回答ではありません。
一応、所属の図書館に行った折に『叙情小曲集/愛の詩集』(講談社文芸文庫)と『室生犀星全詩集』(筑摩書房)を探して見ましたが、該当作品は見あたりませんでした。
『全詩集』といっても、犀星の自選集なので、それこそ全部の詩が網羅されているわけではないので、いわゆる有名ではないものは、いくつも漏れている可能性があります。
というのも犀星は大変多作な詩人であり、全詩集の奥付を見ても、生前に刊行された詩集は24冊を数えます。
ですから、この中から一つの詩、それも、それほど有名ではない詩を見つけるのは、相当に大変な作業であると思います。
犀星は、私生児として生まれ、生後七日にして母親から切り離され、寺へ養子に出されます(このあたりの事情は自伝的作品『杏っ子』に詳しい)。
ですから、おたずねの詩に出てくる「父」というのは、まったくの想像の産物なのです。
彼は三十三歳で、父親になっています。考えられるとしたら、この時期以降のものではないか。
ところがこの長男も、わずか十一ヶ月で亡くなってしまう。この子どもを喪った哀しみが中心となっているのが『忘春詩集』です。
ですからこの前後あたりではないか、という気はしますが、断定はできません。
むしろ、犀星から探すより、結婚などのアンソロジーから探した方が近道かもしれません。
同詩集の中にこのようなものがありました(全文は文芸文庫参照のこと)。
母と子
母よ わたしの母。
わたしはどうしてあなたのところへ
いつころ人知れずにやつて来たのでせう
わたしにはいくら考へてもわかりません
あなたが本統の母さまであつたら
わたしがどうしてこの世に生れてきたかを
よく分るやうに教へてくれなければなりません
ご質問とはまるっきりちがっていますが、もし興味がおありでしたら、ご一読なさってください。
お礼
とても参考になりました。 室生犀星についても以前より興味を持ちました。 今度,図書館へ行って本を借りてこようと思います。 ありがとうございました。