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リチウムイオン電池のしくみ
- リチウムイオン電池の反応式では、決まって下記のような「x」を使った表現が出て来ます。
- 充放電時にはLi+が正極負極間で移動するという説明を見ました。
- ゲル状や固体の電解質もあるようですが、やはりそうなのでしょうか?
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> Li(1-x)CoO2はどんな物質なのでしょうか? > 色々な亜種の物質を代表してこのように表現しているのでしょうか? 「亜種の物質」というのが「LiCoO2によく似ているけど少し違う物質」という意味なら、そのとおりです。 LiCoO2の結晶構造は、http://en.wikipedia.org/wiki/Lithium_cobalt_oxide の図のようになっています。この図ですみれ色の球がLi+を表しています。このLiCoO2結晶中のLi+を、10個に1個の割合で取り除いた物質がLi0.9CoO2です。5個に1個の割合で取り除くとLi0.8CoO2に、3個に1個の割合で取り除くとLi0.67CoO2になります。何個に1個の割合で抜けているか分からないとき、または何個に1個の割合で抜けているかを特に指定する必要のないときは、Li(1-x)CoO2と書きます。Li(1-x)CoO2という表現は、Li0.9CoO2やLi0.8CoO2やLi0.67CoO2やその他の無数の組成の物質を代表している表現といっていいでしょう。 > 取り込む時は元々あった電解質中のLi+を取り込むのでしょうか? > それとも負極から放出され、正極まで泳いで来たLi+を取り込むのでしょうか? 元々あった電解質中のLi+を取り込みます。 電解質から正極に取り込まれた分のLi+は、負極から電解質に補充されます。いわゆるトコロテン式ですね。放電時に正極が導線から電子を取り込み、導線には外部負荷が電子を与え、外部負荷には負極につながった導線から、その導線には負極から電子が送られる、という話と同じ理屈です。 > ゲル状や固体の場合、もし泳いで来なかった場合はどうなるのでしょう? Li+が泳げないような電解質は、ゲルであろうと固体であろうと液体であろうと、リチウムイオン電池の電解質としては使えません。 > 解説書等では「移動する」と説明したものが多いのですが、ゲル中や固体中をイオンが移動するのでしょうか? します。 無機系の固体電解質でも、ポリマー系の固体電解質でも、固体の内部をリチウムイオンが移動できる物質がリチウムイオン電池の電解質として採用されます。詳しくは、「リチウムイオン伝導体」をキーワードに調べてみてください。 ゲルについては、イオンの動き易さに限って言えば電解質溶液とほぼ似たような性質を持つ、と理解していてもとりあえずは大丈夫だと思います。ちょっと乱暴な言い方かもしれませんけど、ゲル中の分子やイオンの拡散係数が液体中のそれと同程度なので、分子のレベルで見れば(分子やイオンの立場から見れば)、ゲル中でも液体中でもイオンの動き易さは変わらない、ということです。 > もしかしたら負極から出たLi+が電解質に触れると電子を貰ってLiになり、 > 電子をバケツリレーの様にして正極側でLi+ができるのかな?と思いましたけど、 Li+に関していえば、それはありえないと断言できます。 Li+に電子を与えてLi原子にするためには、かなりのエネルギーを要します。もしそのようなことが可能な物質があるなら、電解質としてではなく活物質として使われているでしょう。 イオン伝導でバケツリレーといえば、プロトン伝導のが有名ですね。もし興味があれば「グロータス機構」について調べてみてください。
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- 101325
