すでに回答されている皆さんのどなたも決して間違いではなく、正しいのですが、これだけでは部分的な考察に留まってしまい、誤解を生じるといけないので補足させていただきます。
あらゆる物体はその温度に応じて決まるスペクトルの赤外線(や可視光線)を熱放射(輻射)します。
赤熱したストーブに手をかざすと暖かいのはストーブから放射される赤外線を手が受けとめて吸収する過程で手がエネルギーを受け取るからであり、反射板があれば反射した赤外線も受け取るので、よりいっそう暖かくなります。
では氷柱の場合はどうなるでしょうか。0℃の氷柱は 0℃に対応したスペクトルの赤外線を放射するので、氷柱に手をかざせば氷柱から手に向かうエネルギーの流れは確かに存在します。ただし赤熱ストーブの場合よりずっと低いレベルです。
でもしかし。
気温30℃の屋外広場に氷柱を沢山並べて、その真ん中に立った状況を考えてみてください。風は吹き抜けているので皮膚の周囲の気温は30℃のままでも、体感温度としてはまわりはひんやりと感じられることでしょう。
その理由は、もし氷柱がなければ気温に応じて30℃になっているはずのまわりの建物の壁などから放射される「30℃の赤外線」が氷柱でブロックされて氷柱の発する「0℃の赤外線」が体に届くからなのです。
「0℃の赤外線」は「30℃の赤外線」よりもエネルギーが低いので比較をするとひんやりと感じられることになります。
ストーブの反射板の場合も同じです。物体は黒いものほど外部からの赤外線をよく吸収すると同時に自分自身の温度に応じた赤外線を放射するのですが、白いと吸収も放射も少ないです。
反射板はなるべく吸収・放射の少ない材質で作られるので反射板自体の温度が30℃であったとしても反射板が充分高性能であるならば反射板そのものからは「30℃の赤外線」は少量しか放射しません。
代わりに反射板は鏡に写った光線などと同様に反射板に写った熱源の赤外線を反射します。
赤熱した熱源であれ、0℃の熱源であれ、その熱源から出る赤外線を反射するのです。
結局、ストーブに氷柱を置いて手をかざした場合は、反射板があると、「反射板がなかったときに来るであろう常温の赤外線」がブロックされて「0℃の赤外線」が手へと到達する割合が増えるので、反射板がない場合よりもひんやりと感じることになります。 ただし反射板が充分高性能であることは大前提です。並の反射板では多分無理です。夏になったら実験してみてください。
お礼
丁寧にご説明いただきありがとうございました。大変勉強になりました。