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孫氏の兵法と中国の教育文化
- 孫氏の兵法は中国だけでなく海外でも多くの人々に読まれ、影響を与え続けている。中国では一般庶民にも学ばれており、義務教育課程でも取り上げられている可能性がある。
- 「孫氏の兵法」には「戦わずして勝つ」という教えや、戦争における騙しあいなどの教訓が含まれており、多くの中国人の思考パターンに根付いている可能性がある。
- 中国人の基本的な思考パターンに「孫氏の兵法」が影響を与えているのではないかという疑問がある。中国の義務教育課程で教えられ、多くの中国人がその基本的な考え方を身につけているのかもしれない。
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大いなる勘違いをされていると思います。中国4000年の歴史で普通教育が常識になったのはたかだか50年程度に過ぎません。中国の長い歴史では一般庶民は文字の読み書きはできませんでした。漢字は7万種とも8万種ともいわれるぐらい世界一文字の種類が多い文字で、なおかつ一つ一つの漢字の意味、発音、画数はおそろしく複雑です。そういう難解な漢字を読み書きできるのは官僚階級だけでした。官僚階級が家庭教師に習って漢字を勉強しただけであって、一般庶民は公教育を受ける機会はありませんでした。つまり科挙を目指した者だけが勉強し、そうでない一般庶民はひたすら労働していただけだったということです。中国はひらがな、カタカナといった簡略文字を創案しませんでした。なぜなら、その必要が無かったから。漢字があれほど難しいのは、文字を特権階級が独占し人民を支配するのに好都合だったからなのです。人民に文字を教える必要はない。科挙を目指したいなら、頑張ってついてこい。これが中国4000年の歴史です。この歴史に変化が起きたのは中国共産党が政権を握った現代です。中国共産党は人民が漢字を勉強できるように簡体字を制定しました。中国と日本は同じ漢字文化圏といわれていますが、歴史は全く違います。日本では仏教の普及と同時に漢字・カタカナ・ひらがなが普及した歴史があります。経典を読むために漢字を勉強した。当初は朝廷から選ばれた頭の良い人だけだった。それが学僧です。朝廷から給料を貰って勉強に専念させてもらえたのだから公務員みたいなものです。僧侶は、自分の勉強のためにカタカナ、ひらがなを創案しました。僧侶にとっても経典は難しかったのです。経典の漢字の横に小さな文字で読み仮名や意味を振った。それをルビ振りという。ルビは日本人が発明した画期的技術です。中国にはルビ振りが無いのです。僧侶は仏教だけでなく貴族、武士、商人、農民と時代が進むごとに文字を広めていきました。平安時代-貴族、鎌倉時代-武士、室町時代-商人、江戸時代-農民とだいたいの対応関係があります。義務教育ではなかったから、あくまで希望者だけではありましたが、日本では時代と共に文字が普及していったわけです。寺子屋とは、寺院が副業で始めた私塾みたいなものです。現代でも宗教法人が大学や高校なども経営していたりする場合がありますよね。 ところが漢字を発明した中国には、このような歴史は全くありません。いつの時代も文字は支配階級だけが独占していました。 そろそろ孫子の兵法の話にします。孫子の兵法は、限られた有識階級のうちの兵法家を目指したごく一握りの人しか勉強しませんでした。例えば三国志で有名な曹操が日本人には最も良く知られた兵法家です。もっとも曹操は単なる兵法家に留まらない有能な人でしたが、それはあらためて説明するまでもないでしょう。現代日本人に人気のある孫子の兵法は四書五経にも含まれていませんし、必ずしもメジャーな古典であったわけでもないのです。そういうほんの一握りの人だけが学んだ古典でした。現代中国ではどうか。孫子の兵法は簡体字で書き直されていて、大学や一部の研究機関で学ぶ高等教育の一部として扱われています。現代中国においても孫子の兵法は決して一般庶民のものではありません。エリートの教養の一部といった位置づけになります。 以上のように中国人の文化、特徴、気風、思考に孫子の兵法はほとんど影響を与えていません。これが結論です。
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- eroero1919
