「最近の学説では」ではなく、「最近のおもしろ仮説(ジャイア
ントインパクト説)では」ですね。
もし本当に衝突したものなら、土星の輪のように(あるいは
小惑星のアステロイドベルトのように)破片が地球の衛星軌
道や地球の公転軌道上に残っていなければなりません。
そもそも、衛星には「ロッシュの限界」というものがあり、地球
だと半径の3倍(19,000km)以内では、衛星は潮汐力で粉々
に砕ける事が知られています(土星の輪はロッシュの限界内)。
粉々に砕けてしまって自転の勢いで分散したものが、遠ざか
りながら1つにまとまる事は不可能です。
そもそも、この説が必要になった1つの大きな理由は、アポロ
が月面に残した反射板を用いたレーザー測距によって、月が
毎年3cm遠ざかっているのが発見された事によります。
普通、衛星軌道にある物は、星間ガスの抵抗や重力波の放出
によって軌道が下がる事はあっても、上がる事はありません。
それは公転速度を加速する事を意味するからです。
当初、「潮汐力により海の突出した部分の重力の偏りが、月を
引っ張る方向に働き、地球の自転エネルギーが月の公転エネ
ルギーに転化すれば、そのぐらいのエネルギーが得られる」
という説が提唱されました。
しかし、その満潮の時期が月の正中時から6時間近くズレている
=90度横になって対称になるので、「月を引っ張る」事はできず、
地球の自転速度の低下は、海と海底の摩擦と地球内部の流動
性における摩擦に消えた結果だと判明したのです。
他にも、地球と月の岩の成分が同じ(<原料が同じなら当然)とか、
月の核(金属質の重い成分)が地球の比率より小さいのは地球の
表面からえぐり取られたから(<同じ星間ガス雲からでき、その
自転が月の公転になったのなら、重い成分が中心に残る=地球
の核の比率が大きいのは当然)とか、こじつけに近い理由を元に
ジャイアントインパクト説は(一番の理由はマスコミ受け)生き残っ
ているのです。
その後、ビッグバンを「空間の膨張」ではなく「物体の収縮」であると
考える「人間原理」の一環として捉える説が、月の遠ざかる値を
導いています。
「不確定性原理において認識する(表面的にいい加減に捉える)
事で有限な値を持つ存在性は生じる」=「無(=不確定性的な無限)
の潜在としての認識可能性の変位(時間の流れ=宇宙膨張=プラン
ク定数hの収束の時系列化=物体収縮)」という。
この「宇宙膨張と物体収縮の等価性」は、独立した慣性系において、
前者=ビッグバンの惰性による膨張なら、部分において独立した
慣性系に影響しないが、後者の場合は、独立した慣性系において
も物体は収縮=距離は遠ざかって見えるのです。
宇宙の果てまでの138億光年に毎年1光年加わるのと比例した
距離だけ、月までの距離も遠ざかって見えるはずで、「月までの
距離38万km÷138億≒3cm(月が遠ざかる観測値)」という計算
が成り立つのです。
お礼
なるほど、正面衝突の方がむしろ稀なのですね。飛来して衝突するので、元々の運動エネルギーを考えればそうかもしれません。どうもありがとうございました。