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解散要請の正当性に関して
- 最高裁の判決によると、21年衆議院選挙において一部選挙区の投票価値の較差が2倍以上であり、違憲状態であるとされています。
- 判決では、投票格差の是正を求めるための立法的措置が必要であり、1人別枠方式の廃止や選挙区区割りの改正が必要と示唆されています。
- 立法側が解散を要請することの正当性は疑問視されており、本判決が指摘する是正措置を講じないまま解散を要請することは背任行為とも解釈される可能性があります。
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(1)結論は確かに、制度是正を示唆しているんですが、 それでも間違ってはいけないのは、裁判官が判断しているのは 適法であるか否かです。 適法であるか否かの判断の為の原理は3にあるように 民主主義は広範の裁量権を国会に認めているという点。 逆に言えば、適法な裁量権を逸脱しているか否かを 判断するわけです。 (2)判決文では、制度自体はもはや合理的ではないが、制度を 継続するのには選挙の時点でどちらも相応の理由があったので 裁量権の範囲内だ(違憲ではない)という判断になっています。 違法な状態下なのになぜ?という疑問もあるかと思われますが 裁判所側の確認した理由としては、時間的制約や実務的限界、 あるいは過去の判決が与えた"誤解"や、選挙制度における 歴史的経緯を挙げてますね。 つまり、他に緊急の重大事や能力的な限界、合理的な理由が あるのであれば、それは民主主義における国会の裁量権の範囲 として認められうるわけです。 では、今般の国会が情勢が過去に比べても緊急性や合理的理由を 有しているか?あったとしてそれは裁量権を逸脱していないか? ・・・は国民一人ひとりでまた意見の違うところではあるかと 思いますので、選挙して、その後に裁判してみないとわからんのです。 個人的な意見ですが、裁量権の範疇は制度不良というよりは、 人間の能力の限界に類するものではないかと思います。 (もちろん、1人別枠方式の制度不良に関しては判決からも明らかですが) (3)ここで再度注意しなければならない点があります。 これまでの裁判所の判断は、あくまで政府がかつて行った 判断に対する適法性の有無なんです。 もちろん裁判所の判断は"結論"に対しては一定の拘束力を持つのですが、 質問サイトで質問もなしの返答や意見発信はやらないように、 裁判所は国会で『議論中』の問題へコメンタリや意見としての 拘束力を持たせることが出来ません。 裁判所も、終わった選挙に対しては適法性(つまり裁量の範囲内か)の 判断ができますが、国会の議論への意見提出は司法権の 逸脱を問われかねないですよね。 というわけで裁判所の意図通りではないものも、"裁量権の範囲内で" 登場する可能性はあるかと思います。 (4)適当に検索したらこんなん出てきました。(国会図書館政治議会課の資料です。) まさにこの件の話ではあるので、補足資料としては読みやすいかなと思います。 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0714.pdf
お礼
返答ありがとうございます (1)司法の判断があくまでも立法裁量範囲の適否・正否について14条から審査するに過ぎない(原告・被告の提示する争点だけ)ことは一応理解しております。 仮に、私の読み下しを行えるような”現実的な司法判断”を行うためには、付随的審査に過ぎない違憲立法審査ではなく、積極的審査が行なえ、憲法判断に対する立憲主義・憲法規定上に正当化しえる「憲法裁判所」のような形態が望ましい・適切であろう、などの見解です。 (2)「合理的期間」に関して判決そのものでは明確な見解は提示していません。思うに、一部の最高裁裁判官が個別意見で提示しているように、判決そのものに”合理的期間”について司法判断がくだされるのが望ましい、と私は考えますが、(1)でも指摘されているように司法権の現憲法上の権力限界(司法消極主義)の問題があるので、難しいとは認識しております。 ただ、過去の判例にあるように、事情判決が適用できない「選挙」案件で無理に”事情判決の法理”を持ち出して、司法判断として「民主基盤」を軽視するのでは、もはや民主政体の司法権としては自滅的行為と愚考しますし、そのような司法権であることを抑制的と評価するほど、司法権力への失望感はありません。 (3)本件に関しても正論だと思いますが、(1)で指摘したような司法権の限界を踏まえて本件や国籍確認訴訟・非嫡出子相続差別訴訟などの重要な大法廷判決を踏まえて、「わが国の司法権は他の二権力に対してどうあるべきか?」という問題提起を踏まえて、本件のような質問をしています。 個人的に思うに、英米法的憲法訴訟・憲法体系の我が国においては、英米諸国のように判例法に対する諸権力の緊張感・監視・監督関係について意識・リテラシーを高くするべきように思います。 私は、司法権の法創造的な判決・判決の読み下しを全肯定するつもりはありませんが、司法権の限界に対して、立法・行政も一定配慮、権力分立上の理知的対応を要請するべき部分の方を強く感じます。 本件は当方の設問(1)に対する回答ですが、可能でしたら、当方の他の設問も、私見で結構なので提示していただけると有難く思います。