質問文を拝読しましたが、事案の設定が、お聞きになりたい質問の趣旨にそっていないように思われます。
後見代理人とは何でしょうか。被告の法定代理人である(成年又は未成年)後見人という意味だとすると、本人が死亡した場合、訴訟手続は中断し(後見人は法定代理人であって訴訟代人ではない。)、法定代理権も消滅します。にわかかわらず、受継の手続が行われず、相続人から訴訟代理権を与えられていないにもかかわらず、その後見人が訴訟を追行したとなれば、その確定判決は再審によって取り消され得ることになります。
しかし、ご質問では、「判決の更正は必要なのではないでしょうか。」となっていることから、訴訟手続自体には瑕疵がないことを前提に質問しているように思われます。
そこで、「訴訟係属後、口頭弁論終結前に被告が死亡したが、訴訟代理人がついていたので、訴訟手付きは中断せず、引き続き、訴訟代理人が訴訟の追行をした。しかし、当事者から当事者の変更の申立等がなかったために(質問文では、「当然承継の手続」と表現していますが、中断していないのですら受継の手続ではありません。)、裁判所が被告の死亡の事実に気付かずに、被告の表示を死者のまま判決を言い渡して、判決が確定した。」という事例を前提に回答をします。
まず、判決の効力が誰に及んであるかという問題と、その判決正本のままで、強制執行の手続ができるかという問題に分ける必要があります。
まず前者の問題ですが、当然承継なのですから、形式的には判決の名宛て人が死者になっていたしても、実質的には名宛て人は相続人ですから、判決の効力は相続人に及んであることになります。
次に後者の問題ですが、執行機関(執行官や執行裁判所)は、判決の効力が相続人に及んでいるかどうかを実質的に審査する権限はありませんので、債務名義上の債務者と強制執行の申立書の債務者が一致していない以上、その申立は却下されてしまいます。
そこで、まず、御相談者の挙げられた判決の更正決定と得るという方法が考えられます。ただし、更正決定というのは、判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがある場合に限られますので、口頭弁論で当事者の変更の申し出がされたとか、戸籍謄本の提出がなされたといったことがないと、「訴訟記録上」、相続人が承継したことは明らかではないので、その場合は、更正決定による方法は難しいものと思われます。
その他に考えられる手続は、承継執行文を付与してもらうことです。もっとも、本来、承継執行文というのは、事実審口頭弁論終結「後」の承継人を対象にした手続なので、承継執行文付与に関する規定を類推適用するという法解釈をすることになります。
お礼
ありがとうございます。本人死亡と共に後見代理は消滅するのですから、結論的には、判決の効力は相続人に及ぶが、後見代理人が訴訟追行しているから再審事由になるという理解でよいでしょうか。