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機械材料
試験の問題に、 「金属材料の降伏応力は理論的な降伏応力の 1/1000~1/10000 程度である理由を説明せよ」 というものがありました。 引張試験に関係しているものと思い、参考書を調べたのですがよく分かりませんでした。 どなたか簡単に分かりやすく教えていただけませんか? よろしくお願いします。
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金属材料において降伏応力が理論値ほど高くない理由は、材料中に転位が存在することによります。 念のため転位について説明しておきます。(既にご存じでしたら読み飛ばしてください) 金属は多くの結晶粒から成っています。個々の結晶粒は名前の通り結晶です。結晶と言うからには原子が規則正しく並んでいそうですが実際にはところどころで並び方が乱れています。そのような乱れ(結晶欠陥という)の一種に転位(dislocation)があります。 例えば参考ページ[1]の図5をご覧ください。立方体形状の単位胞(unit cell)が並んでできている結晶ですが、一部の並びに乱れがあります。このような乱れで、左の(a)のタイプを刃状転位(edge disloction)、右の(b)のタイプをらせん転位(screw dislocation)といいます。 さて図5の(a)を横から見たところを考えます(下図)。○は原子だと思って下さい。 A. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ この結晶の上半分を少し押してみます。以下のB.のように変形したとします。 B. ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○← ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ A→Bの変形に際し乗り越えなくてはならない原子間ポテンシャルの山は大したことはありません(変形に際して原子が極端に近付いたり、離れたりといった必要はないため)。それほど大きな力はかけなくてよい、ということです。しかし欠陥の位置(矢印)は格子一つ分ずれました。さらに力をかけ続ければこの欠陥の位置は次々にずれて、最終的には結晶全体が変形することになります。 床に敷いたじゅうたんを一度に引きずって動かそうとすると大変です。ところがこのじゅうたんにしわを作って、このしわを向こう側に寄せていくと簡単に動かすことができます。これと似たようなものです。 金属材料中にはほとんどの場合転位が存在するために、理論的な降伏応力よりはるかに小さな応力で変形を起こします。転位がきわめて少ない結晶、例えばひげ結晶(whisker)などでは理論値にかなり近い強度が得られます。 [1] http://masahoso-web.hp.infoseek.co.jp/radio/kessyou.htm 「§3.2 格子欠陥の重要性」の辺りから読んでみて下さい。その下の「◆塑性変形」のところにもヒントがあります。
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- nobugs
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記憶があいまいですが。 引張り試験を行った時に、引張りに応じて断面積が減少し、それを補正したものが理論的な降伏応力のなるはずですが、1/1000~1/10000と言う、大きな差にはならない様に思うのですが・・・・ 計算してみてください。
お礼
回答ありがとうございます。 どうやら転位することが原因だったようです。
お礼
回答ありがとうございます なるほど転位が原因だったんですね 資料も参考になりました 分かりやすい説明ありがとうございました。