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リショルムまたはトロコイドを使った内燃機関
- 容積型の内燃機関でリショルムまたはトロコイドのような容積変化を利用したものは現時点で存在するでしょうか?容積型の内燃機関として連続燃焼をするものという意味です。
- 容積型の機関ではリショルムやトロコイドやルーツブロワーやベーンロータリーなどのような容積型で連続的に動作流体を移動させる機構を用いた内燃機関はまだ存在していません。
- 速度型の機関と比較して、容積型の機関では運転速度の変化による効率の変動が小さくなる可能性があります。また、連続燃焼により、排ガスに残るエネルギーを少なくすることもできるかもしれません。ただし、機関内部の気密性や摺動などの動作を実現するのは困難です。
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書き忘れておりましたが、ガスを膨張させる方の作動室にヴァンケル式に似たローター方式を使えば、おそらくは、御質問の連続燃焼式の容積型内燃機関で、実際に動作するものを製作する事は不可能ではないと思います。 只、容積型で連続燃焼させるだけでしたら、製作が困難なロータリーエンジンに固執する必要は全くないと思います。 レプシロ式であっても、1つの燃焼器に対して複数のシリンダーを設ける事で、常にシリンダーの内のどれかが吸気行程となる様にすれば良い訳です。 その際には、1つのシリンダーが吸い込む燃焼ガスの体積は、1気筒辺りの排気量の10分の1程度のレベルの少ない量としなければなりませんから、ピストンが上死点に来るよりもある程度前の段階で、シリンダーの吸気バルブを開き、差圧によってシリンダー内に流れ込んで来た燃焼ガスの一部を、ピストンが上昇する事で元の燃焼器の方に押し戻し、ピストンが上死点に達した時のシリンダー内の容積分の燃焼ガスだけを残して、ピストンが上死点から下がり始めたら、直ぐにシリンダーの吸気バルブを閉じねばならず、連続燃焼させるためには、1つの燃焼器に対して、気筒数を20本以上にしなければなりません。 何故そんな事をしなければならないかと申しますと、シリンダーに入る燃焼ガスの量が、1気筒辺りの排気量と比べて少ない割合でなければ、膨張比を大きくすることは出来ず、熱効率が悪化する事になるからです。 極端な例を挙げますと、ピストンの下降行程の間中、シリンダーの吸気バルブが開きっ放しとなっている場合には、ピストンが下死点まで来た時のシリンダー内のガスの温度と圧力は、燃焼器から出たばかりのガスの温度や圧力と大差はなく、膨張比は1:1で、エネルギーをたっぷりと残したままのガスを排気する事になります。 このあたりの事は、ヴァンケル式に似たローターを使用した場合でも同様で、作動空間の容積が最小となるよりも前の時点で、吸気用のサイドポートなどが開く様にして作動空間に燃焼ガスを取り入れ、ローターが回転して作動空間の容積が減って行くのに従って、余分な燃焼ガスを吸気用のサイドポートから燃焼器の方に押し戻し、作動空間の容積が最小となった辺りでサイドポートが閉じられる様にしておき、膨張行程では燃焼ガスが流入しない様にしなければなりません。 つまり、ヴァンケル式に似たローターを使用した場合であっても、1つのローターが燃焼ガスの吸込みは断続的にしか行われませんから、燃焼器を連続燃焼させるためには、1つの燃焼器に対して、数多くのローターが必要になります。 この事は、(シールの問題が解決したとしても)トロコイドポンプに似た方式のローターを使う場合でも同じです。 又、シールの問題が無いとした場合には、ロータリーベーン方式やリショルム式であれば、1つの膨張行程用のローターハウジングで、燃焼ガスの吸込みを連続的に行う事が出来ます。 ルーツブロワー式に似たローターを用いた場合には、ガスを膨張させる事は出来ませんから、燃焼ガスのエネルギーを無駄に捨てる事になります。 又、取り入れた空気の圧縮行程の方だけでしたら、扱う気体は高温の燃焼ガスとは異なり、周囲に幾らでも存在する空気であるため、多少の漏れは許容する事が出来ますから、リショルムやトロコイドやルーツブロワーやベーンロータリーなどの様な容積型で連続的に行う事も出来るでしょうし、ここの部分であれば遠心式の様な速度型の圧縮機ですら使用しても構わないのではないかと思います。 