和語ではなく漢語で、近をコンと発音してコンエと読んだのが、コノエに変化したものです(日本国語大辞典より)。日本では漢字の発音に、飛鳥時代以前から使われていた呉音と、遣隋使・遣唐使によってもたらされ普及した漢音とが併用されています。たとえば、「古今和歌集」のように「今」をキンと読むのは漢音。「古今東西」のように「今」をコンと読むのは呉音です。衛をエと読むのは呉音。近をコンと読むのは漢音でも呉音でもない、日本独自の慣用音とされていますが、呉音でゴンと読むので、ゴンからコンに変化したのかもしれません。近衛を漢音で読むとキンエイになります。漢字の漢音・呉音はすべて漢和辞典に載っているので、どのような言葉が漢音、どのような言葉が呉音で読まれているか、いろいろ調べてみるのも面白いでしょう。