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源氏物語「御法」明石の中宮の歌について
秋風にしばしとまらぬ露の世を たれか草葉のうへとのみ見む の訳はわかっても、明石の中宮が何が言いたいのかがいまいちよくわかりません。 人の命は露と同じで、はかないものなんですね っていうかんじなのでしょうか。
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この歌の前に、紫の上自身の「風」 置くと見る ほどぞはかなき ともすれば 風に乱るる 萩の上露 源氏の「露の世」 ややもせば 消えをあらそふ 露の世に 後れ先だつ ほど経ずもがな という2歌が有り、それらを受けて詠んだ歌ですから、3首あわせてこそ味があるのです。 源氏物語もハムレットも、一部だけ切り取ってどうこう言うものじゃないんですね。全は一、一は全なのです。 ~~~~ 紫の上が病床で庭の草葉に溜まった露を見ながら 露が降りているのが見える間は束の間のことで、私の命もあの風に吹かれる露と同じようにはかないものでしょう と嘆き、妻を見舞いに来ていた源氏がその傍らで ともすれば消えることを競う露のように儚い世の中であっても、なんとか死ぬ事だけは誰かに後れたり逆に先立ったりはしないでいられないものか と妻との別れを惜しむ。そこに宮が 風に吹かれて暫しの間とても留まることができないのが露の宿命。でもそれを誰が草葉の上だけの儚さと軽んじて見ていられるでしょうか と、人はみな風に吹かれる露のように儚い存在で自分もまたそうであると慰めつつ、やはり別れを惜しんでいる情景。 そんな場面です。 どうでしょう、少しはイメージの足しになりましたでしょうか?
お礼
お礼がおそくなりましたが、丁寧な説明ありがとうございます。 参考になりました。