それから、例え「膨張比を高めるために、吸気バルブを閉じなければならない問題」が無かったとしましても、レプシロ式や、ヴァンケル式ローター方式、 トロコイドポンプに似たローター方式の場合等では、ピストンやローターの位置(位相)によって作動室容積の変化する速度も変わるため、吸気流量も一定ではありません。 ピストンクランクやローターの回転角度によって吸気量が変化するという事は、燃焼器を流れる気体の量も脈動的に変化するという事ですから、燃焼器における燃焼は、断続こそしないものの、燃焼は激しくなったり、弱くなったりを繰り返し、安定燃焼とはならないかも知れません。
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- masa2211
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質問内容に最も近いのは、神戸製鋼のスクリュータービンでしょう。 http://www.tlv.com/ja/articles/pdf/energy_conservation03.pdf ただし、これはバイナリー発電用であり外燃機関なので質問内容に一致していません。 ゆえに、「リショルムなどを使った内燃機関」は、現在存在せず。(製品化しているのが無い、という意味で。) >連続的にエネルギーを取り出せるため、最終的に排ガスに残るエネルギーを小さくできる可能性がある 通常のタービンなら、排ガスのエネルギーを相当取り出せますが、 容積式(ピストンエンジン含む)の場合、機構的に、膨張比で排ガス温度が決まるから、そこに上限があります。 スクリューどおしの隙間が容積になるから、機構的に、ピストンエンジンより膨張比を大きくすることは難しい と思います。 なお、神戸製鋼のスクリュータービンですが、7気圧を入力し1気圧で放出される(絶対圧で。)から、膨張比7。 これくらいあれば、遠心タービンに太刀打ちできるのでしょう。 あと、トロコイドコンプレッサーを逆に用いてタービンとして使用する件。 トロコイドコンプレッサーは、リショルムに比べ低圧縮なので、膨張比も低いから、高効率は無理でしょう。 ルーツブロワーは、圧縮機構を持っていない、すなわち、膨張行程が無いので、機関として使うのは無理でしょう。
お礼
お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。 実は私は変わり物のエンジンを作るのが好きで、過去にアトキンソンサイクルエンジンやスターリングエンジンなど数点作った経験があり、ふと思いついた連続燃焼の容積型内燃機関が作れないかと思い、参考にできれば色々調べてみたのですが、そのような例が見当たらず、博識な方々のお知恵をお借りしたいと思って投稿したしだいです。 やはり、容積型での連続燃焼というは無いのですね。スクリュータービンへのリンクは大変参考になりました。ありがとうございます。
- kagakusuki
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有識者とは言えない者ですが、その御質問に対して部分的には回答出来るかと思います。 >リショルムやトロコイドやルーツブロワーやベーンロータリーなどのような容積型で連続的に動作流体を移動させる機構を用いて動作する機関ができないか、 ヴァンケル式ロータリーエンジンもトコロイド曲線を利用したエンジンですが、質問者様が仰っておられるのは、若しかしますとトコロイドポンプと同様の形状を利用したエンジンと言う様なものを御考えなのでしょうか? 容積型内燃機関で重要なのは、如何にして燃焼ガスに対するシール性を保つのか、という事です。 レプシロエンジンではガスケットリング、ヴァンケル式ロータリーエンジンではアペックスシールやサイドシールが使用され、これらはいずれも、金属等の耐熱性のある素材で出来ている薄い板片の厚みの面を、ハウジングの内面やピストンの表面に対して押し付ける事で、燃焼ガスをシールしています。 機械部品というものは、製作時に寸法誤差が発生しますし、熱膨張や摩耗によっても寸法は変化します。 