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マートンのアノミー論について
マートンが提唱した考えの1つにアノミー論というのがあります。「アノミー」とは無規範を意味する言葉であり、要するに社会が混乱している状態を指します。こいつが発生する理由としてマートンが考えた理論です。 マートンが着目したのは「文化的目標」と「制度的手段」のズレ、つまり「文化的目標」を達成するための「制度的手段」の不均等でした。 そしてそのマートンは同調、革新、儀礼主義など5種類に分類しましたが、これらに当てはめることができる最近の例(ドラッグやアルコール中毒者のように)でアノミー論とマートンの定義したセオリーにどう関連するのか詳しく教えてほしいです。
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> これらに当てはめることができる最近の例(ドラッグやアルコール中毒者のように) マートンの理論に当てはめて考えようとするなら、それらの〈逸脱行動〉の背後に、どのような〈文化的目標〉があるかを考察することが不可欠です。 その社会がいったいどのような〈目標〉を掲げているか。 マートンが着目したのは「アメリカン・ドリーム」でした。 一方で、「成功せよ」という強固な〈文化的目標〉が共同体の成員の上にのしかかる。人びとは、何とかして成功したい、成功しなければ生きていく意味がない、と思ってしまう。 にもかかわらず、成功するための合法的手段である〈制度的手段〉は限られている。いくら勤勉に働こうが、人種や生まれ落ちた社会的階級によって、合法的手段によって成功を手にすることができるのは、限られた人びとなんです。 その他の多数の人びとは、〈文化的目標〉と、自分の手には入らない〈制度的手段〉との板挟みにあって、緊張にさらされることになる。 そこで、なんとか適応しようとした行動類型が質問者氏も上げておられる5つの類型です。 アノミーというのは、単に「無規範」を意味するのではなく、そうした板挟みのなかで、〈制度的手段〉ではない方法によって目標を達成しようとする人(適応様式の類型の中ではII型に属するような人)を統制できないような、社会規範の弱体化した状態のことです。 質問者氏が考察しようとしているのは、現代の日本のことですよね? だとしたら、マートンが準拠枠とした「アメリカン・ドリーム」を、単純に援用することができるでしょうか? たとえば、60年代のカウンター・カルチャーの中でのドラッグの常用は、「成功せよ」という〈文化的目標〉に対し、マートンのいう「V 反抗」というかたちで、既存の〈文化的目標〉をひっくり返してみせたわけです。現代のドラッグの中に、「V.」の意味はどこまで相当するでしょうか。 単純にそれを置き換えるのではなく、薬物やアルコールの嗜癖を〈逸脱行動〉としてとらえるなら、いったいどのような「文化的目標」が背景にあるのかを見極めなければなりませんし、それをしようと思ったら、まずそうした〈逸脱行動〉を取る人びとが属する〈準拠集団〉を措定しなければならないだろうと思います。 たとえば、痩せたい、という思いが高じて、ドラッグに手を出してしまう人がいたとします。なぜそんなことをするのか。その人が所属する準拠集団(自分が一体化し、そうありたいという思いを作り上げている共同体)には、「美しくあること=細身であることが、みんなから受け入れられ、愛される条件である」という〈文化的目標〉があるのかもしれません。 もともとスタイルが良く、適度な運動と適度な食事の節制という〈制度的手段〉でそのスタイルを維持できている人は、「I 同調」という類型に属するでしょう。 けれども、「細身であること」を〈文化的目標〉として受け入れつつも、「受け入れられ、愛される」という目的が達せられないために、〈制度的手段〉を逸脱して健康を損なうほどの過剰なダイエット、さらには薬物にまで手を出すような人は、「II 革新」に当てはまる。 もはや美しくありたい、とも、受け入れられ愛されたいとも思ってはいないけれど、何となく習慣的に過度の飲食を控え、決まり決まった粗食を続けているような人は「III 儀礼主義」に、 となると、「IV 逃避主義」の人は、受け入れられたい、愛されたい、という思いを遮断し、放埒な飲食を繰り返す人の像が浮かんできます。 「どうして美しさ=体重の少なさなんだ、どうして外見の美しさに磨きをかけることが、受け入れられたり愛されたりすることの条件でなくてはならないんだ」と疑問を持ち、新しい価値観や目標、そのための手段を考える人は「V 反抗」の類型に属するといえるでしょう。 このように類型化することで、「美しくあること=細身であることが、みんなから受け入れられ、愛される条件である」という〈文化的目標〉が、過度のダイエットや極端には薬物にまで手を出してしまう〈逸脱行動〉を生み出していることが見えてくるわけです。
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- foosun
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社会学の中でアノミー論と言えばまずドュルケムでは?