場合分けだけが方法ではない、ってことで、別解を。
問題を、確率を要素とする行列で表してみましょう。
1/2, 1/6, 1/6, 1/6
1/6, 1/2, 1/6, 1/6
1/6, 1/6, 1/2, 1/6
1/6, 1/6, 1/6, 1/2
という4行4列の行列を考えます。たとえば1行4列目の要素はAからDへ行く確率、2行3列目の要素はBからCへ行く確率、という意味です。
この行列をXとしましょう。
次に、XX(XにXを掛けたもの)を考えます。すると、たとえばXXの1行2列目は「Aからドコカへ行き、そのドコカからBへ行く確率」を表します。
なぜかと言うと、XXの1行2列目の要素は
(XXの1行2列目)=(Xの1行1列目)×(Xの1行2列目)+(Xの1行2列目)×(Xの2行2列目)+(Xの1行3列目)×(Xの3行2列目)+(Xの1行4列目)×(Xの4行2列目)
で計算されますんで、この各項は「AからAに行ってBに行く」「AからBに行ってBに行く」「AからCに行ってBに行く」「AからDに行ってBに行く」の各場合の確率に対応しているからです。
さらにもう一度Xを掛けたXXXですと、たとえばXXXの1行2列目は「Aからドコカへ行き、そのドコカからまたドコカへ行き、そしてそのまたドコカからBへ行く確率」を表します。
一方、
X = (1/3)[E]+ (1/6)[1]
と書けます。
ここに[E]は4行4列の単位行列(対角線の要素が1で、他は0の行列)、[1]は4行4列で全要素が1である行列です。だから
(1/3)[E]=
1/3, 0,0,0
0,1/3,0,0
0,0,1/3,0
0,0,0,1/3
であり、
(1/6)[1]=
1/6, 1/6, 1/6, 1/6
1/6, 1/6, 1/6, 1/6
1/6, 1/6, 1/6, 1/6
1/6, 1/6, 1/6, 1/6
ですね。両者を要素ごとに足し算すればXになります。
また、
[E][E]=[E]
[E][1]=[1]
[1][E]=[1]
[1][1]=4[1]
という性質があります。これも簡単に確かめられるでしょう。
以上を使うと、
XX = ((1/3)[E]+ (1/6)[1]) ((1/3)[E]+ (1/6)[1])
=((1/3)[E])((1/3)[E])+((1/6)[1])((1/3)[E])+((1/3)[E])(1/6)[1])+((1/6)[1])((1/6)[1])
=(1/9)[E][E]+(1/18)[1][E]+(1/18)[E][1]+(4×1/36)[1][1]
=(1/9)[E]+(1/18)[1]+(1/18)[1]+(4×1/36)[1]
=(1/9)[E]+(2/9)[1]
となる。さらに、
XXX=((1/9)[E]+(2/9)[1]) (1/3)[E]+ (1/6)[1])
=(1/27)[E]+(2/27)[1]+(1/54)[1]+(4×2/54)[1]
=(1/27)[E]+(13/54)[1]
ですから
XXX=
15/54, 13/54, 13/54, 13/54
13/54, 15/54, 13/54, 13/54
13/54, 13/54, 15/54, 13/54
13/54, 13/54, 13/54, 15/54
が得られます。
AからBに行き着く確率は1行2列目を見れば分かります。同様に、たとえばCから出発してCに戻る確率は(3行3列目から)15/54と分かります。