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口先三寸は間違いですよね?ゲーテ、ファウスト
タイトルの件、辞書でもネットでも口先三寸は誤用だと書かれているので誤用なんでしょうが、 ゲーテの『ファウスト』邦訳版、集英社文庫に何度か口先三寸というフレーズが出てきます。 発行所も作品も有名なものなので、もしかしたら誤用と知りつつ何か意図があって使っているのかなと思ってしまっています。 それとも訳者の単純なミスなのか、事情をご存知の方がいらっしゃいましたらご教授願います。
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#3です。 >出版業界の内情はわかりませんが、出版社に校正担当者がいるのであれば、気付いて訂正すべきですね。 : 一般に新聞社や出版社、また報道機関には校正部が置かれており、その社のスタイルブック(校正ハンドブック)があるとされています。 例えば「朝日新聞の用語の手引き」によれば、 「×口先三寸 →○舌先三寸」とあります。 講談社の校閲部のハンドブックにも「正しい日本語」が謳われています。 一方、新潮社では校正部は正しい日本語かどうかを判断するところではないとしてオックスフォードの辞書作りのスタンスである用例主義であり、原稿にが「崖っ淵」となっていても「「崖っ縁/がけっ縁」」とは訂正しないで、ただ筆者に確認を求めるだけとのことですし。 確かに、「乙甲」は「めりかり」か「めりはり」か、「輸入」を「ゆにゅう」は誤読で本来の「しゅにゅう」と呼ぶべきなのか。今どき「越権行為」を「おっけんこうい」と正しく口にする人が残っているものか、また「目鉅(ねかね)に適う」ものが果たして「眼鏡にかなう」ものなのか、知れば知るほど誤用の慣用の取り扱いにはいかにも難しいものがあります。 参照:高山盛次「赤いランプの終列車 私流・日本語探検」新風舎
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- kine-ore
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この池内紀訳は第54回毎日出版文化賞を受賞しているのですね。 未読ですが、もしそのようなフレーズがあるのなら、それは何より校正の問題のように思われます。 「口先一つ」と「舌先三寸」の混淆なのだと思われますが、このような混淆表現については識字率の低い時代の高学歴者における文章表現のレベルと、一億総高学歴時代での低学識者化の時代的交差から生じているように思われます。 特にTV時代に至って、耳からの知識が先行しがちなため、その場限りでの会話言葉の間違いや言い間違いが画面を越えた大向うに定着してしまい易い傾向もあるでしょう。「喝を入れる」「激を飛ばす」など。 ところで、三寸には啖呵買の大道商人を指す意味もありますから、その場限りの口先表現だけの香具師なみという意味を「口先三寸」に当ててみることもあながち不可ではないかも知れません。 なお、個人的には最初に読んだ相良守峯訳が勉強になったものですが、当時NHKで放映された千田是也演出で平幹二郎ファウストの舞台中継が、とりわけ小沢栄太郎のメフィストが強烈でしたから、その原本となった手塚富雄訳と対比してみたこともありました。森林太郎訳は難解な漢字尽くめの、既に訳文の域を越えた文学作品でしょうね。
お礼
ご丁寧な解説ありがとうございます。 確かに校正の問題ともとれますね。 出版業界の内情はわかりませんが、出版社に校正担当者がいるのであれば、気付いて訂正すべきですね。 ファウストについて随分研究されたようですので、 この池内紀訳の「口先三寸」の部分だけでも是非読んで頂きたいです。 第一部に確か2箇所ありましたが、1箇所目はP41、5行目、 メフィストフェレスがファウストのふりをして学生をからかって追い払うシーンです。 新潮文庫の高橋義孝訳と比べてみましたが、 大体の意味合いは同じですが、池内紀訳の方が随分簡潔で読みやすくなっています。 これも時代の流れですかね。 私としては言い回しも含めて現代風に読みやすくして頂けると、とっつきやすくてありがたいのですが、あまりに原文と違うとなればそれはもはや有難迷惑ですね; ちなみに私は本を読む前にテレビで蜷川幸雄演出の舞台を観ました。 衝撃を受けたとかいうわけではないですが、本を読むきっかけにはなりました。 ファウスト自体前々から読みたい作品の一つだったのですが、 この舞台が歌舞伎風にアレンジしたもので、原文の大筋と合っているのか気になったので。
- Kuzu_3k
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池内さんのミスです。しかし間違った言い方「口先三寸」を使う人が56.7パーセントらしいので別にいいんじゃないですか?重複もいつのまにか「じゅうふく」と読まれるようになっていましたし。
お礼
そうなんですよね。 ですが個人的には誤用が時代と共に誤用じゃなくなるというのは悲しいのです。 言葉が軽んじられているような気分ですね。 逆に世間的に認知度が低い正しい使い方をすると理解されなかったり…。 特に話し言葉でも多くて世間的には誤用が認められてきている、御の字、確信犯、白羽の矢がたつなど。
- sarinja14
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「よい翻訳」「よい邦訳」であるかどうかは、 「日本語として日本文学として通用し鑑賞にたえるもの」かどうか、 「芸術作品としての質を保有」しているかどうか、 ということのようで、邦訳を読めば分かるものだそうです。 ゲーテのファウストはさまざまな方に邦訳されていますからね、違いをつけたかったのでしょう。誤用と判断されてもしかたありません。 個人的には新潮文庫の高橋義孝訳のをおすすめします。
お礼
おすすめありがとうございます。 私も最近英語を使う機会が出てきて、日本語のニュアンスをどう言えばわかってもらえるんだろうとよく悩みますが、これだけ婉曲表現や抽象的な表現が多いと訳も難しいんでしょうね。 そんな中、他者と全く同じ言葉では訳者としての価値がないということですかね。
お礼
知れば知るほどというのは全く仰る通りですね。 用例主義というのもまたややこしいですね。 まるで時代によって法律が変わり、判例も変わり、裁判官は常に最新の情報を得ていなければならないというような。 法律はそれで良いと思いますが、言葉の意味が変わったり、誤用が正となるというのはやはり腑に落ちない。 しかし越権をおっけん、輸入をしゅにゅうと読むとは初めて知りました。 広辞苑第五版にはどちらも慣用読みの方に詳しい説明があるので、こうなるともう何が正しいのやらといった感じです。 私自身誤用を指摘しておきながら上の二つは日常的に慣用読みを使用していたことを知らなかったというのは恥ずかしい限りです。 しかしこの二つ、携帯の自動変換では慣用読みでないと出てきませんね; もはや訂正できないほど慣用読みが定着してしまったということですかね。 再度解説して頂き、大変勉強になりました。 ありがとうございます。 しかし、自分の事を棚上げするようで言いにくいですが、大手出版社で、しかも不朽の名作を訳すとなると、誤用や誤植がないか厳しくチェックして頂きたいものです。