全電源喪失(SBO)は,今のところ原発施設に特定された用語のようです。
原発は,原子炉の安全の為に,絶体に停電しては成らない施設です。原子炉と原発燃料は,放置すると核分裂反応の為暴走的に発熱し,福島のような大事故に至ります。このため,点検停止中の原子炉であっても,冷水注入と冷却水循環ポンプを停止することが出来ません。
絶対停電しては成らない為,原発では,一般商用電源とは独立した独自の電源を確保しています。主に特定の水力発電所から供給していますが,発電所の所在などは,安全確保の上から,一般には公開されていません。これを「外部電源」と呼んでいます。外部電源は,1箇所の発電所とは限らす,普通は複数箇所確保されています。
万一の外部電源停止に供えて,原発施設内には,自家発電装置とバッテリーによる複数の予備電源が備えられています。これが内部電源です。
外部・内部とも電源が供給されなくなった危機的事態を,「全電源喪失」と呼んでいます。
企業その他の施設でも,自家発電その他の非常用電源を保持している場合もありますが,原発ほどの緊急事態が起きるとは思えませんので,SBOを用いる習慣はまだ無いようです。
その内,この用語が広く普及するかは,定かではありません。