雨垂れ石を穿つという現象は現実にあるか? また起こるならどんな仕組みによってか?
「雨垂れ石を穿つ」
「点滴石をも穿つ」
「水滴石を穿つ」
いくつか類似の言い回しがあります。これらはすべて「同じ所に落ちる雨垂れが長い時間をかけて石に穴をあける」という意味合いでしょう。努力し続ければ変化は起こる、どんな苦労も無駄にはならないというような風に使われていることもあります。
ふだん何気なく比喩として使っていましたが、今日ふと「水が落ちてぶつかる程度で硬い石が削れるものか?」と疑問に思いました。
私のイメージするところでは物体とは原子という「微小な磁石」の集合で、互いを電磁で引き合うことによってカタチを保っています。そのため、これを削るためには引っ張られている以上の力を表面分子に加えて切り離す必要があります。
切削でも研磨でもこのイメージで説明できると思います。しかし落下する水滴のような弱い力を「くっついた二つの磁石」に断続的に加え続けても、起きた微小な変化は復元してしまい、無限に時間が経ってもけっきょく変化量はゼロなのではないか。そんな風にイメージしました。
そこで質問です。「雨垂れ石を穿つ」という物理現象は実在するのでしょうか? 実例があるならば教えてください。また可能ならば、どのようなプロセスでこの物理現象が起きているのかご説明くださると幸いです。専門外の方の思いつきや素朴なご意見なども、ぜひお聞かせください。
私はハードもソフトも作るコンピュータ関係が専門の大学院生で、学部時代には精密加工法などの授業も受けました。大学生レベルなら専門的になっても理解できると思います。専門書や論文を含め、参考文献をご紹介いただければ、出来る限り読みます。全くの興味本位の質問ですがどうか宜しくお願いします。
参考までに他の破壊現象に関する私のイメージを書いておきます。
刃を石でこすって研ぐのは、でっぱった表面分子に応力が集中して剥離していくイメージ。
ウォータージェットで切るのは、ものすごい運動エネルギーをもった水分子が対象表面の分子にぶつかってはじき飛ばすイメージ。
波が岩を削るのは、風化して脆くなった部分が水の圧力で落剥していくイメージ。
川が大地を削るのは、一緒に流れている石がぶつかって削る、あるいは圧力で掘り起こして流し去るイメージ。
雨が岩を崩すのは、寒暖差などによって生じた岩の亀裂に水が入り込み化学反応を起こす、あるいは凍結時の体積増加で楔のように割るイメージ。
このようなイメージや理論で結構ですから、どうぞご教授ください。
さらにおまけ。
ネットで検索していて、以下の記述を見つけました。
P.78
「水は石の表面にある僅かな疵にも進入することができ、石の表面にくりかえし水滴が落下すると、その衝撃力が疵の中に水のくさびを打ち込み、超液体を形成し過剰仕事をすることになる。それにより微小部分を破壊する。これを長時間くりかえす間に穴が穿たれることになる」
ミクロ世界の物理学: 生命・常温核融合・原子転換
著者: 高橋良二, Ryo-ji Takahashi
出版社: 株式会社 朱鳥社, 2002
http://books.google.co.jp/books?id=Iu0g4_QnDNgC&pg=PA78&lpg=PA78&dq=%E6%B0%B4%E6%BB%B4%E7%9F%B3%E3%82%92%E7%A9%BF%E3%81%A4+%E7%89%A9%E7%90%86%E7%8F%BE%E8%B1%A1&source=web&ots=4H1qpA8DbA&sig=DZKkA6AQRQOe2ToFfFs4fxP7INk&hl=ja&sa=X&oi=book_result&resnum=1&ct=result#PPA78,M1
Google ブック検索のため全文は読めず、「超液体」「過剰仕事」などの単語の意味が分からないため納得するまでには至りません。しかしいくらかの示唆を与えてくれる気もします。
「雨垂れ石を穿つ」という現象は現実に起こりうるのか。起こるなら、それはどのようなメカニズムによってか?
ヒントや提案のレベルでも十分です。ご回答いただけると幸いです。
補足
moto_koukousei さま 詳しい回答ありがとうございます。 石に関する色々な技術があるもんですね。 教えていただいたアドレスを全部チェックしました。 私が建築現場で見つけた矢穴は「大型矢穴技法」のものだと思います。長径が10cm程有りましたので。 しかし、昭和の初めごろかも分かりませんね。 教えていただいた情報をもとにもう一度研究し直してみます。 どうもありがとうございました。