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自己株式の取得と純資産評価
私の取引先である会社(A社:非上場)の資本金は資本金5千万円で、社長が80%、友人が20%保有していました。このたび、社長が持っている株を自己株式としてA社に売却したため、株主構成はA社65%、社長15%、友人20%となりました。 この場合、自己株式の32.5百万円は純資産として認められないと解釈して正しいでしょうか? また、A社の筆頭株主がA社ということで違和感を感じますが、非上場会社の自己株式の償却方法等法律の定めはあるのでしょうか?
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平成13年の商法改正で、自己株式の取得・保有・消却・処分は原則自由となりましたね。 ただし、この自己株は金庫株と呼ばれ、議決権も利益配当も認められません。 以下簡単にご説明します。 1.買受けの手続き 定時株主総会で、(1)買受け予定者(2)株式の総数(3)買受け総額の決議を行うこと。 取締役会は、この決議の株数・買受け総額の範囲内で、執行すること。 2.買受け予定総額の限度額 配当可能利益(一般的には剰余金の金額)が限度となります。 3.自己株式の表示(貸借対照表) 資本の部に「自己株式 △×××」として表示されます。 4.買受け価格と税務上の処理例 (1)買受け価格 適正時価(参考条文 法基通9-1-14) (2)買受け時の処理例 買受け時は、買受け価格を資本等の金額の部分とみなし配当の部分(=買受け価格-資本等の金額)に区分します。 例えば、買受け価格を資本等の金額の倍額に当たる100とした場合の処理は次の通りです。 A・資本等の金額の部分 自己株式 50 / 現金預金 50 B.みなし配当の部分 利益積立金 50 / 現金預金 40 / 預 り 金 10←みなし配当の源泉税(20%) 5.株式を売却した株主の税務上の処理例 前記4(2)の株主は、株式売却代金100を株式譲渡部分とみなし配当部分に区分します。 例えば、売却株式の取得価額を60とした場合の処理は次の通りです。 A・資本等の金額の部分 現金預金 50 / 株 式 60 譲渡損失 10 / B.みなし配当の部分 現金預金 40 / 受取配当 50 源泉税 10 / では次に自己株式の消却・処分の取り扱いについてです。 1.消却の手続き(登記事項) 取締役会により、いつでも自由に行うことができます。 上記以外の株式消却は、減資(株式強制消却)となります。 2.消却の処理例 自己株式50を消却し、未処分利益で補填した場合の処理は次の通りです。 A.会計処理 自己株式消却損 50 / 自己株式 50 B.自己株式消却損の表示(損益計算書) 当期利益 ××× 前期繰越利益 ××× 自己株式消却損 △50 当期未処分利益 ××× C.税務上の取り扱い 税務上の自己株式消却損は「資本積立金の減少」となります。 3.処分の手続き(登記事項ではありません) 取締役会の決議(譲渡制限の定めがある会社では株主総会特別決議)により、第三者割当増資と同じ手続にて行うこととなります。 4.処分価格と処理例 (1)処分価格 … 適正時価(参考条文 法基通9-1-14) (2)処分時の処理例 処分価格110の場合(自己株式の帳簿価額50)の処理は次の通りです。 A.会計処理 現金預金 110 / 自己株式 50 / 自己株式処分差益 60 B.自己株式処分差益の表示(貸借対照表) 資本の部の「その他の資本剰余金」として表示されます。 C.税務上の取り扱い 税務上の自己株式処分差益は「資本積立金の増加」となります。
お礼
長期出張だったものでお礼が遅れすみません。 ありがとうございました。