールが自然に山頂目指して昇っていくということは決してない。しかし、Mawxellの悪魔というものが存在すれば。。。熱い部屋と寒い部屋を仕切りを介してひっつけ、その仕切りに小さな扉をつけてそこにMaxwellの悪魔を棲みつかせます。Maxwellの悪魔は大変目がよく、ミクロな世界の動きをよく見ることができます。熱い部屋の分子の活発な動きを眺めていると同時に寒い部屋の不活発な分子の動きもしっかり見ている。不活発な分子の動きといってもそこには分布があるわけで、Maxwellの悪魔は不活発な分子の中でももっとも活発な分子を捕まえては扉を開け、熱い部屋のほうに放り込むという作業を続けている。するとどうでしょう、寒い部屋はますます寒くなり、熱い部屋はますます熱くなってくる。。。これは完全にわれわれの経験則に反する現象ですね。熱力学第2法則あるいはエントロピー増大の法則によりMaxwellの悪魔の存在は否定されました。 ラプラスの悪魔は目よりも頭脳が素晴らしく発達した悪魔で、スーパーコンピューターの能力を遥かに超える量子コンピュータをも大きく凌駕する人知を超越した計算能力を持っている悪魔です。彼は、この宇宙に存在するすべての基本粒子の「位置」と「速度」を掴んでおり、すべての現象は初期値が分かればあとは計算によってその後の動きを完全に知ることができると公言しています。つまり、宇宙の始まりから宇宙の終焉に至るまでのありとあらゆる出来事が計算で割り出すことができると言っているのですね。東京タワーの頂上から落としたティッシュの落下軌跡もズバリ計算ででるとしています。しかし、考えて見ましょう、いきなり吹く風でティッシュがどう動くがあらかじめそんなことが予想できるでしょうか。悪魔氏はその予想をピシャリと当てることができると言っているのでね。ここまでくれば、そんな馬鹿なことはない、となるのではないでしょうか。悪魔氏は、初期値が分かればすべてが決定するという決定論的な世界の中に棲んでいるのですね。現実の世界は不確定性の世界です。もっともそれは人知に限界があるためで、その限界を飛び越えれば。。。という議論がないこともないですが、何の根拠もないタラレバ論となるため、実りのない議論となるのではないでしょうか。
お礼
確かに、ラプラスの悪魔が危険性を含んでいることは自覚しているつもりです。人間には絶対に扱えるものではないから思想の遊びでしかないし、もし未来が確定されたものだとすれば、生きる張り合いや、頑張る意欲をなくす人も出るように思います。どんな悪事をしても「私がこうすることは宇宙誕生の時から決まっていたのだ」などと言われては、個人の責任というものは全くありません。この考え方が事実はどうかはともかく、ラプラスの悪魔を自分の行動の言い訳に使うような人が増えては、社会的に好ましいとは思えません。 とりあえずここでは、いくつものサイトに見たように、不確定性原理にはラプラスの悪魔を否定する根拠があるのかについて疑問を持ったので質問させてもらいました。ラプラスの悪魔を知ってしまったからには、自分の中にあった疑問を納得させたかったもので。 それから「Maxwellの悪魔」というのは初耳でした。教えていただいてありがとうございます。
- mmky
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参考程度に ハイゼンベルグ提唱の不確定理論は当時の認識で光子が最小の素粒子であるという認識のもとで提唱された理論です。当時は光子が最小でと考えられていたのでしょうが、光子も電子もエネルギー的には同等であったので光子で電子の位置などの測定は不可能ということは自明の理であったことは確かです。理論というよりは当然の帰着でしかないと思います。そこには神秘性のかけらもありませんね。一方、アインシュタイン先生のご指摘のように「神はサイコロを振って世界をつくったのではない。」ということを真摯に受け止めれば、電子や光子エネルギーの数千分の一の計測素粒子の存在を予言することの方がより神秘的ですね。そのような素粒子が見つかればハイゼンベルグ提唱の不確定理論は意味をなさなくなり、ハイゼンベルグから 始まった確率や偶然で世界が出来ているという考えはなくなると思いますね。 材料が偶然に集まって偶然のゆらぎで世界ができたなどという理論はどう考えても論理的ではありませんね。やはり誰かが材料を集めてそこに大工さんがいないと家は建ちませからね。そういう意味でラプラスの悪魔の考えには意味があると思いますね。
お礼
ご意見をありがとうございます。なかなか難しい話で全部は理解できていないんですが(^^ゞ、やっぱりラプラスの悪魔が間違っていたとか、否定されたわけではないんですね。でもこれって物理で追究するというより、哲学や思想の分野に属するものなんでしょうね。といより、私がそういう意味で考えている部分が大きいからこう思うんですが。