解り易い様にレプシロエンジンの例で説明しますと、ピストンリングを使わずに、ピストン外形とシリンダー内径を同じ寸法とする事でガスを漏らさない様にしようとしましても、摩擦抵抗が極端に大きくなり過ぎて、ピストンが固着してしまったり、製作時の誤差によって、偶々、ピストンの方がシリンダー内径よりも太くなってしまったり、燃焼熱でピストンの温度が上昇してピストンが熱で膨張した際に、温度が高くならないシリンダーの下部に、ピストンが入る事が出来なくなったりします。 そのため、寸法誤差や、熱膨張による実寸法の変化等々が生じても良い様に、可動部品と他の部品との間には必ず隙間を設ける必要があります。 その隙間から燃焼ガスが漏れないようにするために、ピストンリングの様なシール部品を壁面に押しつけている訳です。 ピストンとシリンダー間の隙間をなくす事が出来ないのと同じ理由から、ピストンリングとピストンとの間も、同じ寸法とする事は出来ず、隙間が生じます。 その隙間を通じて燃焼ガスの圧力が加わる事により、ピストンリングは弾力の範囲内で変形して、「ピストンに設けられているリングをはめ込むための溝の側面」や、シリンダーの内壁面に押し付けられ、ピストンリングとピストンとの間や、ピストンリングとシリンダーとの間の隙間が無くなり、シール性が保たれる様になります。 【参考URL】 TPR株式会社 > 製品・技術案内 > ピストンリング > ピストンリングとは? http://www.tpr.co.jp/products/pistonring/about_pistonring.html 株式会社リケン > ピストンリング博物館 > 展示室C 機能を満たす技術 > C-3ガスシール性(3) フラッタリングと姿勢制御 http://www.riken.co.jp/piston/c/c_3.html シリンダーの内面と、ピストンリングとの間に、形状の違い(どちらも完全なる円形に作る事は出来ないため、形状に僅かな違いが生じる)によって隙間が生じていたとしても、ピストンが何度も往復する間に、ピストンリングが「シリンダーと接している部分」から先に摩耗して行くため、いずれ隙間は無くなります。 この様なシール部品が必要となるのは、どの様な容積型内燃機関であっても同様です。 容積型内燃機関の燃焼温度は2000℃以上にもなりますし、瞬間的な燃焼圧力もオットー機関で約80気圧、ディーゼル機関で約150気圧もの高圧になるという話も聞きますから、もしも、シール機構を設けなければ、狭い隙間を高温のガスが高速で通過する事になり、部品は一瞬の内に焼き付いてしまいます。 処が、リショルムやトロコイドやルーツブロワーやベーンロータリーでは、ヴァンケルエンジンとは異なり、完全なシール機構を設ける事が出来ません。 もし、御疑いでしたら、回転部品の側面とハウジングとの間や、ローター等で区切られた各作動空間同士の間に、どの様な形状のシール部品を、どの様な位置に、どの様な組み合わせで儲ければ良いのか、という事を一度、図に描いて考えて見られると、如何に困難な事なのかが解るかと思います。 又、連続燃焼ですと、容積変化が生じる作動空間と、燃焼を行う燃焼器は別個に設ける事になり、更に、圧縮比よりも膨張比の方を大きくしようとしますと、圧縮機も別個に設けねばならず、機構が複雑で、故障しやすく、容積や重量も嵩む事になります。 如何に効率が多少高くとも、機構が複雑な機械は実用に適さない事は、1882年にジェームズ・アトキンソンが開発したアトキンソンサイクルエンジンの例からも明らかです。 【参考URL】 アトキンソンサイクル - Wikipedia > 2 機構と応用例 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB#.E6.A9.9F.E6.A7.8B.E3.81.A8.E5.BF.9C.E7.94.A8.E4.BE.8B >連続的にエネルギーを取り出せるため、最終的に排出する際の排ガスに残るエネルギーを非常に小さくできる可能性があるかと思います。 燃焼器と作動空間が別々になりますから、作動空間という狭い空間の中に燃焼ガスが流れ込む際に狭い入口を通過せねばならず、その様な狭い隙間を通過した後では、流路抵抗によってガスの圧力が低下してしまい、ローターを回すために使えるエネルギーが少なくなってしまいますから、必ずしも、エネルギーを効率良く取り出す事が出来る訳ではないと思います。 