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ごめんなさい。先の回答で充放電の向きを間違えていました。 LiCoO2→Li(1-x)CoO2 + xLi+ + xe- は充電時の反応式です。 誤:充電完了したときの正極材料の化学式をLiCoO2、放電しきったときの正極材料の化学式をLi(1-x)CoO2とする 正:充電完了したときの正極材料の化学式をLi(1-x)CoO2、放電しきったときの正極材料の化学式をLiCoO2とする 誤:xe-はコバルト原子1個あたりx個の電子が導線を通って外部負荷に送られることを表しています。 正:xe-はコバルト原子1個あたりx個の電子が導線を通って外部電源へ送られることを表しています。 誤:電子は正極→導線→外部負荷→導線→負極という径路で 正:電子は正極→導線→外部電源→導線→負極という径路で 他にも誤りがあるかもしれません。 よく分からないところや意味の通らないところがあれば、教えてください。
- 101325
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【回答1】 > xは1か0なのでしょうか? いいえ。1>x>0です。xは1より小さく0より大きい数です。 > どういう現象の説明を意図してこのような表現をしているのでしょうか? > 式だけでなく具体的に知りたいのですが。 LiCoO2という化学式は、正極材料に含まれるリチウムイオンの数とコバルトイオンの数が等しいことを表しています。それに対して、Li(1-x)CoO2という化学式は、正極材料に含まれるリチウムイオンの数がコバルトイオンの数よりも少ないことを表しています。たとえば x=0.15であれば、リチウムイオンの数:コバルトイオンの数=85:100 ということです。 充電完了したときの正極材料の化学式をLiCoO2、放電しきったときの正極材料の化学式をLi(1-x)CoO2とするなら、xe-はコバルト原子1個あたりx個の電子が導線を通って外部負荷に送られることを表しています。xLi+はコバルト原子1個あたりx個のリチウムイオンが正極から電解質に放出されることを表しています。 【回答2】 > この時、電極からの電子の移動と同じ量のLi+が極間で移動するのでしょうか? はい。そうです。移動した電子と同じ数のLi+が移動します。 ただし、移動径路は異なります。 電子は正極→導線→外部負荷→導線→負極という径路で、 Li+は正極→電解質→負極という径路で それぞれ移動します。 > それとも、電解質へ放出し電解質から取り込むのでしょうか? はい。そうです。導線はLi+を通しませんから、Li+は正極から電解質へ放出されます。負極は電解質からLi+を取り込みます。 > ゲル状や固体の電解質もあるようですが、やはりそうなのでしょうか? はい。そうです。
補足
ご回答有難うございました。 まだはっきりしないところがあるので、追加でお聞きします。 >LiCoO2という化学式は、正極材料に含まれるリチウムイオンの数とコバルトイオンの数が等しいことを表しています。それに対して、Li(1-x)CoO2という化学式は、正極材料に含まれるリチウムイオンの数がコバルトイオンの数よりも少ないことを表しています。 Li(1-x)CoO2はどんな物質なのでしょうか? 色々な亜種の物質を代表してこのように表現しているのでしょうか?もしそうなら具体的に知りたいのですが。 それとも色々な亜種の物質を代表してこのように表現しているのではなく、別の意味があるのでしょうか? >導線はLi+を通しませんから、Li+は正極から電解質へ放出されます。負極は電解質からLi+を取り込みます。 それはそうなのだと思いますが、 取り込む時は元々あった電解質中のLi+を取り込むのでしょうか? それとも負極から放出され、正極まで泳いで来たLi+を取り込むのでしょうか? ゲル状や固体の場合、もし泳いで来なかった場合はどうなるのでしょう? 解説書等では「移動する」と説明したものが多いのですが、ゲル中や固体中をイオンが移動するのでしょうか? もしかしたら負極から出たLi+が電解質に触れると電子を貰ってLiになり、 電子をバケツリレーの様にして正極側でLi+ができるのかな?と思いましたけど、 それを肯定する説明も否定する説明も見つけることができませんでした。
お礼
ご回答ありがとうございます。 なるほど、xや1-xの意味が分かりました。 事前の調べで負極のCLiはどうも純然たる化合物ではなく、 何やらCにLi原子がしみ込んだようなものらしいとは認識していましたが、 正極のLiCoO2やLi(1-x)CoO2も似た感じみたいですね。 それから固体やゲル中でもイオンは移動するんですね、 根拠はありませんけど本当かな?と疑ってました。 噛み砕いた解説ありがとうございました。