同時破産廃止決定後に新たに財産が見つかった場合
自己破産をした個人であるXは配当にあてるだけの財産がないため、破産手続開始決定と同時に破産廃止決定を受けました(いわゆる同時破産廃止決定)。しかし、Xは高価な財産(以下、「甲」とします)を隠していました。廃止決定から3週間経過してそれを発見した債権者たちは、なんとかこれを押さえて換価し、配当にまわしたいと考えています。
1.即時抗告期間を経過しているため、同時破産廃止決定に対する即時抗告はできない。
2.追加配当は、最後配当・簡易配当・同意配当を前提としており、配当をしていないため、甲を追加配当にまわすこともできない。
3.自己破産であるため、免責手続が進行中である。免責手続進行中は、甲に対する仮差押え等の強制執行をすることもできない。つまり、甲の財産移転を止めることはできない。
4.免責不許可になるとはいえ、甲が第三者に転売されれば、X自身は無資力になってしまい、自力執行禁止の原則により、債権者たちは泣き寝入りするしかない。
5.転売された時点で、詐害行為取消訴訟を提起すればいいが、受益者ないし転得者が善意だと、甲を取り返すことはできない。また、詐害行為取消権は訴えによらなければならないため、起訴責任を債権者に負わすことになるので、債権者たちに過度な負担となる。
6.破産廃止がされているので、破産管財人による否認訴訟も否認請求もできない。
7.詐欺破産罪や説明義務違反等で刑事告訴・告発しても、財産的解決にはいたらない。
けっきょく、債権者たちは指をくわえてみているしかないのでしょうか。
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