燃焼器が別置きなのは一部のガスタービンでも同様ですが、ガスタービンでは圧力エネルギーだけではなく、速度エネルギーも利用出来ますから、燃焼ガスを狭いノズルに通す事でガスの流速を上げて、高速のガス流をタービンブレードに当てる事で、タービンを回す事も出来ます。(それよりも、容積型では作動空間が小さいため、入り口がカスタービンの場合よりも狭くなる様な気がします) 又、連続燃焼である以上、エンジンの内部には燃焼の炎に常に曝されてしまう部分が出来てしまいますが、機械材料には耐熱温度に限界がありますから、燃焼ガスの温度を材料の耐熱温度よりも低く保たねばなりません。 一方、一般的な断続燃焼式の容積型内燃機関であれば、燃焼ガスの最高温度に曝されるのは一瞬の間だけですから、エンジンの構成部品の温度を燃焼ガスの最高温度よりも十分に低い温度に保つ事は容易で、逆に言えば燃焼ガスの最高温度を、機械材料の耐熱温度よりもかなり高くする事が出来ます。 エンジンの熱効率の理論的な限界は燃焼ガスの最高温度と排気ガスの温度で決まってしまい、最高温度が高く、最低温度が低いほど熱効率の限界は高くなり、実際のエンジンの熱効率は、その限界を超える事は決してありませんから、連続燃焼式の内燃機関は、本質的に断続燃焼式の内燃機関よりも効率が劣る傾向がある事になります。 >燃焼温度を下げる(熱効率的にはマイナスですが)としても、排気の温度が十分に低い状態になるまで利用すれば、高効率な内燃機関が実現で要るように思えますし、 排気温度を十分に低くするためには、燃焼ガスを十分に膨張させねばなりませんが、排気ガスの圧力を大気圧よりも低くなるまで膨張させたのでは、エンジンの外部に排出する事は出来ませんから、膨張比を無暗に大きくする事は出来ませんので、「排気の温度が十分に低い状態になるまで利用」する事は出来ません。 私も、sailor様と同じ事を夢想した事が何度となく御座いますが、上記の様に連続燃焼式の容積型内燃機関は、製造の際には超高温に耐える特殊な素材(一般的に、耐熱性能を優先させるため、加工性が悪い物が多い)を使用して、複雑な形状を極めて高い寸法精度で加工するという、極めて高い技術が必要になる事と、構造が複雑になる事により、コストが高くつくにも関らず、複雑さ故に故障もしやすく、騒音も大きい、しかも、体積もかさばり、重量も重く、(燃焼ガスが燃焼器から作動室に入る段階での圧力損失が大きいため)出力も低く、(燃焼温度が低いため)熱効率も低い、という事になる可能性が少なくない様に思えますので、おそらくは、実用化するだけの価値は無いのではないかと考えております。 尤も、私も、効率等を計算で求めた訳ではなく、直感的にそう思っているだけですので、厳密に計算をした場合に、一部の性能が、現行のレプシロエンジンに匹敵する可能性も、僅かながらないとは言えないかも知れません。 但し、その場合でも、構造が複雑である事と、特殊材料を高度な技術で加工しなければならない事は間違いありませんから、コストが高くつく事と、故障しやすい事には変わりがなく、現行の実用エンジンと比べて魅力的ではないと思います。
お礼
御礼が遅くなり申し訳ありません。 人科あきらめ悪い属割と器用種に分類される種族の私は、過去にアトキンソンサイクルやスターリングエンジンなど数点のエンジンを作ったことがあり、今回はガスタービンのような連続燃焼のエンジンが容積型で作れないかと思いついたしだいです。私としてはリショルムを使って脈動の無い状態での連続圧縮・連続燃焼・連続膨張をできれば理想的かと考えていたのですが、確かにタービン側にあたる側での気密の問題と連続的に高温にさらされる状態での潤滑など非常に問題が多いようですね。 純粋な内燃機関とはいえなくなってしまうかもしれませんが、燃焼室内に冷却と蒸気発生をかねて水を噴射するなども考えたのですが、やはりかなり難しそうですね。 もし、そのようなエンジンの前例などあればと思い識者の方々のお知恵を拝借したく投稿したしだいです。 まぁ、第一に私の手持ちの小型のCNCフライスや旋盤の加工精度でどの程度までいけるかもかなり問題ですが、もうお一方のお答えにあったスクリュータービンを一度作ってみようと思います。動作流体がスチームなら熱的にはかなり楽になるのででは(楽観的かな)と考えています。 今回は長文でのご回答ありがとうございました。