<結論>
一応、適切ですが、若干、不親切。
実は、この最後の文は「付け足し」なのです。
その前までで、筆者の言いたいことはすべて言い尽くされている、とお考えください。
「テキサス州では、死刑があっても凶悪犯罪発生率は他の州より高い」→ゆえに、死刑に犯罪抑止力は無い、と言っています。
これだけで、筆者の言いたいことは完結しています。
論理としても整合性が取れていますよね。
ですから、最後の文は、
「因みに、同じく凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない」
とすれば、読みやすくなると思います。
決して前の文と比較対応させて述べている文ではない、という点にご留意なさると良いでしょう。
<説明>
仮に、
・その一方で、(同じく)凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない。
・これに対して、(同じく)凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない。
のようにしたとしても、「その一方で」「これに対して」はどちらも「死刑はない」に掛かります。
つまり、
「凶悪犯罪の顕著なテキサス州に死刑はある。その一方で、(同じく)凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない。」
「凶悪犯罪の顕著なテキサス州に死刑はある。これに対して、(同じく)凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない。」
という意図の内容になります。
このように対比させてしまうと、「死刑があるか無いか」という点に着目して論じていることになります。
そこに着目して論じる場合には、次のような構文にする必要があるでしょう。
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死刑に犯罪抑止力があるかどうかを科学的に証明しようとする努力が、これまでにも行われてきた。結論からいえば、死刑の存否と凶悪犯罪の増減には直接の因果関係はない。一般的にいっても、例えばアメリカのテキサス州は、凶悪犯罪の発生率が他の州より高く、1992年に全米で処刑された31名のうちテキサス州で12名が処刑されているが、死刑存置州である。同じく凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない。
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このようにすると、「凶悪犯罪の顕著な州に死刑はあるかないか」という視点で論じていることになるため、不自然な構文にはなりません。
そして、比較対比なので、「その一方で」「これに対して」と付け加えることが可能になります。
というより、むしろ有ったほうがわかりやすい文になる。「しかし」「だが」などでも良いでしょう。(むろん、「因みに」などと付け加えるのは間違い)
しかし、先述いたしましたように、原文は、そういう構成になっていません。
前の文までの段階で、「テキサス州では、死刑があっても凶悪犯罪発生率は他の州より高い」→ゆえに、死刑に犯罪抑止力は無い、という主張を完結させており、最後の文は、あくまで余談的なものにすぎません。
そこに、「その一方で」「これに対して」という対比のフレーズを加えると、全体の論理構成が崩れてしまいます。
お礼
>ただ、より正確に表現したいなら 「その一方で、テキサス州と同様に凶悪犯罪の顕著なニューヨーク州には死刑はない」とすべきです。 なるほど思います。 回答ありがとうございました。