- zaki_shin
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オービスは車に向かって電波を発射し、反射波のドップラー効果から車の速度を割り出していますが(多分。。)、ここで、電波によって車が吹き飛んでしまうようなことがあれば車のスピードは割り出せません。(観測することによって、観測対象が影響を受ける)というのが不確定性原理だと理解しています。 なので、質問者さんや#1さんが仰るように、人間には認識できないだけで、なんの影響もあたえず観測できるような悪魔さんなら未来を知ることができるのではないでしょうか。
お礼
分かりやすい例えをありがとうございます。ハイゼンベルクの不確定性原理を書いてあるサイトで、電子の測定は不可能とありました。車が吹き飛ぶというのはイメージしやすくて頭にすんなり入りました。
はい。おっしゃるとおりです。 ここで1点だけ誤解を修正すべきだと思うのは、「不定」――つまり「分からない」の定義です。 質問文中では、おそらく「不定」のことを「法則がない」とお書きになってるんじゃないかと思います。 もしそうならば、それは誤解です。 「不定」とは、本当に純粋に「計測不能」というそれだけの意味でしかなく、実際にはそこには何らかの法則があります。 不確定性原理やカオス理論は、「どうして計測できないか」を証明した理論であり、「そこに法則がない」ことを証明したものではありません。 つまり、あなたがおっしゃるような意味での「ラプラスの悪魔」は確実に存在します。ただし、その悪魔の言葉を聞くことは、人間にはできません。 不確定性原理やら云々によって「その所在を証明できない」ことが証明されているからです。 おそらく最初に「ラプラスの悪魔」という言葉を考えた人は、そういった意味も含めてあえて「悪魔」という言葉を使ったのでしょうし、俺自身まさに至言だと思いますよ。
お礼
なるほど、「不定」は分からないと考えればいいんですね。ネットで調べていると、不確定性原理でラプラスの悪魔が“否定された”や“崩壊した”などとあったんです。だから「計測不能」という意味だけならラプラスの悪魔を否定することはできませんから、「法則がない」という意味かと思っていました。ラプラスの悪魔の声を聞くことは“否定”されても、世界の在り方の可能性としては“否定”されていないということなんですかね。 それから、ラプラスの悪魔っていう表現、言われてみれば確かに言い得て妙ですね。
お礼
回等ありがとうございます。正直言って理解できていないのですが、多少でも理解できるようになるのは当分先になりそうですので、まずはお礼申し上げます。 ところで、ラプラスの悪魔と関連して、もう一つ自分の中に疑問があります。別に質問をすべきなのかもしれないのですが、良かったらご意見をいただきたいです。 最近、映画で「マトリックス」ってありましたよね。またちょっと前にはあの貞子が出てくる「リング」がありました。(ネタばれが嫌な方は先を読まないでください)この「リング」は小説の続編である「ループ」を読むと、コンピュータでシュミレートされた世界という設定だったことが分かります。「マトリックス」はまだ生身の人間が関与する余地がありましたが、「リング」に至っては全てがシュミレート、つまり計算の結果で存在した世界なんです。ここで疑問なんですが、ベルの不等式が否定されたことによって、このような世界はありえないといえるでしょうか? 「マトリックス」もプログラムが人格を持って登場していましたから、その存在だけで世界を構成したら(つまり人間を介入させなかったら)、全ては計算できる世界、つまり「マトリックス」も「リング」もラプラスの悪魔が存在する世界となります。ベルの不等式が破られたことによってラプラスの悪魔が否定されるとしたら、理屈上、「マトリックス」の世界ではベルの不等式は破られないことになります。ベルの不等式とはそのような性質のものなのでしょうか? またベルの不等式が破られることさえもシュミレートされる世界というのは絶対に不可能といえるのでしょうか? これが原理的に不可能でないのなら、ラプラスの悪魔を否定することにはなりません。また私たちが現実と思っているこの世界であっても、計測不能で法則を見出せないような現象は、もしかしたらプログラムが擬似乱数で導き出した結果に過ぎないという可能性があるわけです(完全な乱数ならラプラスの悪魔ではなくなりますから、擬似乱数としています)。私はラプラスの悪魔が否定されることは、この世界が(比喩的に言えば)「マトリックス」ではないことの証拠になると思っています。はたしてベルの不等式が破られたことで、「仮想世界」と、私たちが一般に認識している「現実世界」は識別できる証拠となるのでしょうか?