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金属の中の自由電子の状態数(固体物理)
(単純な)金属中の電子を一体近似によって理想フェルミ気体と考えたとき,状態数を求めることができると思います.(キッテル固体物理上P.145) そのときに三次元自由粒子に対するSchrodinger方程式の解を見つけるときの境界条件として,電子が「1辺Lの立方体に閉じ込められているとすれば」という仮定があるのですが,どうも納得できません.おそらくしっかりと理解できていないからだと思うのですが. 納得できない理由は以下のようなものです. 1.一辺Lの立方体の面の部分は無限大のポテンシャル障壁となるのか?(頂点しかならないのではないか?) 2.一辺Lの立方体間を行き来する電子について考えられていないのではないか? 1.については近似で納得できなくもないです. なぜ 「1辺Lの立方体に閉じ込められているとすれば」 と仮定してよいのか教えてください.よろしくお願いします.
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- leo-ultra
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#1です。追加のご質問に回答します。 > 実際は境界でのポテンシャルはどのような感じになっているのでしょうか.ご存知でしたら教えてください.大胆な近似なのか,わりと正当な近似なのかを知りたいです. この場合の金属の境界条件は表面です。表面のところで急峻に、電子の占められた一番高いエネルギー(フェルミエネルギー)よりも数eVポテンシャルが高くなっています。だから、普通の場合は、金属の中の電子が金属の外に飛び出してきません。この数eVポテンシャルを仕事関数と呼びます。光電効果のところで習ったでしょう。 表面のところで急峻になっているのを、立方体の面のところでポテンシャルがいきなり現れるところは、わりといい近似かもしれません。ポテンシャルの高さが数eVのところを無限大とするのは、一見乱暴ですが、それほど悪くない近似かも。しかし無限のポテンシャルだと、光電効果は起きません。 > バルクでないはずです.このあと周期的境界条件から立方体をつなげたときの解を考えるので. バルクというには言い過ぎだったかもしれませんが、立方体は1個しか考えていないはずです。 周期的境界条件は、立方体をつなぐのではなく、無限大ポテンシャルとは異なる境界条件を導入しただけです。 そもそも金属中での電子の状態が境界条件に依存したらまずいのです。 それこそ「バルク(長さの3乗)」的な性質が、境界条件(表面、長さの2乗)に依存しない極限を 考えないとバルク固体の理論にならないので。
- eatern27
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単に、「立方体に閉じ込められている」と言う状況をポテンシャルで実現したいのなら、 立方体の外のポテンシャルが無限大であると言う状況を想定するのが良いでしょう。 ただ、周期的境界条件とかも出てくるのなら、単に「立方体の外には行かない」という程度の意味と考えると良いでしょうか。 > 実際は境界でのポテンシャルはどのような感じになっているのでしょうか.ご存知でしたら教えてください. 正確に考えればいくらでも複雑になってしまいますが、比較的単純なもので良ければ 有限の深さの井戸のような感じになっています。井戸の底が金属内部で、井戸の上(?)が金属外部(真空)です。 ポテンシャルの立ち上がり(境界)の所は滑らかに立ち上がります。 >バルクでないはずです.このあと周期的境界条件から立方体をつなげたときの解を考えるので. 周期的境界条件を考えるというのは、サイコロでいう「1の目の面」に侵入した電子が「6の目の面」にワープするという事を言っているのであって、"隣の立方体に飛び移る"という状況ではありません。 もちろん、そのような周期的境界条件は現実にはありえないのですが、数学的な扱いやすさからよく使われます。 ただし、物理的に意味がない境界条件だから考えても意味がない、なんて事はありません。 十分大きなLを考えている限り、表面の詳細(使用した境界条件)がバルクの性質に影響するはずがないので、結論自体は正しいと言えます。
お礼
回答ありがとうごいました.
- leo-ultra
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> 1.一辺Lの立方体の面の部分は無限大のポテンシャル障壁となるのか?(頂点しかならないのではないか?) 仮定なのでなんとでもなります。ようするに壁の部分で電子の波動関数をゼロにするという意味以上のことはありません。境界のところで、Ψ(L)=0だと数学的な境界条件を仮定したのと同じことです。 > .一辺Lの立方体間を行き来する電子について考えられていないのではないか? すみません。手元にキッテルがないので想像ですが、大きな立方体を一つ考えて、 それがバルクの金属だとしているので、立方体は1個のみです。 だから立方体間はありえません。 > 1辺Lの立方体に閉じ込められているとすれば」 と仮定してよいのか教えてください. 金属を、その中では電子が自由に動き回っているものとして考えているからです。 電子はたくさんあってもいいが、電子間の相互作用は無いと仮定するので、 1個の電子の波動関数だけを考えればいいのです。あとはN倍すればいい。 こんないいかげんなモデルでも、金属の基本的な性質を一部再現するから、仮定は正しかったという議論だと思います。
お礼
回答ありがとうございます. >仮定なのでなんとでもなります。ようするに壁の部分で電子の波動関数をゼロにするという意味以上のことはありません。境界のところで、Ψ(L)=0だと数学的な境界条件を仮定したのと同じことです。 実際は境界でのポテンシャルはどのような感じになっているのでしょうか.ご存知でしたら教えてください.大胆な近似なのか,わりと正当な近似なのかを知りたいです. >すみません。手元にキッテルがないので想像ですが、大きな立方体を一つ考えて、 それがバルクの金属だとしているので、立方体は1個のみです。 だから立方体間はありえません。 バルクでないはずです.このあと周期的境界条件から立方体をつなげたときの解を考えるので.
お礼
回答ありがとうございました.