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ポリマーの融点について
ポリマーハンドブックや高分子データ・ブックなどでポリマーのガラス転移温度や融点を調べているとき、けっこう融点が記載されていないポリマーがあることに気づきました。(ガラス転移温度はほとんど全部記載されてました。)なんで融点が存在しないのでしょうか?また、文献によってガラス転移温度や融点の値がまちまちな理由もよくわかりません。
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1.ポリマーは次の2つに分類されます ・結晶性高分子(一般的な固体状態で結晶部分と非晶部分が混ざったもの) 例:ポリエチレン、ポリアミド ・非晶性高分子(一般的な固体状態でほぼ非晶部分のみで形成されるもの) 例:ポリカーボネート 2.Tg、Tmの定義 ・Tg(ガラス点移転)…非晶部分の分子鎖が自由に動ける温度 ・Tm(融点)…結晶部分の分子鎖が自由に動ける温度 上記1.2.より結晶性高分子にはTg、Tmが存在し、非晶性高分子はTgしか存在しません。 ≪値がまちまちな理由≫ 主な理由は分子量によってTg、Tmが異なるからです。 分子量大きい、つまり分子鎖一本の長さが長いとTg、Tmは高くなります。 (分子鎖が長いと、からみあって、なかなか自由に動けないイメージ) 結晶部分と非晶部分の占める割合や形態によっても変わります。
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- shota_TK
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まず融点が表記されていない理由ですが, 1)融点が明確でなく,測定が困難. 2)融点が存在しない. 3)データを測定していない,あるいはデータのバラツキが大きい. 4)分子量や分子構造あるいはわずかな添加剤によって融点が大きく変化する. などの可能性があります. 1)については,融点の鋭いピークが存在せず,徐々に軟化する材料が挙げられます. 2)については,例えばテフロン(ポリ四フッ化エチレン)などは溶融という現象を示しません.300℃で突然粉末になり,それ以上加熱すると燃えてしまいます.また,熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂とか)も分子構造が立体網目状なので,融点がありませんね. 3)についてですが,ハンドブックは,複数の研究機関に試験を依頼し,その結果をまとめたものですが,あらゆる条件で試験を行うのは不可能です.このため,どうしてもデータがない箇所があったりします.また,複数の研究機関で同じデータをとったのに,値が大きく違ってる場合などは,とりあえず空欄にしておきます. 4)は省略します. で,融点とガラス転移ですが, 融点:ポリマーが溶融する温度 Tg:分子がミクロブラウン運動を開始する温度 で定義されます. 結晶性ポリマーを溶融状態から冷却した場合,次のようなプロセスになります. 1.完全溶融状態(高温時) 2.融点以下になったときに外見的な流動性は失われ,固体になる.ただし,この時点ではTg以上なのでゴム弾性となり分子動力学的には液体としてふるまう. 3.分子の一部で結晶化が始まり,分子鎖の一部が規則的に配列する.結晶化した部分はほとんどゴム弾性を失う. 発熱の相変化として観察される. 4.さらなる温度低下により,非晶部分の分子のミクロブラウン運動が凍結されゴム弾性を示さなくなる.このためポリマーはガラス状になる.(Tg) ということですので,熱可塑性ポリマーでしたら,結晶性・非晶性とは関係なく融点は存在すると思います.(テフロンなどの例外を除いて) なお,PMMAの融点が存在しないのは,非常に広い温度範囲(100℃以上の温度幅)で徐々に軟化するためで,最初に挙げた1)のケースに相当します. それと,TgやTmはNo.1さんもおっしゃる通り,分子量や分子構造,側鎖の有無などにも依存しますし,添加剤の影響も受けます.可塑剤などが含まれていれば低下し,ガラス繊維などが含まれていれば増加します.また,熱履歴の影響も受けます.ゆっくり冷やすか,急に冷やすかで,値がかなり変化します.そういう意味では,ハンドブックの値はあくまでも参考値と考えた方がいいと思います.
お礼
とてもよく分かりました。ありがとうございました。
- vacation99
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すいません。非晶性高分子の例としてポリカーボネートを挙げたのが悪かったです。 基本的にどの非晶性高分子も(わずかながら)結晶領域は存在します。 ポリカーボネートは一般に非晶性と言われていますが、Tmが測定できる程度の結晶領域があるようですね。 私は、その文献を持っていませんが、 例えば、PMMAだとTmの表記がないと思うのですが。。。
お礼
何度もすいません。m(__)m ポリメタクリル酸メチルの融点も載ってました。ポリメタクリル酸エチルはなかったです。 一般に非晶性高分子といっても配列の仕方によってはTmが観測できたりするってことなんですね。
お礼
こんなに早い回答ありがとうございます。Tg、Tmにそんな定義があるなんて知りませんでした。 しかし、ポリカーボネートの融点が「高分子/灰佐雅夫/東京化学同人/222ページ」に220℃と記載されているのですが、これはなぜなんでしょうか?