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孫子の兵法書は、日本で飛び抜けて人気らしいですよ。あれをビジネスに応用したビジネス書なんて掃いて捨てるほどありますよね。 日本では面白いエピソードがありましてね、孫子に「兵は詭道なり」という言葉がありますでしょ。現代語に訳せば「戦争とは騙しあいである」と、こういう意味です。 江戸時代に、兵法家の間でこれが論争になったそうなんです。「詭道とは、卑怯なり」ということだそうです。相手を騙すだなんてとんでもない、もっと正々堂々とやらにゃいかん、というわけです。江戸時代は平和な時代だったので兵法家なんてのはいってみれば不要の存在。そういう家柄に生まれた人はしゃあないから先祖代々の教えを勉強しますが、肝心の戦争がないわけですから、車を持っていない運転手みたいなもんでしてね、どうしても机上の空論というか観念論になってしまいます。 「車懸りの陣」なんてそうでしょ。部隊が円を描きグルグルと回りながらぶつかれば次々と新手がぶつかることになるから強い、なんていいますけど、これって結局のところ「兵力の逐次投入」という最もゲスな手となります。江戸時代は検証する手段がないですから、専門家が「これはすごい」といったら、「専門家がそういうんだからそうなんだろう」となってしまうのですね。 まあ当時の人に同情すれば、兵法家も武士ですから、武士が「騙す」なんてのはもう外道以外のなにものでもなかったんですね。騙すなんて、武士道に反すること甚だしいでしょ。 だから、武士道とか剣道のように「道」に美学を見出す武士としては騙すことに道をつけて「詭道」なんていわれると、けしからんとなるわけです。 これは現代でもまあ少し通じることはあって、高校野球で「隠し球」をやると「卑怯」と批判されますよね。野球は「野球道」ですから美学があるのです。卑怯なことはやっちゃいけない。でも、サッカーは足をひっかけられたフリをして倒れて周りを騙すのはアリです。サッカーは漢字で表すと蹴球ですが、蹴球道はありません。現実主義(マキャベリズム)なんです、サッカーは。日本でサッカーが長年マイナースポーツだった理由が垣間見える気がしますね。 ちなみに、現代に伝わる孫子の兵法書の原型を編纂したのは、あの三国志の梟雄、曹操なんだそうですよ。
お礼
回答ありがとうございます。 非常に面白いご指摘で勉強になりました。
- hekiyu
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私には中国人の知人友人が多いのですが、 中には、日本文化について精通している 者もおり、私なんかタジタジになります。 しかし、そんな彼らは、そもそも中国の歴史について、 あまり知識がありません。 孫子といっても、名前を知っている、という 程度で興味も示しません。 同じ事は、孔子、老子などにも言えます。 最近は道徳が乱れて来たから、という理由で 政府が力を入れるようになってきましたが まだまだですね。 特に若い人がヒドイです。 日本人の方が遙かに知識を持っています。 これは、社会主義革命、文化大革命の影響で 歴史教育を等閑視してきたのが原因だと思われます。 中国人の思考パターンですが、私のささやかな経験から 言いますと。 1,思考、行動が直線的。 これは中国外交にも如実に現れているように 思われます。 この点、孫子の兵法とは異なると思いますが。 2,自己中。性悪説。 他人は信用しない、頼らない、利用するだけ。 いくら親切にしても、恩を感じない。 どうせ計算尽くで親切にしているだけだ、と思う。 これは孫子の兵法と一脈通じる? マキャベリとしっくり来るような。 3,行動原理は、財産的利益と健康長寿。 中国人は、汚職が多いのですが、その金は専ら 贅沢の為に利用します。 これに対して、日本人は己の権力拡大の為に 使うことが多いようです。 これは孫子の兵法とは関係ない? むしろ道教の影響を受けているように思えますが。
お礼
回答ありがとうございます。 「孫氏の兵法」は「孫子の兵法」の間違いでした。 ケアレスミです。 (苦笑) 大変参考になる回答をありがとうございます。 ここ1,2ケ月、たまたま「孫子の兵法」に嵌って いるのですが、ちょっと過大評価のし過ぎかなと 思いました。
お礼
大変貴重なご意見をありがとうございます。 非常に勉強になりました。 重ねて御礼申し上げます。